株式会社SCOUTERのCOOが人事を尽くして考えた

渋谷で「SCOUTER」を運営する株式会社SCOUTERのCOOがスタートアップ・組織について書いているブログです。

スカウターが100万人いる世界を考えてみた

先日、TechCrunchTokyo2016スタートアップバトルの決勝に出場しました

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惜しくも優勝には届かずで、非常に悔しい限りでしたが、多くの方々にSCOUTERというサービスを知ってもらえる機会になったのではないかと思います。最近SCOUTERというサービスを知ってくれている方々が多く、自分達の想像以上に広がってきているのだなと実感しています。そこで今回はこれから先SCOUTERというサービスが成長し、世の中にスカウターという存在が溢れかえった時、どんな世界になるのか考えてみました。

スカウターが100万人いることで起きる変化

1.人材紹介会社が全ていなくなる

「全て」は言い過ぎかもしれませんが、ほとんどなくなるのではないでしょうか?唯一、人材紹介会社として残るのはプロフェッショナルとして強固な評判を獲得したブティック型の紹介会社です。スカウターが世の中のあらゆる企業を紹介できるようになると、転職者がわざわざ見知らぬ人に相談にいく理由ってなんでしょうか?考えられるのはプロの視点・知識・アドバイスが欲しいということ。つまり、求人を紹介されること自体に価値はなくなり、なぜその会社なのか、今後どういうキャリアを描くべきなのかプロとしての付加価値のみが価値になります。そうなると、今からその価値を強固に提供し続けていく人材紹介会社しか生き残れなくなる可能性が高いと考えられます。

2.採用したい企業は世の中に媚を売ることを諦め、素直に共感してもらうよう努めるようになる

企業からしたらお金を払えば採用できる時代が終わりを迎えるということです。スカウターは友人・知人に対して紹介するため、非常に慎重に企業を選びます。スカウター自身が納得して良い会社だと思える企業しか紹介しないので、それはつまり「金」ではなく「共感」がものを言うようになります。また、これまではブランディングという名の下、なんとなく良さそうなことをしている会社という認知を与えることで、採用が上手くいくこともありましたが、スカウターの目はそんなに甘くありません。上質なビジネスマンという側面を持つスカウターからしたら、本質的に価値のあることをやっている会社なのか、理念に沿ったビジネス活動をしているのかを見ていきます。そういう意味で小手先のブランディングでは通用せず、素直に・丁寧に自社に対して共感してもらうための発信をするように企業は方向性を変えていくでしょう。

3.身の回りに人生・キャリアについて相談できる人がたくさんいるようになる

最大の変化はこれです。これまでは誰に相談したら良いかわからない。相談に乗ってもただのアドバイスで終わってしまい、何も手伝うことができなかった。このような状況で溢れていました。しかし、スカウターが100万人いると、身の回りにたくさんの相談できる人がいることになります。誰に相談したら良いかわからない場合は身の回りのスカウターに相談すれば良い。この考え方が浸透するだけで、世の中は随分と生きやすくなると思っています。人間というのは孤独が最も苦手な生き物で、誰かが自分を助けてくれる、社会の中にそういう人たちがたくさんいるという感覚を持つだけで、大きな安心感を得ることができます。また、誰にも相談できないからこそ、先延ばしにされていたり、思考停止になっていたキャリア・ライフデザインについて、多くの人が考えるようになります。これからの社会は100年生きることが前提となり、それに応じて働く期間も長期化します。その中でどのようなスキル・経験を身につけるべきなのか。どんな仕事にやりがいを感じるのか。どんな働き方が自分に合っているのか。このようなことを個人が真剣に考えることこそ、人生の充実度を最大化し、それが国の生産性、競争力にもつながっていくのです。

結論

スカウターが100万人いる世界とは「様々な他者の支えを受けながら、自分の人生を自分の手で創り出すことができるようになる世界」。現時点ではこのように定めたいと思います。もちろん、これはSCOUTER社がSCOUTERというサービスをどんどん成長させていく中で変化していくものですが、僕個人としてはこんな世界になったら良いなと思います。20世紀は大量の資本が生まれ、一気に工業化し、画一的な価値観によって機能してた世界でした。しかし、長寿化・グローバル化・IT化など様々な変化により21世紀では画一的な価値観・生き方をしていたら個人が破綻する世界となっています。そんな世界の中で世界中の人が幸せになれる唯一の方法は、それぞれが自分の幸せについて、人生について真剣に考え、それを手にいれることに人事を尽くすことだと考えています。そういう意味で21世紀とは非常に「ピュアな世界」だと言えると思うのです。

  • 人間が生きることに必死で、「本能」の欲求を満たすことに必死だった18世紀まで

  • 地位と富と名声という「理性」の欲求を満たすことに必死だった19・20世紀

  • 「本能」と「理性」の先にある「心」の欲求を満たすことが求められる21世紀

「心」を満たさなければ幸せになれない世界。しかし自分の「心」の声をしっかりと聞くことが許される世界。それが「ピュアな世界」であり、スカウターという人々は「ピュアな世界」を機能させるために重要な役割を担う気がしているのです。だからこそ、我々は明日も、明後日もSCOUTERというサービス・スカウターという役割・活動を広めていきます。

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資金調達を行い会社名を「株式会社SCOUTER」に変えました

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ご報告

昨日、正式に発表した通り、プレシリーズAラウンドの資金調達を行い、それに伴い会社名を「株式会社SCOUTER」に変更したのでご報告いたします。

「友人知人の転職を支援して報酬がもらえる「SCOUTER」約6100万円を調達—開発やマーケティングを強化」

http://jp.techcrunch.com/2016/09/06/scouter-raised/

会社名を変えた理由

会社名を変えるという決断は我々にとって大きな決断でした。今後、別のサービスを立ち上げるかもしれない中で、会社名をサービス名にするのはどうなのか。悩んだ時期もありました。しかし、これは我々の「SCOUTER」に対する覚悟の表明です。SCOUTERをリリースしてから4ヶ月が経ちましたが、この間に我々は確実な手ごたえを感じています。日々の改善を行っていく中で、着々と数字が上がっていき、スカウターは自律的に活動を行っております。これまでプロが行ってきたことを、スカウター(SCOUTERに登録している審査を通過したユーザー)が本当にできるのか?これが我々の最大の仮説であり、業界への疑問提起でした。そして、この4ヶ月で我々はそれに対して「行うことができる」という答えを手に入れました。つまり、SCOUTERはなかなか変わらない人材業界に対して、大きな変革を与えられる可能性を秘めている。それならば我々はSCOUTERという可能性に全てを賭けるべきであると判断し、会社名をサービス名と同じに変更する決断をいたしました。

SCOUTERに込めた想い

我々は「人事を尽くして天命を変える」というミッションのもと、SCOUTERを運営しています。自分の人生は自分で変えられるし、世の中すらも自分次第で変えることができる。他人任せにして、現状を嘆くのではなく、徹底的に自分の人生に対してこだわり抜く。そんな人生を送ることができれば、そこに後悔はなく、自分らしく生きることができるのはないかと考えています。ただ、僕は「人間とは元来弱い生き物」だと捉えています。自分自身もそうですが、基本的には怠けたい、楽をしたいと日々思ってしまいます。でも、生きていく中でなぜか「こうなりたい」という自分の理想の姿が心の底から沸き起こる。そことのギャップに、もがき続けるのが人間だと思うのです。そんな中で、理想を追い求めて大きなチャレンジをするというのはやはり一人ではなかなか難しい。そのチャレンジを一緒に成し遂げたいと思う仲間がいたり、背中を押してくれる人がいるからこそ、人は理想を追い求め全力になることができる。これが僕の人間観です。そこにSCOUTERの意義があると思っています。「転職」という人生の大きな転機、チャレンジを支えることができるのはやはり身の回りの人です。自分にはどんな可能性があり、どんな選択肢があり、なぜチャレンジしたほうがいいのか。スカウターはそれに気づかせてくれ、背中を押してくれ、支援してくれる。SCOUTERは人生に人事を尽くすための「きっかけ」を与えることができるのです。そうやって他者とのつながりが、多くの素晴らしい「きっかけ」を与えることができるサービスを創りたい。だからこそ、SCOUTERは徹底的に「転職者」に寄り添うサービスであり続けていきます。人材業界の慣習や、自社の都合ではなく、「転職者」に一番に寄り添ったサービス。それがSCOUTERの目指す姿です。

これからが本当のスタート

創業メンバーとして、ここまで来たことに感慨深い想いを感じるとともに、ここからが本当のスタートだと感じています。投資を受けるということは、必ずサービスを成長させなければいけないという責任を持つことと同義であり、必ずやSCOUTERを採用・転職のスタンダードにしていきます。そして、ここまで中嶋と僕についてきてくれたメンバーに感謝をするとともに、我々にとっての記念日にも浮かれずに粛々と自分たちの業務をこなすメンバーの姿を見て、必ずやこのメンバーとなら成功できると感じました。これからはとにかく最速でサービスを成長させていきます!ユーザー数も右肩上がりで伸びており、今月は大型アップデートも控えております。採用も超積極的に行っていき最速で成長していきますので、今後の株式会社SCOUTERにぜひ期待していただけばと思います!

最後に、SCOUTERに興味を持った方は以下から申し込みを!

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デザイナー・エンジニア絶賛募集中ですので、興味を持った方は気軽にオフィスへ遊びにきてください!

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引き続きSCOUTERチーム一同全力で邁進して参りますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

SCOUTERが成功すると確信してる3つの理由

先週は特別任務に追われ、更新が滞りました。何事も続けることは本当に難しいです。今週から気合を入れ直して、書いていこうと思います。

SCOUTERとは

私たち株式会社RENOはSCOUTERというサービスを2016年3月末にリリースしました。リリースして三ヶ月ちょっとが経ち、お陰様で実績も出始めています。SCOUTERとは簡単に言うと、誰でもキャリアアドバイザーとして、身の回りの人の相談に乗り、求人を紹介することができるサービスです。自らの紹介によって転職が決まった場合は、転職者の年収の5%がもらえるサービスとなっております。我々はこれを「ソーシャルヘッドハンティング」と呼んでおり、新しい採用・転職活動のあり方として提示しています。

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このSCOUTERのモデルは現時点で日本唯一であり、HR業界では大きな話題を呼んでいます。皆様も興味があったらぜひ、ご登録よろしくお願いいたします!

SCOUTERを捉える3つの視点

このSCOUTERというサービスは3つのプレイヤーがいて、僕は全てのプレイヤーを経験している珍しい人間だと思います。そのプレイヤーとは以下の3者です。

  • 転職者
  • 経営者・人事
  • キャリアアドバイザー

今回はそれぞれの視点からなぜSCOUTERが上手くいくのか、理由をまとめてみたいと思います。

優秀な人材は優秀な人の話しか聞かない

まずは、転職者から。日本でも転職というものの価値観はどんどん変化してきており、キャリアアップのための最も有効な手段として捉えられてきています。そして、優秀な人たちを見ていると、彼らはだいたい自分なりの思考や計画が常にあり、転職活動に関してもほとんど自己完結しています。その中で唯一話を聞くのは自分よりも優秀だと思っている人の話です。その人たちに自分の意見をぶつけ、どういう反応が返ってくるのか。そのフィードバックが彼らの意思決定に唯一影響を与えるものです。もし、自分自身が転職活動をすると想像した場合、転職の相談をしてみようと思うのは、キャリアコンサルタントと呼ばれる人ではなく、自分が歩みたいキャリアを先に歩んでいるメンターの人たちです。そのメンターの意見くらいしか聞く気にならないというのが正直なところで、だからこそいわゆる優秀な人材というのはほとんど転職市場には現れずに転職していくのです。しかし、SCOUTERではそのメンター達がスカウターとして相談に乗り、求人を紹介するため、普通では絶対に現れない転職者の転職支援を行うことができるのです。

媒体に金を払って採用が成功する時代は終わった

昔は優秀な人材を集める最も効果的な方法はお金でした。媒体にお金を払い、報酬を高く設定することで、自然に人が集まってくる非常にシンプルな時代でした。しかし、今は情報の流通が圧倒的に増え、価値観が多様化していく中で、お金で人を採用できなくなりました。そして、人を採用するということに、多くの時間と知恵が求められるようになりました。これまでの待っている採用から、自ら動く採用へと変化し、あらゆる手段・チャネルを用いて、会社の魅力を伝える必要が出てきた。僕はこのような社会を表した「評価経済社会」という言葉が好きです。評価経済社会では、貨幣よりも評価が重要になる。貨幣で評価を買うことはできないが、評価で貨幣を買うことができる。そんな社会になったと捉えると、採用に起きている変化もうなずけます。評価経済社会においては、お金で採用はできません。自社のファンを増やし、自社を自分たちに成り代わって広めてくれる人を増やすことが最も重要なことになります。それはまさにスカウターの活動と重なるのです。最もお金を払った会社が認知されるのではなく、最も評価の高い、ファンが多い会社が認知され、採用を成功させることができる。このような次世代型の採用の中心にいるのが、スカウターたちだと考えます。

結局キャリアアドバイザーは転職者を理解しきれない

最後に、キャリアアドバイザーという観点から。自分自身も二年ほどキャリアアドバイザーという仕事をやりましたが、詰まるところ短時間で転職者のことを理解仕切るのは不可能でした。理解するには時間が足りません。普段何を考えているのか。どういう価値観で何が大事なのか。生活の背景や、バックボーンが見えないまま、求人を紹介しなければいけませんでした。そのため、ベースになるのは、転職者の希望です。とりあえず転職者の希望を聞いて、表面的な会話で求人を紹介することしかできません。本当にこれがベストな選択肢なのか、わからないまま求人を紹介し、なんとなく内定が出て、就職する。しかし、結局価値観や働き方が合わず、すぐに辞めてしまうことも多々ありました。これ、キャリアアドバイザーという仕事の中で最大限時間を費やしても、解決できない問題だったのです。その点、スカウターは普段から転職者との交流を持ち、日常の生活を知っているという点で、明らかに深い話ができます。転職者の重要な背景を知った上で、自分なりの本質的な提案をすることができる。これは既存のキャリアアドバイザーよりもスカウターの方が圧倒的に優れている点です。

SCOUTERは新しい転職スタイルに

転職者・経営者・キャリアアドバイザー。転職という市場に関わる全てのプレイヤーから見たときに、SCOUTERには優れている点があります。それは僕自身が全てのプレイヤーを経験したことがあるからこそ、わかったことであり、SCOUTERの成功を信じることができる理由です。これから先、転職という体験は大きく変わっていくと思います。転職者の動きも、企業の動きも、支援者の動きも。どれもが、新しい時代に最適化されたインターフェイスに変わっていくでしょう。その時、我々はSCOUTERがその変化の中心に居続けるということを信じています。

以上、僕がSCOUTERが成功すると確信している3つの理由でした。

会社を創って最初にNo.2が提案すべきこと「創業株主間契約」

創業メンバーの離脱

 もし、自分が2年半前に会社を創ったときに戻れたとして、まず何をやるかということを考えてみました。今だったら当たり前のことも、当時の自分たちはわかってなかったため、後々になって大きな問題となって降りかかってくることが多々有ります。その中でも、創業メンバーの離脱についてはかなり大きな問題になることが多いです。創業メンバーが途中で離脱することは高い確率で起こり得てしまうものなので、それを前提に考えておく必要があったなと、反省しております。特に株式については一番最初に話し合い、厳格な契約を結んでおくべきでした。RENOでも共同創業者が途中で離脱しましたが、その際に突然音信不通になり、連絡が取れなくなりました。それから株式をどう回収するか、非常に大きな問題となったのです。最終的には何とか連絡が取れ、無事に回収することができましたが、回収にかかった労力や精神的コストは大きなロスとなりました。このようなことが起きないように、会社を始めた一番最初に話し合いの時間を持つよう提案するべきです。

No.2が提案しなければいけない理由

 株式についての提案をなぜNo.2がするべきなのか。No.1が切り出すものではないのかという疑問が生じるかもしれません。これに関して、僕なりの考えとしては、No.1はメンバーを最も信じる人間であり、信じることで人を集める存在だと考えています。その人が辞める時にはこういう取り決めにしておこうと切り出すのは、本人としてもあまり心地が良いものではないでしょうし、性格的に決めなくても大丈夫だろうと思う方々が多いのではないかと思います。僕としてはそれがNo1のあるべき姿だと思いますし、だからこそ、最悪の事態を想定して事前に対処方法を考えるNo.2がいるべきだと思うのです。そのため、No.2になった方は、会社が始まった一番最初のミーティングで創業者間での株式の取り決めを提案することをお勧めします。

オススメの創業株主間契約内容

 問題を真正面から経験した僕からすると、一番のお勧めは期間を設定して、その間に会社を去った者の株式は必ず出資時の簿価で買い取ることができるというものです。内容的にはかなり厳しい内容なんですが、これくらい拘束力を強くしておかないと、結局回収に手間取ったり、無駄な時間が増えます。また、これに納得できないようなメンバーを創業者として迎え入れるのはかなり危険だと思います。こちらの方式が難しいようだったら、リバースベスティングという手法をとるのもお勧めです。これは途中で辞めた時に、持っている株式を買い取られる率が年々減っていくという仕組みで、二年働いたら、50%は辞める人が自分で保有できるようにするなど、期間ごとに買い取る割合を変えていく手法です。これならば、働いた期間の貢献に対しての報酬は残る形で会社を去ることができますので、辞める側も納得しやすいと思います。

まとめ

今回のエントリーのまとめとしては以下の三点です。

  1. No.1はメンバーを最も信じるべき存在のため、No.2こそ最悪の事態を想定した提案をするべきである

  2. 創業株主間契約はとても大事なので、一番最初に話し合い結んでおくべき

  3. 創業株主間契約の内容はできるだけ厳しく。リバースベスティングは選択肢として想定するべき

No.2の方は株式のトラブルが起きないよう、必ず結ぶように提案しましょう。No.2として一番最初の大仕事になります。

バックオフィス三種の神器

何もわからないところからのバックオフィス

 会社を作って僕が最初にやったことは、会社を会社として成立させることでした。お金を使う、会社と契約書を結ぶ、人を雇う、税金を支払う。全てがわからないところからのスタートでしたが、なんとか自分だけでこなすことができています。15人程度の組織であれば今の時代、バックオフィス担当(会社を成立させる上での最低限のことを行う人)は1人で十分だなという感覚はあります。バックオフィス全部やってますというと、「大変じゃないですか?」と聞かれますが、慣れればそこまで大変ではありません。最低限やるべきことは片手間でもこなすことは十分にできます。ただし、それは今の時代の素晴らしいクラウドサービスのおかげです。これがないと、1人でこなすのは無理だったと思います。あらゆるクラウドサービスにお世話になって、RENOのバックオフィスは成立しています。そこで今回は、僕が色々試した中で最も役に立っているバックオフィス向けのクラウドサービス3つをご紹介します。まさに三種の神器です。

バックオフィス三種の神器

1.MFクラウド会計

biz.moneyforward.com

 スタートアップなら会計に関してはMFのサービス群だけで事足ります。特にクラウド会計はUIが抜群で、経理知識がなくてもだいたいは日々の仕分けを切ることができるので初期のころはMFクラウド会計を触ることがそのまま経理の勉強になっていました。特に銀行やカードの自動連携機能は仕分け作業を圧倒的に効率化してくれるので、お金の出入りを初期に適切に設計できていれば、仕分けにかかる時間はほとんどなくなります。最近は組織が大きくなり、従業員が増えてきたので、MFクラウド経費やMFクラウド給与なども使っています。MFのサービスは全てが連携しているので、会計に関する事は全てMFサービス群で完結させるとストレスが一切ありません。クラウドの会計ソフトではfreeeもありますが、周辺サービスの拡張性やUIを考えると、圧倒的にMFがオススメです。

2.smartHR

smarthr.jp

今年最も驚いたサービスを選べと言われたら、間違いなく「smartHR」ですと答えます。それほど、忙しいバックオフィス担当者にはありがたい機能が備わった労務管理サービスです。何が素晴らしいかと言うと、社会保険や労働保険の手続きなど今まで窓口に行ってただただ待たされるという、何も価値を生まない時間から解放されるということです。本当に1クリックでできちゃうので、初めてやった時はまさに感動しました。その他にも、従業員の情報を従業員に書いてもらえる機能だったり、入社手続きのtodoリストが自動生成されたり、労務に関して迷って検索するという時間がなくなります。また、管理が面倒くさい従業員の情報に関して非常によくまとまったマスターDBになるので、情報の格納が最適化されるのもありがたいです。労務に関してわからないことはCSが最速かつ丁寧に教えてくれるので、労務に関しての知識が乏しくでも、問題なく使いこなせると思います。後述するCloudSignとの組み合わせで、allリモートで新入社員の入社手続きを完結させることができた時は、時代に感謝しましたね。20年前はこれを全て紙で行っていたと考えるとゾッとします。その時代では僕はバリューを発揮できなかったと思いますww

3.CloudSign

www.cloudsign.jp

CloudSignはweb上で契約を締結することができるサービスです。正直これを使いだしてからは、なぜ世の中に紙の契約書が存在しているのか、理解できなくなりました。紙の契約書は製本・捺印・保管管理など煩わしい作業の連続です。CloudSignならそのような作業が全くいらなく、契約書のデータもPDFで管理できるので非常に効率化することができます。対企業の契約書の場合、なかなか取引先がCloudSignを使わせてくれないので、紙の契約書で巻くこともありますが、雇用契約書や業務委託系の契約書は全てCloudSignで行っています。また、SCOUTERのサービス運営においてもCloudSignを用いていて、大きな役目を果たしてくれています。数年後には紙の契約書がなくなるよう、CloudSignにはぜひ頑張っていただきたいですね。

まとめ

以上3つがバックオフィス三種の神器として、使うべきオススメのクラウドサービスでした。僕自身色々と試してはみましたが、UIだったり、管理コストだったりの問題で継続できないクラウドサービスも多くありました。その中でも上記3つのサービスは群を抜いて使いやすく、作業を効率化してくれるので、一人でバックオフィスをやらなければいけない、No.2の皆さんはぜひ活用してください。今までの作業は何だったんだというくらい時間ができると思います。バックオフィスの仕事は一見するとすごく難しい仕事のように見えますが、今の時代あらゆるクラウドサービスがあり、サービスを使っていく中でバックオフィスに関する知識を手に入れられるという至れり尽くせりの状況です。このような時代になったことを感謝しつつ、よりクラウドサービスを上手く活用することによって、効率的に美しくバックオフィスをこなせるよう今後も勉強していきたいと思います。

No1とNo2の適切な関係性

創業メンバーの重要性

 スタートアップにとって創業メンバーは何よりも重要な要素だと思います。たいていのスタートアップは人間関係の崩壊によって1年以内に消滅しているのではないでしょうか。スタートアップは初めから上手くいくことは稀です。その中で、唯一の拠り所は人間関係になるのですが、ここが破綻すると潰れなくても良い状況でも潰れます。実際RENOでも最初の一年で1名、創業メンバーが離脱していきました。幸いにも残った中嶋と山田は上手くいく関係性だったため、今でも会社は存続していますが。僕たちの関係性は絶妙であり、多くの方々から「羨ましい関係ですね」や「驚くほど凸凹がはまってますね」みたいなことを言われます。もちろん偶然このような関係性になれたということもありますが、日々僕が関係性を築いていく中で意識していたことをまとめてみました。

あるべき創業メンバーはCEOとCTO

 意識したことをまとめる前に一点、これからスタートアップを作りたいと考えている方々にお伝えしたいことがあります。それは創業メンバーは必ずCEOとCTOが良いということです。肩書きはなんでもいいんですが、要はビジョンを語れる人と、それをプロダクトに落とし込める人。この二人の組み合わせがベストです。正直僕みたいな人間は後からで構わないと思います。なぜなら、プロダクトがないタイミングにおいてはやることがかなり限られているので、No2的な動きはあまり求められません。価値を発揮しにくいですww
 実際、私たちはエンジニアがいない状況で最初の1年を過ごしたため、非常に多くの苦労がありました。その状況でも会社を続けられたのは、中嶋と山田の関係性が良かったからですが、エンジニアが最初からいたら状況は大きく違ったと思います。

攻めと守り

 ビジネスサイド二人がNo1・No2になった場合、役割分担は色々な方法があるでしょう。セールスとファイナンスマーケティングとバックオフィスなど。もちろん、それぞれの状況によって適切な役割分担はありますが、基本的には攻め(対外的な活動)と守り(対内的な活動)の役割分担がベストではないかと思います。初期はとにかく少ない人員で、幅広い業務をこなさなければいけないので、職能的な役割分担は好ましくありません。なので、攻めと守りに分けて、それぞれを横断的に行っていく。また、No1とNo2はそれぞれ、攻めと守りそれぞれに特化した素養を持った人材で組み合わせるということは重要なポイントです。僕らの場合は偶然にも素養として、攻めの中嶋と守りの山田という人材の組み合わせだったので非常にスムーズに役割分担ができていたと思います。

友達ではなくパートナー

 二点目は、中嶋と山田が友達関係ではないということです。我々は大学で知り合いましたが、プライベートで遊んだことはありませんでしたし、今でもそのようなことはありません。かと言って、仲良くないわけではないのですが、プライベートで遊びたいかと言われると、、、あまり遊びたくはないですかねww
 それほど、私たちは日常普通に過ごしていたら、交わることのないような二人なのですが、この距離感は非常に大切だと考えています。友達だと言いにくいことを言えなかったり、変な情が湧いたり、結構めんどくさそうですが、我々にはそのようなことはなく、あくまでもパートナーとしてこの会社をどう前進させていくか。その一点に対して異なる角度からディスカッションできます。守りの役割を担う人は非情な意見を述べることも時には必要で(むしろそれができないと会社は死にます)、それが当たり前に言える関係性を保っておくのはとても重要です。

8:2の関係性

 8:2という数字は会社の意思決定に対してNo1とNo2がどれだけ決定権を持つべきかの割合です。我々はこの割合を明文化しているわけではありませんが、だいたいこのくらいになるように、僕のほうで調整します。なぜ調整するかというと、僕の自論として結局正しい結論を出せるのはNo1であるという考えがあり、意見が対立した時にはNo1の意見を採用するべきであると考えているからです。当然、僕にもどうしても譲れない時はありますが、数としてはかなり少ないです。No1とNo2ではやはり責任の重さが雲泥の差であることは、No1の姿を見ればわかるので、No1が考え抜いたことに関して、僕が無闇に止めても良いことは起きないと考えています。僕ができることとしては、異なる観点からの考え方を提示して、想定できていなかった事態を認識させること。その視点を与えた上で、No1が下した意思決定に対しては何も言わずに賛成するようにしています。

まとめ

 スタートアップにおけるNo1とNo2の関係性は非常に重要です。役割分担・パワーバランス・目指している方向性。特にビジネスサイドの二人でスタートする場合は、それら全てが適切な関係性でないと、会社の存続は難しいと思います。RENOの場合はたまたま中嶋と山田が素養として上手く凸凹関係になったこと。そして友達関係ではなく、ビジネスパートナーとして関係性を深めることができたこと。No1が圧倒的な姿を見せているために、No2が不必要に意思決定を止めなくて済んでいること。ここらへんが上手く働いて、今の関係性が出来上がったのだと思います。

山田が起業の誘いを3秒で即決できた3つの理由

悩まなかった起業の誘い

RENOは大学三年生の時に創業したのですが、そこでよく言われるのが、「よく学生のうちに起業したね」とか「すごいですね」とか「悩まなかったのですか?」という言葉です。自分の中では、起業をするという意思決定に関して、悩むこともありませんでしたし、すごいことだとも微塵も感じていませんでした(事実、起業するだけなら誰にでもできますしね)。今回はなぜ悩まなかったのか、その理由を思い返して3つにまとめてみました。

理由1:起業が最もリスクが低いと感じたから

山田は幼いころから絶対的な存在というのがあまり好きではなく、大企業という存在もあまり好きではありませんでした。また、高校生時代には暇な時に決算書とかを読みながら過ごしていたこともあり、大企業が永遠に潰れずに、安泰・安定しているという未来を描くことができませんでした。その中で、組織に従属して駒のように扱われることが最もリスクが高いのだろうということをなんとなく考えていたのだと思います。当時好きな言葉は「不安定こそ真の安定である」というプロ雀士の言葉でした。

学生起業については賛否両論ありますが、僕としてはキャリア全体を考えたら非常にリスクが低い選択肢だと思っています。当然、学生起業は一回の起業という単位でみたら、上手くいく可能性はあまり高くないです。先に組織に入り、もっと経験やスキルを積んで、それなりの資本を持って始めたほうが成功する確率は高いと思います。ただ、どんなに準備しても、スキルの高い人であっても、起業の大半は失敗することが確率論として出ている中で、家族を持ってから起業することのリスクの高さは、学生起業に比べると計り知れません。また、若いうちに「経営」というものを経験しておくと、経営者の視点が理解できるので、もし一従業員として働くことになった場合、それを理解していない従業員よりは遥かに経営者にとってありがたい動きを取ることができる自信はあります。給料日が来るとあまり嬉しくないという経営者特有の感覚などは実際に自ら経営してみないと絶対にわからないことなので、一従業員としてはバリューが非常に高い存在として重宝されるはずです。ただ、組織のトップというポジションに慣れすぎて、扱いづらい人間になってしまった場合は要注意ですね。誰もそういう人は雇いたくないので。たまたま僕はNo.2というポジションで、中間管理職的な立ち振る舞いも求められるので、そういうリスクはありませんが。そのため、一回の起業の成否ではなく、人生のキャリアにおけるリスクで考えれば、学生時代の起業のリスクはほとんどないに等しいと考えています。例え失敗したとしても、他の同世代よりも能力・視座・経験などにおいて勝るようになるため、普通に就職活動をするよりもスムーズに職にありつけることはできるだろうから、当時の起業自体にリスクがあるとは思っていなかったです。

理由2:中嶋との補完関係

いつかは、起業したいと思っていた矢先に、声をかけてきたのが代表の中嶋でした。僕はもともと表舞台に立ちたくなかったタイプなので、いつかそういう人が現れたらという意識は持っていました。その中で突然中嶋に声をかけられ、直感的に自分を最も補完してくれる人間であると感じました。普通に暮らしていたら決して交わらない二人ですが、たまたま大学のクラスが同じという縁があり、お互いを認め合う仲になっていた当時、これほどまでに自分と真逆の人間と一緒に何かができるチャンスは当分ないだろうと思いました。声をかけたのが、中嶋じゃなければ迷っていたかもしれません。

理由3:将来の夢の実現のために

僕は将来、自分で「私立高校を作る」という夢があります。高校生時代から思い続けていることであり、5年以上経った今でも、褪せることはなく、永遠の夢だと思っています。基本的に僕の行動原理は、この夢に近づくかどうかです。そして、この夢へ最も近づく方法が起業ではないかと、高校生時代から思っていました。なので、いつか起業するのだろうという想定はありましたし、それが「今」になったのか。という感覚を持った程度でした。僕の場合、自分の行動原理がとても明確でかつそれが自覚的なので、逆に起業の誘いを断る理由がなかったのです。

まとめ

以上3つの理由から中嶋から「やらないか?」という誘いを受けた3秒後に「やろうか」という返答をしました。学生時代に起業というアクションをとることに関して、全くリスクを感じず、待望のパートナーに誘われ、自分の夢に近づく可能性がある選択肢だった。そして、そこに断る理由が全くなかったため、即決することができたのだと思います。ただ、この三つのうちどれか一つでも欠けていたら(起業をリスクだと捉えていたり、誘われたのが中嶋じゃなかったり、将来の夢が別のことだったりしたら)相当悩んだと思います。それくらい、僕の場合はたまたま断る理由が全くないような状況・タイミングだったため、起業をするという意思決定に至ったわけです。