株式会社SCOUTERのCOOが人事を尽くして考えた

渋谷で「SCOUTER」を運営する株式会社SCOUTERのCOOがスタートアップ・組織について書いているブログです。

【スタートアップ原則シリーズ】1.全ては「順番」で決まる

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スタートアップをやっていると幾多の失敗を繰り返します。これは避けられないことで、個人的にはさっさと失敗できて良かったと思うようにしております。ただ、その中で重要なのは同じ失敗を繰り返さないことであり、自分としても忘れないように「スタートアップの原則」として記していきたいと思います。全てのスタートアップが参考になる、普遍的な内容を目指してまいります。

全ては「順番」で決まる

これまでのSCOUTER社を振り返った時に、最も大きな失敗はあらゆる「順番」を間違えたなということです。一つ一つの物事に対する取り組み方が悪い訳ではないのに、なかなか上手くいかないという時期が長い期間ありました。その一番の要因がなんだったかと考えると「順番」だったわけです。順番は日常用語では「優先順位」という言葉がよく使われますが、ここで言う「順番」はもう少し広義の意味です。例えば、どういう事業から始めるか、どういう人材から採用していくか等も含めて、スタートアップにおける全ての行動の「順番」のことを指しています。この順番を間違えることが、全ての努力を無力化することに繋がってしまうため、経営者の一番重要な仕事だと思います。特にスタートアップの経営者はこれを間違えると死に直結します(そもそも与えられている制限時間が短いため)。それを痛烈な言葉で表現しているのが以下の言葉です。スタートアップが破綻する最大の理由をこう説明しています。

スタートアップは単に「お金が足りなくなる」のではない。そうではなく、彼らはお金がある間に、問題に対処することをずっと怠っていたのだ。失敗が先に起きるのではない。創業者が手遅れになるまで問題を自己正当化し続け、最も深刻な課題に対処するのを避けたときに失敗は起きる。

jp.techcrunch.com

最強の戦い方は各個撃破

「順番」の原則における最も重要なことは「各個撃破」という戦い方を基本とすべしということです。何かの問題を解決したり、強い敵を倒すためにスタートアップができる唯一のことは、一つの対象物に集中するということです。これは戦の基本中の基本です。弱い者が強い者を倒す最善の方法は一人を全員で殺しにいくこと。それを何回も繰り返せば、いつの間にか敵は全滅しているのです。過去の戦争の勝敗の要因や戦略を学ぶとそれがよくわかります。以下の記事は背景等がなくてもわかりやすく説明されております。

ミリオタでなくても軍事がわかる講座 - 戦闘の原則その三・「集中の原則」って何?

経営も同様であり、一つの問題に徹底的に取り組み、解消したら次の問題に取り組む。この各個撃破こそが成長を最も早める戦い方であるにも関わらず、どうしても色々な対象に分散させてしまう。SCOUTER社でも何度もそのようなことが起きていました。その理由を考えるとだいたいは、以下の三つのどれか。

  1. 順番をつけることに時間を使っていなかった
  2. つけた順番に納得していないメンバーがいた
  3. 1位以外のものは取り組まなくて良いと言えなかった

戦場において、誰をターゲットにするかを決めない。ターゲットに納得いっていない。ターゲットを狙いつつも、他の人も倒しにいけと隊長が言っている。こんな状況で戦力が少ない自軍が勝てるわけがありません。ただ、そのことに理解はできても、実行するのは非常に難しい。それは「順番」をつけるという行為に本当に真剣に取り組む人が実はとても少ないからです。

「順番」をつけることは恐怖との戦い

なぜ、順番をつけることを人は避けるのか。その理由は順番をつけることが心の中の恐怖を増加させることに繋がるからです。なぜなら順番がつくと、順番が低いことはどうしても取り組みが弱くなる。放置することになる。それに対しての不安や恐怖を心の中で拭うことがなかなかできないのです。この恐怖を乗り切る心の強さのことを僕は「胆力」と言うのだと思います。経営は論理だけで上手くいくゲームではありません。このような心の不安・恐怖との戦いに勝たなければいけない感情のゲームでもあるのです。

「順番」を考える四つの視点

では、スタートアップではどのように順番をつけていくのが適切なのか。スタートアップにおいて最も重要なことをどうやって導き出せば良いのか。その精度を上げる能力自体は経営者自身の試行錯誤と失敗の積み重ねが重要だと思いますが、これまでのSCOTER社を振り返ると以下の四つの視点を持っているべきだったと学びました。

  1. バリューチェーン
  2. ボトルネック
  3. 連続性
  4. 資産性

1.バリューチェーン

一つ目はバリューチェーンの先端の方が重要性が高いということ。我々はサービスを通して何かしらの「価値」を提供しているわけで、それはサービスの提供するバリューチェーンを通して徐々に価値が形成されていきます。このバリューチェーンは全てのプロセスを通って顧客の元に届かないと意味がないわけで、スタートアップの事業において一番良く起きる問題は、顧客まで価値が届ききってないと言うことです。SCOUTERでも一番最初にユーザー獲得に注力して大きな失敗をしました。ユーザー獲得とはバリューチェーンの一番最初であり、最も価値提供から遠いところにあります。ユーザー獲得を改善したところで、その先のバリューチェーンが上手く機能しなければ何の意味もないわけで、KPI主義の機能不全が起きる理由もここにあります。事業としての価値はバリューチェーンを全て綺麗に通った先にある顧客に届いた価値のみである。なるべく顧客の成果/価値に近い部分から改善を行うべきなのです。この視点に関してはグロースハック領域の誤ったフレームワーク利用の事例が一番参考になるかと思います。以下の記事にそれがよくまとまっております。

growiz.us

2.ボトルネック

二つ目はボトルネックから手をつけるということ。当たり前のように思えますが、意外とこれが難しいものです。「自社の最大のボトルネックはどこですか?」という質問に社員全員が同じ回答になるでしょうか?おそらくほとんどがならないと思います。それほど実はボトルネックが「認知」によって形成されており、「事実」に基づいて形成されているわけではないのです。ボトルネックは元来、製造におけるサプライチェーンマネジメントという領域において発達してきた概念であり、製造の世界では全てのサプライチェーンのプロセスを数字化するのが当たり前になっているわけです。だからこそ、ボトルネックは常に自明のものであるという前提が成り立ちやすいのですが、これをインターネットサービスに持ち込むと簡単ではないわけです。サプライチェーンの経路も多種多様であり、全てのユーザー行動を数字化することも初期のスタートアップでは困難な場合があります。その中でボトルネックは自明ではないわけで、社内での認識の擦り合わせが必要になるのです。これをやらないと、全員の認識がずれ誤った順位がつくことが多々あるわけです。そのため経営者は以下の二つのことをする必要があるのです。

  1. できるだけ早くボトルネックが自明になるようバリューチェーンの数字を可視化する
  2. サービス内のボトルネックが何か常に明確に言葉にし、メンバーに伝える

スタートアップ領域における名著である『HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント』のメインの主張もここであり、マネージャーの効果を最大化するためにはボトルネックを明確にすることが重要であることを教えてくれます。

studyhacker.net

3.連続性

三つ目は連続性です。連続性とは「AがあるからBが成り立つ」「AがあることによってBはより効果を発揮する」というような、独立して機能することが難しい性質のことを指します。スタートアップ経営はストーリーを紡ぐことであり、個々の事象は小さくても、一連のストーリーになること、断絶しない連続性を獲得し続けることが、指数関数的な成長を生み出す重要な要素です。例えばプロダクト開発において、単体ではAという機能の効果が高そうであったとしても、それはBという機能が使われていることによってより効果が高まるのであれば、まずはBの機能を使ってもらうことに注力すべきなわけです。このような、連続性を獲得できるロードマップを引くことは、経営者の重要な仕事であり、連続性を無視したぶつ切りの活動は大きな無駄に繋がります。

4.資産性

最後は資産性。その活動がどれだけ今後の資産になるかという観点です。短期目標を追いすぎるとどうしてもこの資産性が乏しい活動ばかりに焦点が当たりやすくなります。SCOUTER社でもまさにこれを幾度となく体験しました。「今月の目標を達成する」ために行うことは資産に繋がらない行動。しかし、確かに最も早く今月の数字が上がりそうな施策なわけです。そしてメンバーは与えられた目標を達成することに重きを置くわけなので、この状況で資産性を考えろと言われても無理なわけです。そのため、経営者は目標を少しロングスパンで設定したり、資産性が乏しい施策は行ってはいけない等、明確な方向性を打ち出す必要があります。

四つの視点で社内リソースについて考えてみる

最後に、上記四つの視点について具体的な例を用いて考えてみたいと思います。これまでSCOUTER社では「常にリソースが足りない」という問題を抱えていました。これに対して四つの視点を基に以下の「順番」で取り組もうと決定しました。

  1. 今いるメンバーのパフォーマンスを最大化する
  2. 入社直後のメンバーがパフォーマンスを出せるまでの期間を最短化する
  3. 採用の失敗確率を最小化する
  4. 内定後の入社承諾率を最大化する
  5. 母集団を最大化する

これまでは「リソースが足りない」という問題に対して真っ先に採用だ!!という意思決定になり、何人採用できるか、そのためにどれだけ候補者にアタックできるかを最重要視していました。しかし、よくよく自社の状況を見回すとボトルネックは採用ではなく、今いるメンバーが100%機能しきっていないことによる、一部のメンバーへのしわ寄せが起きていることや、採用しても活躍できないまま離職してしまうという「入社後」でした。バリューチェーンの視点で考えても、このリソース足りない問題の価値は「リソースが足りてる」「業務が問題なく回っている」という状況なのであり、メンバー数ではありません。そして、採用というのはあくまでもフローであり、資産性があるわけではなく、会社としての資産は入社後のパフォーマンスをどう上げていくかや、採用を失敗しないためにはどうすれば良いのかという制度やノウハウの部分にあると判断しました。そしてこれらの連続性をロードマップにまとめると、上記の順番で取り組むのが現状は最適だろうと判断したわけです。

経営者は「順番」を決めることに一番時間を使うべき

「順番」が決まると、その順番に基づいて全ての時間が消費されることになります。それほど、順番というのは重要な概念です。また、「順番」が決まっていない時は、全てが混沌となり全員のフラストレーションが溜まり、組織は空中分解します。故に、経営者に最も求められることは、最も成功確度が高いと思われる「順番」を決め、その順番を全てのメンバーに理解してもらうようコミュニケーションを取ることなのです。そのことを忘れ、順番を間違えたことによる失敗は全て経営者の責任であり、メンバーを責めることはできません。なぜなら、スタートアップで頑張るメンバーの頑張り方はそれは異常なものであり、当たり前に全員頑張っており、全員努力しており、全員が本当に成功を願っているので。それを成功に導けるかどうかは全て経営者の責任なのです。

突然暇になったCOOが真っ先に手をつけた5つのこと

COOはなんでも屋

ついこの間までは新規事業の立ち上げを行なっていたのですが、最近その事業に事業責任者をつけて自分は現場から離れることになりました。もちろんその事業責任者を支援していきながら、その事業を成長させる責任を持つことには変わりないのですが、これまで9割くらい時間を割いていたものがポンとなくなった訳です。ちょうど事業も軌道に乗ってきて、これからどんどんアクセルを踏んでいきたいと思っているタイミングでCOOとして何をするべきか真剣に考えまして、まずは5つのことに取り組んでおります。

成長を止めない設計がテーマ

突然目の前からやることがなくなり、会社の状況を冷静に見つめた上で、今何をやるべきかを考えた結果、「設計」が重要だと考えました。これまでは真っ当に設計を行う時間がなく、とにかく走りながら、作りながら、後付けで設計をしていったというのが正直なところでした。初期のスタートアップはそれが正しいと思いますし、そうじゃないとどうしてもスピードが遅くなりますし、リソース足らないですし、設計してもすぐにピボットだったり方針が変わるのが当たり前なので、真っ当な設計というのはコスパが悪いんです。ただ、ここに来て目の前に成長シナリオが描かれており、その実現可能性が高いと判断した時に、このままだと事業以外の要因で成長が止まるのではないかという危機感を感じました。事業以外の要因で成長が止まるって恐ろしく勿体ないことであり、予防法は多数ある訳なので、今後の成長に耐えうる拡張性の高い組織を設計しようと決めた次第です。

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1.IPO事例の研究

まず最初にやったのはIPO事例の研究です。IPOは狙ってするものであり、どうしたらIPOまで到達するのかは経営メンバーで徹底的に共有されているべきものです。とにかく社長がIPOするぞ!!って言って、どうなったらIPOできるのか、どのようなIPOを目指すのか、何を目的にIPOをするのかとかが共有されてないとただの地獄ですよね。なので、まずは先行事例を自分たちの手で調べて、どういうIPO事例が自分たちのベンチマークになるのか、ベンチマークしている企業がどういうIPOをしているのか等の肌感覚を身につけたく研究を始めました。色々と調べて行くと、同じ業界でも知らない競合が見つかったり、自分達のイメージの時価総額と実際のギャップに驚いたり、知らないことがたくさん出て来て、事業計画の設計に非常に役立つ訳です。未知のIPOという目標に対して、これまでは事業作りというプロセスを通してなんとなく近づいて行っているというイメージでしたが、この研究作業を通して「経営」によって意図的にIPOに近づけていける感覚を養えております。以下、一社ごとにだいたい調査する内容です。

  • 上場時の時価総額等の基本情報
  • 上場までの財務ハイライト
  • 株主情報
  • 経営者情報
  • 過去の資金調達の内容
  • エクイティストーリー
  • BSの構造

上記を掴んでいくと時価総額のつき方の感覚であったり、資金調達のパターンであったり、事業の成長ドライバーが実態としてわかってくるので、自社の場合どうなるかに落とし込みやすくなりました。

2.採用計画の作成

次に手をつけたのが、採用計画。これまでももちろんざっくりとは作っていましたが、人事担当もつけたということで今回かなり精緻に作り込みました。ポイントは採用人数だけでなく、どんなスキルセットの人員をいつまでに、どのような手法で採用するかまでセットで作成したこと。成長局面にあるスタートアップにおいて、採用できないことによる成長の阻害は致命的なので、特に採用手法については議論を重ねどうやっても計画通り採用できる採用予算を計画。また、できる限り予算を投じるものに関しては今後の採用のアセットになるものか、人事工数を削減できるものに限定。人事の労力をクロージングに集中できるよう計画を立てることで、投資対効果の向上と労力が少ない中でも目標達成が可能なものになったと思っております。ここら辺の詳細はまた別の記事で書こうと思います。

3.評価制度の設計

評価制度は本当に難しいので、試行錯誤の真っ只中ですが組織のコアだと認識しているので、かなり検討を重ねております。感覚とか無限のエネルギーをもとに生きてる社長とかは評価制度の重要性を過小評価しがちなんですが、組織ってほとんどが普通の人間で構成されているわけで、めちゃめちゃ重要なわけです。"普通"の人間は"他人の評価"の中で生きてるので。で、これが不平等とか不公平とかって言われると、組織の中で悪いことしか起きないわけで、それが1~2人だったら個別対応できるのですが、個別対応が不可能になってくると制度で担保する必要があるんですよね。ただ一度会社の思想にマッチするものができたら、かなりリターンは大きくて、制度が気に入らない人はそもそも相性が悪い人なので早く去ってもらった方が良いということになり、個人よりも制度に対する感情の方が色んなことが対処しやすくなるかなと思っております。というわけで、現在進行系で設計中でございます。

4.入社後のフォロープロジェクトの策定

結構スタートアップで疎かになりがちなのが、この入社後のフォローアップだと思っております。採用したメンバーが活躍するかしないかというのはその人の能力に依存してるわけじゃないと思うんですよね。採用したメンバーのその後の活躍のキードライバーは、「入社後どれだけ早く成功体験を積んでもらえたか」だと思っていて、それってかなりフォローアップで支援できることだと思うわけです。逆に創業メンバーって途中から組織に入るっていう経験をあまり知らないので、この視点抜けがちなんですが、普通に考えて入社してすぐに成果出せって結構無茶ですよね。会社の基本的な生態系というか、成果を出すための基本情報を知らない中で成果を出すってのはあまりにもハードモードなわけです。なので、入社後のフォローアップを体系化して仕組み化しておくことで、最短で「必要な情報」や「良好な人間関係」を提供することができ、入社後の活躍度合いを高めることができるのです。これは採用スピードを上げる前にやっておいた方が良い、一人の採用効果を最大化する最も重要な活動だと思います。

5.最適なBS構造の思案

これまではほぼPLのみの経営をしていたんですが、やはりIPO事例を見ていく中でBSのコントロールの重要性に気付かされます。事業の特製ごとにBSの構成はかなり変化があり、資本の効率性を高めるというマーケットの要求に応えるためにはIPOを意識したころから、その訓練をしておいた方が良いなと。特にCOOはこの先CFOとのハイレベルな財務的コミュニケーションが発生する可能性も高いわけで、今CFOがいてもいなくても、誰かに任せるのではなく自分の中に考えを持っておいた方が良いと考えます。僕の理解では事業ポートフォリオを高解像度で最も理解しているのはCOOであり、その事業側の観点をCFOに正しくぶつける役割を担うべきだと思うわけです。財務的な選択肢も今後増えていく中で、組織設計の一環としてBS側のことを考える時間は確保しておくべきだと思います。

結論COOは面白い仕事です

ということで、ついこの間まで一つの事業のことばかり考えていたわけですが、今は組織のことであったり中長期的な事業計画を考えたりしてるわけで、本当にCOOというのは会社の状況によって色んなことをやるポジションだなと思うわけです。まぁ、結論的にはCOOってやっぱり面白い仕事ですね。今日の記事はそれが言いたかっただけなのかもしれません。

「裁量権」という魔法の言葉が与えるスタートアップへの誤解

昨今、ベンチャー企業/スタートアップ企業に対するイメージはどんどん変わって来ており、ありがたいことにスタートアップ企業へ転職したいという人は確実に増えていることを実感しています。スタートアップ企業としては活躍できる人材を採用できる機会が増えるためとてもありがたいことです。SCOUTER社でもこれまで多くの方々を採用させていただき、活躍している人が数多くいます。そのバックグラウンドは本当に様々で大手企業で働いていた方もいれば、大学を中退して入社したメンバー、病院のクリニックで働いてたメンバーなどもいます。しかし、その一方なかなか活躍できずSCOUTER社を去っていった方々がいるのも事実です。

スタートアップ=裁量権というイメージ

皆さんはスタートアップと聞いてどんな職場環境を思い浮かべるでしょうか。小さいオフィス、若い社長、派手に資金調達をしている、激務。いろんなイメージをお持ちだと思いますが、転職を考えている人に聞くと多くの方々が「裁量権が大きい」と答えます。

  • 領域関係なく色んなことにチャレンジできる
  • どんどん色んなことを任せてもらえる
  • 成長機会が多い

上記のようなイメージをスタートアップにお持ちの方が多いようで、「成長したい」、「裁量権持って仕事したい」という方はスタートアップへの転職を検討する方がとても多いです。

裁量権を理由にスタートアップへ転職する人は失敗する

個人的には裁量権が欲しいからスタートアップへ転職したいと言う人はだいたい考え直した方が良いとお伝えします。「裁量権」という言葉を使ってる時点でイメージが先行しているんだろうなと思うからです。スタートアップって皆さんが思ってる以上に地味です。そして会社としての原理原則は大手企業とも変わりません。経営してる側からすれば「スタートアップだから」裁量権が大きいという構造は大いに間違ってると思います。事実SCOUTER社でも毎日地道にテレアポして営業してるメンバーもいます。それはこれから先も変わりません。これからも一定数そういう仕事は残り続けるし、誰かがやらないといけない仕事です。

企業として変わらない原理原則

経営する身として、仕事であったり、人事というものはどんな会社でも変わらない原理原則があると思います。こういうことは「スタートアップだから」違うってことはないんです。

  • 成果を出した者に責任が大きい仕事を任せる
  • 自ら手を挙げた者に新しい機会を与える
  • 経営に関わる意思決定は取締役会で決定する
  • 社長が最終意思決定者
  • 仕事ぶりをチェックする上司がいる
  • 管理部門は正しくお金が使われているかチェックする

上記であげたことは会社組織としての原理原則です。メンバーとして働く上でこの原則がなくなることはありませんし、弱まることもありません。そのため、当然成果を残してない人に大きな仕事は任せません。どんなに自分のアイデアが良いと思っても、経営レベルの意思決定が必要なのであれば役員・社長に納得してもらわないと実行することはできません。誤ったお金の使い方をしていないか、必ず確認されます。大手だろうがスタートアップだろうがこのような働く上での前提に大きな違いはないのです。

スタートアップこそ裁量権は自分で勝ち取らないといけない

スタートアップという環境は非常に差が出やすい環境です。そもそも人も少ないですし、求められることも多いので、それを達成できた人と達成できなかった人の差分は驚くほど大きく、明確になります。故に成果を残した人はどんどん次のチャンスを与えられ、成果を残しというサイクルを繰り返し、驚くような速さで成長したり、経験を積んだりします。スタートアップではそうやって成功した人がフューチャーされることが多いので、なかなか気づけないのですが、その一方で自分の役割を果たせず、故に新しいチャンスもないままスタートアップを去っていく人が多いのもまた事実です。つまり、「スタートアップだから」裁量権があるのではなく、スタートアップでは「成果が明確になるサイクルが早いから裁量権を獲得するまでのスピードが早い」という表現の方が適切でしょう。そして、これはあくまでもスピードの問題であり、そもそも成果を残せない人は裁量権なんて手に入るわけがありません。

裁量権を欲しがる人は自由を求める人と同じ

会社に裁量権を求めてる人って、「人生、自由に生きたいです」「今の世の中不自由だわ」って言ってる人と同じだと思うんです。世の中、本当の自由なんてないじゃないですか。人間なんて制約の中で生きていくしかなわけで。生まれた瞬間に男か女か決まっていて、両親も決まっていて、寿命の限界もだいたい決まっいて。めっちゃ制約だらけじゃないですか。基本的な自由って、民主主義の成立でほぼ一段落としてると思うんですよね。これ以上の自由って社会が提供するのは難しいわけです。その中で自分の自由に生きれる可能性ではなく、不自由さを嘆く人って自分では何も変える気がないんだと思います。そして裁量権を求める人も同じなわけです。こういう人が大手からスタートアップに転職したからって裁量権をもらえるようになるって認識するのは非常に危険なわけです。当たり前ですが、まず成果を残せて初めて裁量権が与えられることを忘れてはいけません。スタートアップにはスタートアップなりの制約が無数に存在しているのです。

自分の人生を自分で創りたい人と一緒に働きたい

大手にあって、スタートアップにない最たるものが何かと言われれば、それは常識、慣習、マニュアルでしょうか。これだけはスタートアップほとんどありません。むしろこれからそれを創っていかないといけないわけで、だからこそ意思決定の回数はめちゃめちゃ多いです。ただ、その意思決定が「誰かがそう言っていたから」「これまでそうだったから」「なんとなく良いと思ったので」という根拠や意思のないものではダメで、徹底的に「あなた」の意見が求められます。そして、その意見が良いと思われれば、それが実行され成果に繋がっていく。そういう意味でスタートアップは「自分」をしっかりと持つことが求められます。なんかたいそうなことを言ってますが、別に圧倒的な価値観とかビジョンを持っていなければいけないわけではありません。そうではなく、「自分の人生は自分で創る」という姿勢こそが最も重要で、それさえあれば自分で考え、意見をぶつけ、どんどん良い意思決定ができるようになり、それが成果に繋がり、大きなチャンスを与えられるのです。自分の人生に責任を持っている人こそスタートアップが求める人物なんだと思います。

SCOUTER社は「自分」を強く求めてる人を絶賛採用中です

SCOUTER社のバリュー(行動指針)はまさにスタートアップで必要なことを体現していて個人的に大好きです。代表の感性から音楽のジャンルで表現されているのですが、ピンと来た方がいたらぜひ会社に遊びに来てください。

  • ROCK→正解は探すものではなく、創り出すもの。立場や結果を恐れず、自らの正しさを証明するまで闘い続けよう
  • JAZZ→絶えず時間が流れ、状況は変わり続けている。型に嵌らない、その瞬間の最高パフォーマンスを追い求めよう
  • PROGRESSIVE→誰もやっていないことに、誰も気付いていない価値がある。誰も実現したことのないことへの挑戦を喜び讃えよう

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バリューを存分に感じられるオフィスと豊富なお飲み物で歓迎いたします。

「これ本質的じゃなくね?」~社長と現場が噛み合わない理由とその対処法~

「社長の言ってることがわかりません」

スタートアップに限らないと思いますが、この言葉よく聞きますよね。COOとしてよく言われるセリフTO3に入るのではないでしょうか。これ放置してるとお互いにストレスが溜まって非常によくない状況になります。経営側は俺らの言ってることを理解できてない能力低いメンバー。現場側からすると無理難題を言ってくる人、現場のことを知らない社長みたいな認知になって、お互いが理解できなくなっていくんですよね。だいたい社員数10名くらい超えてくるとこの問題が出てきます。要員としては以下あたりでしょう。

  • 社長が現場から離れつつある
  • 経営から遠いメンバーが増えている
  • 会社のステージが上がって、より大きな枠で戦略を考える必要が出てくる
  • 事業の成長に組織の成長が追いつかず現場のオペレーションが大変なことになっている

上記のような状態になってくると、社長と現場はまず噛み合わなくなります。僕から言わせれば噛み合わないことは適切な成長だと思えるので、逆にずっと噛み合っていますよって状況の方が怖いなと思いますが。それで、まぁこの状況になったということ自体は成長の表れで良いのですが、この状況がずっと続く、解消される気がしない、社長がマジでキレ出す。みたいなことが継続するとそれは組織しては良くない傾向です。その場合、早めに対処した方が良いでしょう。今回は、SCOUTER社の実例をもとに対処法を考えたいと思います(SCOUTER社は現在進行形でこの問題に取り組んでいる最中でございます。そのため日々成長を実感している最中でございます)

原因は本質到達までのスピード

まず考えたいのはなぜ、社長と現場は常にズレるのか。もちろん社長が現場を知らないからということは一つの答えだとは思うのですが、それって規模が大きくなるとどうやったって解消できないじゃないですか。僕としては別の原因があると考えたい。そこで、一週間社内の社長とメンバーのコミュニケーションに耳を傾けていたところ、気づいたことがありました。社長はずっと「本質」みたいな言葉を使って投げかけているんです。「それって本質的?」「それって本当に必要?」「なんでそれやるの?」みたいな。そして、その問いかけに対して頑張って回答しても滅多打ちにされてつけ返されしょげるメンバー。みたいな構図が頻繁に起きており、なぜこうなるのかを考えてみました。

そもそも「本質」って何?

まずこれですね。本質ってなんでしょう。これ思うんですが、言われた側はポカーンってなりません?「本質って何??」って。まぁ、本質って言葉自体はとても使いやすいから使うんでしょうが、具体的な言葉にするのが難しいからこの言葉を人は使ってしまうんだと思います。で、「本質」って何だろうと考えたのですが、どう考えてもこれ以外の答えは思い浮かびませんでした。

「本質」=「最も大切なこと」

社長の言いたいことってそれだけな気がします。最も大切なことにお前らはリソースを割いているのかと。その気持ちの表れが「これ本質的じゃなくね?」という言葉に繋がるんだと思います。

「最も大切なこと」だけに集中しないとスタートアップは死ぬ

スタートアップってめちゃめちゃリソース少ないので、リソースを集中させてないと戦えないわけです。だから社長はそのことばかり考えてる。自分の事業において最も大切なことは何だろうと。それ以外のことはやりたくないし、メンバーにやらせたくないんですよね。だから、何回も問いかけます。「それって最も大切なことですか?」って。でも、現場のメンバーは目の前の問題に対処するのに精一杯です。リソースないから、やることいっぱいで、目の前の数字も上げなければいけない。とにかく、目の前に対処するために考え、動いている。するとどうしても、「最も大切なことに」に行き着くまでに時間がかかってしまう。そりゃ、最も大切なことは何かを一日中考えてる社長と、目の前の問題を処理して残った少しの時間だけで考えてるメンバーと。本質到達までのスピードには差がどうしても出てしまう。この差が出てしまっている時が、社長とメンバーのズレが生まれる瞬間だと思うのです。

SCOUTER社で起きたズレその1

ついこの間、PMメンバーと社長でズレが起きてました。プロダクトの1機能の仕様を決めたくPMメンバーが社長に壁打ちをしていたのですが、一向に話が進まない。そのコミュニケーション内容を聞いていると原因がよくわかりました。社長はどんなものを作るのかのアウトプットを前提に議論をしたかった(そのディスカッションが本質であり、それ以外は不要なディスカッションだから)。しかしPMメンバーは段階的に議論を進めたかった。どういう方向性で作っていくか、機能の重要なポイントはどこか、どういう文言を載せていくか。それを一つずつ確認を取ることがPMメンバーにとっての壁打ちだったのです。なので、結局何作るの?ワイヤーフレームは?全然イメージわかない。やり直しということで、何も前に進まずに終わったと。そしてその事態にPMメンバーは戸惑い、どうしていいかわからない状態に。

SCOUTER社で起きたズレその2

事業責任者と社長の間でズレが起きてました。目標設定において、KGIを達成させるために複数のKPIの積み重ねで達成しようと設定したところ、何で複数個設定するの?どれが一番大事なの?何で一個じゃないの?全部達成できるの?というコミュニケーション。ここでも何が最も大切かという問いを社長はしていました。そしてそれに集中しろと。現場メンバーはどうしても様々なことが現場で起きているため、あれもこれもと全てに対処しなければと思いがち。それに対して一つに絞れと言われ、現場で起きてることと乖離してる、一つに絞っていいのかと疑問を抱くように。

どちらもただのズレであり、すぐに解消できる問題

どちらの事例も僕から見れば、両者の言い分はわかります。現場から見れば、経営から見れば。どちらもそうであり、ただ最終的には経営的な視点が重要になるため、社長の言ってることが正しいということになる。これは別に能力とかそういう問題ではなく、ただのコミュニケーションのズレでしかない。ただ、こういうコミュニケーションのズレがずっと解決されないと根本的な問題のように感じてしまうことがあり、そこに陥るのは最悪です。社長の人間性がとかメンバーの能力がとかそういう問題ではなく、単純にコミュニケーションと考え方のズレであり、そこを正してあげることが重要になります(それが以外に難しかったりする時もあるのですが)。以下、三つの対処法がありますので、少しずつでも実践すればこの問題は解消に向かうかと思います。

社長と現場のズレを解消する三つの方法

その1:本質の基準・視点を設定する

「本質」=「最も大切なこと」と言われて、すぐにメンバー全員が考えられるかと問われればすごい難しいです。何故ならばそこに基準・視点がないから。"何において"最も大切なこと?ということですね。これは組織に多様性が出てくればくるほど、いろんな回答が出てきます。故にどんどん本質が見えづらくなっていきます。そのため組織内での共通認識・前提が必要になってきます。個人的にはスタートアップは以下の三つの基準を本質とセットで考えることが良いのでと思っております。

  1. サービス価値における本質=戦略

    • 我々が提供するサービスはお客様の何を解決するサービスなのか。今、その解決プロセスにおいて、何が一番の問題になっているのか。何が一番理想からかけ離れているのか。今、最も我々が解決すべきお客様の問題とは何なのか。
  2. 数値的事実における本質=データ

    • 数値的に見てどこが一番のボトルネックになっているのか。サービス価値を落としている部分は何なのか。数値上最も解決しなければいけないプロセスは何なのか。
  3. 顧客の声における本質=現場

    • 今、お客様が最も困っていると伝えてきてるものは何なのか。何故その部分をお客様は困ると伝えてきたのか。その困っていることはサービス価値に関連することなのか、しないことなのか。

この三つの視点から「最も大切なこと」とは何かを考えていき、重なっていく答えが事業における本質だと思いますし、社長もこの三つの視点のうち今この視点からフィードバックしてるよとメンバーに伝えると理解されやすいと思います。

その2:第三者が具体的な言葉でメンバーにフィードバックする

これ当事者だとズレにすごく気付きにくいんですが、端から見るとすごいわかるわけです。あっ、今すごいズレてたよって。そして何がどうズレていたのかを第三者が現場メンバーに対して具体的な言葉で説明してあげると、メンバーの納得度も高まるかと思います。これなしで進むと、社長が自分の話を聞いてくれなかった、社長は何を言っても理解してくれないという感情的な社長陰謀論になってしまうため、これは絶対に避けなければいけないことです。

その3:No2が本質を考えることを論理で説明する

基本的な考え方として起業するような人って本質をすごく理解してる人です。というか本質だけを考えることができちゃう理想主義者みたいなところがあります。本質のことばっか考えてるから、どんな問題に対しても本質を見抜くのは早いし、だからこそ社内で最も重要な意思決定ができる存在です。これは一生変わらない前提だと考えたほうがいいですし、社長が本質を考えるのをやめたらそれこそ会社は死んでいきます。そしてそれと同時に起業家って自分自身を論理で使って説明すること自体は苦手な傾向にあります。感覚的に本質を感じ取っているので、それを他者に伝えるのっておそらくすごい難しい作業だと思うんです。だからこそNo2が必要というのが僕の理解です。No2がそれを論理で汲み取り、論理でメンバーに伝えていく。本質とは何か、社長がどの視点で物事を考えているのか、何を重要視しているのか、なぜここまで物事にこだわるのか。それを論理で全員にわかるように伝えていくことこそ、No2の役割であり、理解されにくい社長という存在の実態を理解してもらえるように伝えていくのが仕事だと思います。なので、No2の方々は社長に変わることを期待するのではなく、社長の正しい感覚をメンバーに伝えていくことに労力を使うべきです。

スタートアップは最も大切なことから考えよう

社長は最も大切なことは何かだけを考えてます。そうじゃないと会社は成長しないし、生き残れません。そして、全員が自分の与えられた範囲の中で最も大切なことから考え、取り組むことができたら、それが強い組織に繋がります。スタートアップは社長の本質的な思考と直に触れ合える貴重な空間です。スタートアップで働いている人は、その貴重な空間を噛み締めながら社長と真っ向からぶつかってもらえればと思います。社長と向き合った人ほど大きな成長を遂げるので。

OKRってぶっちゃけ使えるの? 〜失敗から考えるOKRの本質〜

最近スタートアップの目標管理でよく「OKR」が使われています。OKRはグーグルやメルカリ等が使っており話題になり日本でも数年前から流行りだしています。詳しくは以下の記事あたりがわかりやすかと思います。

hiromaeda.com

careerhack.en-japan.com

弊社でもSCOUTERサービスをリリース直後、OKRを活用した目標管理を実施しましたが、正直上手く行きませんでした。今回はOKRが上手くいかない時とはどういう時か、OKRを採用する上での注意点等を過去の体験を基に考えてみたいと思います。

OKRが機能しなかった話

弊社で初めてOKRを採用したのはSCOUTERをリリースした直後です。プロダクトがリリースされ部署の構造がはっきりしてきたタイミングで、目標管理を実施したいと考え、方法を模索していたところOKRに巡り会いました。当時メルカリがOKRを採用して1年くらい経っており、当時COOの小泉さんの話を聞いて、弊社でも採用を決めました。しかし、約3ヶ月後にOKRの運用を断念しました。当時の我々には明らかに時期尚早だったのです。

なぜ機能しなかったのか

OKRの良いところはそのシンプルな構造にあります。全社→部署→個人と全ての目標が連動しており、個人の目標の因果がわかりやすい。そして目標自体が非常にシンプルに設定せざるを得ないシステムなので、メンバーそれぞれが自身の目標を理解し、納得し、集中することができる。この観点からスタートアップにとってはMBOよりもOKRの方が適しているという意見が多いかと思います。しかし、この非常にシンプルで、だからこそ集中が可能なOKRだからこそ機能しないタイミングがあります。OKRは半期もしくは四半期ベースで設定して評価をしていく形になります。しかしSCOUTERをリリースした直後の我々にとって3ヶ月間固定で同じ目標を維持すること自体が不可能だったのです。まだユーザーの理解も浅く、日々勝ちパターンを見つける日々が繰り返されている中で、全社の目標を変えるべき瞬間が多々ありました。しかし、OKRをカッチリ構築してしまったが故に、果たして全社の目標を変えるべきが否か、迷ってしまったのです。仮に全社の目標を変えた場合、連動して部署・個人の目標も全て変える必要があります。OKRはシンプルであり全てが明確であるが故に、柔軟性に欠けるということに初めて気がつきました。ここで言う柔軟性とはスタートアップ初期に見られる異常に振り幅の大きい変更に耐えられる柔軟性です。これにOKRを適応させることは非常に難しいのです。

OKRを採用してはいけない企業

以下、経験上OKRを採用することがメリットにならない条件です。どれか一つでも該当するのであれば、OKRのシンプルさというのが逆に大きなデメリットに繋がる可能性もあります。

  • 四半期以上のスピードで全社の方針・戦略・目標が変わる可能性があり、それを変えることが会社にとって適切な場合が多い会社
    • OKRのシンプルさ故に柔軟性が担保できず、運用が困難になります
  • 従業員の人数が少なく一人が複数の役割を担う必要がある会社
    • OKRのシンプルさというメリットを享受できない可能性が高いです
  • 評価・1on1面談等に工数をかける気がない企業、かける余裕がない企業
    • OKRはシンプルだからこそ、ごまかしが効かない目標管理です。目標に対する結果が出た時にそれを正しく評価すること、結果が出なかったメンバーに対するフォローに工数をかけられない場合、逆にOKRのシンプルさはメンバーの不満が出るきっかけになってしまいます

山田的OKR総論

  1. OKRの特徴はシンプル・連動性・目的志向
    • OKRは何度も言っておりますがとにかくシンプルです。シンプルであるからこそのメリットもあればデメリットもあります。そしてOKRの目標は全社目標から全て連動して設定されます。故に、全社の目標が変われば下の目標も全て変わっていきます。最後にOKRはObjectiveから考えるという目的志向です。目標管理は定量化が基本である中であえて、定性的な表現と定量的な表現をセットで設定させるOKRは運用重視の大企業ではなく、創造重視のスタートアップに適していると言えると思います。
  2. OKRを採用すべきタイミングはシリーズA終わったあたりがベスト
    • OKRは上記の特徴がある故に、運用を間違ったら非常に多くのデメリットを享受する可能性があります。会社の方針がどの時間軸で変遷していくべきなのか、社内に人事機能があるか等を鑑みるとシリーズAの調達が終わり出した頃から少しずつ運用を始め、半年くらいかけて試行錯誤を繰り返して行くあたりが適切な導入時期のように思えます
  3. OKRは経営者の力量に依存する
    • OKRを採用して改めて実感したのは、非常に経営者の力量に依存する目標管理手法だということです。OKRでは直属の上司よりも経営者の初期設定の方が重要です。それは常に連動性を伴っているからであり、最低でも四半期は全社目標が常に正しい設定だと従業員が理解できる目標を設定しなければなりません。連動性があるからこそ、全社と個人が切り離されていないので、経営者の力量がOKR運用の成否に大きな影響を与えます。
  4. OKRは万能ではないが、「目標設定」という活動における理想形
    • 当然ですがOKRを採用したからと言って、経営が上手くいくわけではありません。上記で説明した通り、企業の状況や経営者の力量によって採用すべきか否かは別れます。ただ一つ経営者として認識すべきはOKRの構造というのは「目標設定」という意味ではかなり理想に近いものであるということです。近代経営において経営者と従業員という関係性は崩れてきており、主従関係ではなくフラットな関係性に近づいてきています。その中で、従業員はただ与えられた数値目標を達成する駒でもなければ、目標の意味を理解できない馬鹿でもありません。企業としての共通の目的に共感し、その目的を達成するための同志であるのが、近代経営における従業員です。その関係性を体現するためにはOKRの構造を持った目標設定というのは非常に優れているため、経営者はできる限りこの構造を目指すべきだとは思います。

結論:なぜ目標管理をしたいかから考えよう

OKRはあくまでも目標管理の一つのスキームでしかありません。このようなスキームを使いこなすためには、そもそもなぜ会社として目標管理をしたいのかから考えるべきです。目標を設定することが当たり前と思っている方も多いかと思いますが、目標を設定しない方が上手くいく時だって場合によってはあります。

*目標管理の目的等に関して、詳しくは前回書いたこちらの記事をご参照ください

故にそもそも何を目的に目標管理を行うのかをしっかりと考慮した上で、どのスキームを採用すべきかを検討すべきです。くれぐれもグーグルが使っているから、メルカリが使っているからという理由でOKRを採用するのはやめましょう。我々のように痛い目に合いますので。

与えた「目標」が機能するたった二つの時

「目標」の正体は何なのか

会社の中にはいたるところに目標が存在する。会社の目標、部署の目標、個人の目標。MBOやOKR、KPIなど目標管理に関する手法・用語も毎日飛び交っている。しかし、なぜ会社組織にはこれほどまでに目標が存在するのか。目標を設定することで上手く行ってる会社と上手くいっていない会社の差分は何なのか。最近は目標を設定することが当たり前過ぎて、きちんと理解できていないこともしばしば。今回はどのような時に目標という概念が有用なのか。つまるところ、目標を「与えること」の効果を考えてみました。

目標を与えること効果

目標を与えることによって得られる効果は主に以下の三つがあると考えます

  • 集中するため
    • 目標が定まることでやるべきこと、考えることの焦点が合い、それに集中することができるようになる
  • 継続するため
    • 目標を追いかけること自体に意味を感じ、物事を継続する、ゴールが見えていることで安心し、頑張ることができる、一度自分で決めたことでそれを否定しづらくなる
  • 修正するため
    • 理想状態があることで、理想との差分を認識することができ、現状の進捗度合いがわかるようになるため、進捗が悪い場合、早期に対処することができる

これを経営という活動に対して当てはめてみると、目標設定の意義は以下のようなものになるでしょう。

「経営において目標の役割とは、ある1時点での理想状態を定めることにより、従業員の意識をそこに集中させ、行なって欲しい活動のみを継続したくなるように仕向け、その活動が正しいかを日々修正することを可能にすること」

つまり、従業員の活動を間接的にコントロールする一つの重要な要素なのです。この目標設定が上手く行けば行くほど、従業員はその達成に集中し、継続し、日々修正を繰り返す。つまるところ、目標とは理想状態への到達可能性を高めるために有用な"環境設定"であり"思考ツール"であるというのが自分が考える目標の正体。目標には二面性あり、他者が目標を与える場合には"環境設定"の要素が強く、自分で目標を設定する際は"思考ツール"の側面が強くなる。経営者が理解しておくべきことは他者が与える目標というのは付与した者の"環境"を定義することであり、それによる影響というのは与えた人が想定する以上の影響を与えることになるということである。

与えられた目標が機能する時

経営における目標において最も注意が必要な点は立場によって自ら設定した目標なのか、与えられた目標なのかが異なるという点です。特にスタートアップでは経営メンバーが全社・部署・個人の目標全てを作ることも多いかと思います。すると、ほとんどのメンバーは目標を与えられた立場になります。この時、その目標を機能させるには以下のどちらかを必ず満たしていなければいけません

  1. 目標の達成自体に大きな意味があると理解できる時
  2. 目標に対して評価がセットの時

目標の達成自体に大きな意味があると理解できる時

一つ目は目標≒目的になる時です。設定された目標を達成すること自体に意味があるとき。何故これが機能しやすいかというと、従業員がよく陥る「自分は何のために頑張っているんだろう??」という自問自答に陥らず、目標達成すること自体に集中することができるからです。そして、目標≒目的になるというのは、別の言い方をすれば、目標を達成した瞬間に、次のステージへと進めたと感じることができることが重要です。例えば、月商1,000万円目指すという目標。もし月商1,000万円を達成することが、収益を安定させ次の新規事業に取り組める条件であったり、次の資金調達を成功させる一つの目安であった場合、この目標というのは達成すること自体で別の何かを可能にする目標になっています。このようなただの1,000万という数字ではなく、その1,000万に意味がある時に目標というのは非常に機能しやすくなります。経営者はこの数字に対するコンテキストを伝えることを努力しなければならないのです。

目標に対して評価がセットの時

しかし、どうしても目標自体に意味を込め辛い時もあります。例えば管理部門の目標だったり、四半期の目標。とりあえず一年後の目標から逆算して出てきた目標では、そこに大きな意味を感じることはできません。そのような時に目標を機能させる残りの方法は、目標に対して必ず"評価"をセットにすることです。従業員は常に正当な評価と小刻みなフォードバックを求めています。その欲望を満たすきっかけに目標を使うのです。目標の進捗・結果に対してしっかりと評価・フィードバックする。これ当たり前のように思いますが、特にスタートアップでは忙しい中でなかなかできていないことも多いかと思います。また、評価自体が形骸化して形式的になってしまっている場合もあるでしょう。その中で目標を与えられる従業員の気持ちを考えると、目標を達成した時には正当な評価がなく、目標を達成していない時は怒られる。この感覚に陥った時に目標という概念自体に嫌悪感を抱き出し、目標の効果が失われます。

目標は諸刃の剣

目標というのはどんな時も機能する万能なものではありません。特にスタートアップでは誤った目標の使い方をした瞬間に、負の連鎖に陥ったり組織が崩壊することもありえる。それほどまでに実は危険を伴った概念だと思います。個人的には目標を上手く機能させられない時は、目標というのを設定せず「ただただ全力で頑張ろう」という空気を作った方が上手くいく場面も多いかと思います(何が成功で、何が失敗かは定義した上で)。目標設定自体が会社の活動を非常に限定させるものであるということは、設定する側はよく理解しておいた方が良いと思います。その中でどのような目標を設定するべきかという問いに対してはそれぞれの会社によって違うでしょうが、共通して言えるのは以下の三つを満たすということです。

  • 目標とは達成するべきものでなければならない
  • 目標とは達成したいと思えるものでなければならない
  • 目標とは達成可能と思えるものでなければならない

そして目標を達成した時、会社のビジョンへと繋がる大きな一歩になると、メンバー全員が思える目標がスタートアップにおける機能する目標だと思います。本来目標というのを「与える」という行為は非常に難しい行為です。他人から与えられた目標というのはそもそも機能しづらい。ただ、それを乗り越える目標を設定し、機能させることこそが、優れた起業家の条件の一つなんだと思います。

# 2017年を振り返りシリーズAのスタートアップが後悔してる7つのこと

明けましておめでとうございます。随分と更新が空いてしまいました。2017年は会社としても個人としても本当に色々なことがあり、なかなかブログを更新できない期間が続いてしまいました。今年はインプットの量を圧倒的に増やし、アウトプットに繋げていきたいと思っております。今年もよろしくお願い申し上げます。

シリーズAの会社って選択肢が無数にある

2017年を振り返って、まず思うことはシリーズAというスタートアップの期間というのは本当に難しい状況なんだなということです。スタートアップのフェーズにおいて、シリーズA前後が一番難しいのではないかと思ってしまいます。おそらく、その要因の会社として取れる選択肢が最も多いからなのかもしれません。シリーズAまではとにかくプロダクトを作る期間。やることは顧客に求められるプロダクトを作るだけ。シリーズBを超えるあたりでは、既に勝ちパターンが見えてきて、組織の形も出来上がっているころ。いかに効率的に投資を行い、組織を運用していくかが重要になってきます(もちろん、これが非常に難しいことは承知しております)。その中で、シリーズAというのは、プロダクトの勝ちパターンが見えきっているわけでもない、組織体制が固まっているわけでもない、どこに投資をすればどのようなリターンが返ってくるかわからず、ひたすら試行錯誤の連続。正直言って、合理的な選択をし続けられる状況にはなりにくい。株主も増えてきて、それぞれのアドバイスも違ければ、IPOを視野に入れた経営をしていかなければいけなくなり、制限も増えてくる。そんなあらゆる不確実性がこの時期に集中する。シリーズAで成長が止まる企業が多いのはそんな経営の難しさを起業家が初めて体験し、それに適応するまでに時間がかかるからなんだろうと思います。今回は、2017年を振り返って、後悔していることを書いてみたいと思います。主に、「もっと早くこうしていれば」ネタが多くなるかと思います。

その1_もっと早く経理担当者を入れればよかった

今年の6月くらいまではバックオフィス業務をやる人は誰もおらず、自分が全てやってました。極限まで効率化すると、そこまで多大なリソースは奪われない。わざわざ人を入れるほどでもないかなと思いながらずっとやってきてました。ただ、年の途中から経理系と労務系を処理してくれる週3のバックオフィス経験者に手伝ってもらえるようになり、ここで愕然としました。確かに自分のリソースとして空いたのは20%程度です。ただ、それ以上に脳のCPUがガラッと空き、期限によるストレスも減り、圧倒的にクリエイティブに考えられる時間が増えました。人間というのはマルチタスクができてると思っている人ほど、おそらく自分の潜在パフォーマンスに気づいていません。なぜならこれまでの人生の中で限界まで一つのことに集中したことがないからです。僕はこの歳になって初めてマルチタスクから逃れ、本当に集中するということがどういうことか体感しました。それ以降、僕はほぼ全てのバックオフィス業務をお任せするようにしています。できるからやるというスタンスは経営者のリソース分配として不適切。従業員が1桁のうちに、バックオフィス業務は経営者がやらなくていい状況を作っておけばと後悔しております。

その2_もっと早く秘書的な人を入れればよかった

こちらも上の文脈と一緒。ただ、これはバックオフィスというよりはもっと雑務的なこと。この雑務が見渡すとめちゃめちゃ多いんです。そして、その雑務をそれぞれのメンバーがみんな少しずつ抱えながら、仕事をしている。これは非常に生産性が悪い。まずは経営者の雑務を剥がす。そして、次にメンバーの雑務も極力剥がす。それを任せられ、かつ丁寧にクオリティの高い仕事をしてくれる秘書的な人員が一人入っただけで社内全体の生産性が非常に上がりました。これはメンバーが10人を超えたあたりでいても良かったなと思っております。コストとしては月に20万ちょっと。確かにスタートアップとしては大きな金額ですが、コミットメンバーの生産性を考えると、十分な見返りがある投資です。

その3_もっと早く組織のことだけを考える人を入れればよかった

弊社にはつい最近まで正社員で経営企画・管理部に所属しているメンバーがいませんでした。全員が事業部に所属していて、事業のことを考えている。メンバーが少なかった時はそれで構わなかったのですが、メンバーが10人超えたあたりから、どうしても組織に亀裂が入ってくる。それもそのはずで、その亀裂が入る原因を集中して考える人もいなければ、対処も場当たり的。そして、メンバーの不満は組織という抽象的なものが対象になっていく。この状態すごい深刻です。事業が上手くっていない理由を、みんなが組織のせいにできるということです。組織に不満があり、それの解消に動けていないということは、成果が出ないことを正当化できる材料が増えるという他責思考を助長します。弊社では最近、組織のことだけを考える役割の人員を配置し、組織問題の調査・原因の検討・対策の実行まで行う窓口をしっかりと作ることで、組織自体の改善を図りながら、メンバーの意識を変えることにも成功しました。専属のメンバーを一人つけるということは、組織の問題を改善していくという経営側のメッセージにもなるので、これも10人超えたあたりから一人担当にすべきだったなと後悔しております。

その4_もっと経営者からのメッセージを伝える機会を増やせばよかった

シリーズAの時期って本当に色々あります。上手くいかないことの連続で、目標が未達になることもあれば、戦略を変更することもある。人の出入りも増えてきて、メンバーの経営に対する不信感が生まれる要因が時期的に増えてしまいます。ここで経営ができることって二つしかありません。数字として成果を残すことと経営としてのメッセージを伝えること。なぜ計画を変更するのか、なぜ戦略を変更するのか、今後の会社をどう考えているのか、失敗をどう受け止めているのか。非常に意図的に伝えない限り、メンバーには伝わらないんだなということを改めて実感しました。経営者としても上手くいっていない時はそれを隠したり、認められなかったりしがち。ただ、そこで強がっても何のいいこともなく、素直に認めた上で、次どうしていくのか、会社として変えること・変えないことは何なのかを明確にメッセージとして伝えていく場をもっと増やしていかなければいけなかったと思います。理想は週に一回はそのような機会を設けるべきかと思います。

その5_もっと採用選考に時間をかければよかった

もちろん、候補者探しに時間をかけるのは当然ですが、一個一個の選考にもっと時間をかけるべきでした。特に一次面接を超えた人に対して、その後一回/一時間の面接を何度重ねようと、これはわからないということがこの一年感じたことです。シリーズAの時期ってとにかく人手不足でやりたい打ち手が無数にあるにも関わらず、人がいないため、良さそうな人がいたらとりあえず採用しておこうという思考になりがちです。ただ、これが本当に組織を壊す要因で、経歴では本当に人はわからない。ピカピカの30代よりも新卒二年目の子の方が活躍するなんてザラで、正解のない問題に取り組んでいるスタートアップに過去の経歴は無意味。そんな中で、どう相手を見極めていくかはもっと真剣に取り組む課題でした。ここには惜しみない時間をかけて、できる限り入口の時点でリスクを最低限にする(もちろん、0にはできないが)。個人的には今振り返ると「その人と一晩語り合えることができるか」という物差しで見るべきだったなと思います。というか、本当に一晩一緒に過ごせるか、試してみる勢いの方が良いと今は思っています。

その6_もっと勉強する時間を確保すべきだった

どうしても現場が気になってしまうのがこの頃だと思います。ただ、せっかく軌道に乗ってきた時に次の打ち手を経営側が提示できなかったら、経営者の存在理由がない。最近、その瞬間を想像するとゾッとしてしまいます。もっとメンバーに任せられる仕事はないか考え、少し不安でも任せる。そのぶん、もっと次のことを考えるための勉強の時間を確保すべきであり、それをすることが経営者の重要な仕事なんだという自覚を持つべきだったと反省しております。そのため、今年は徹底的に学ぶ時間を確保することが個人的に重要なテーマです。

その7_もっとメンバーの考えを知れる仕組みを作るべきだった

会社としてある大きな決断を下すとき、初めて事前にメンバーの意見を正しく聞ける機会がありました。その時は、経営者ではなく別のメンバーがインタビューという形で1時間ずつ各メンバーにヒアリングをし、それを文字起こししたものを見ました。この時に、今までどれだけメンバーの意見を無視してきたか、そしてどれだけメンバーが正しい意見を持っているのかを痛感しました。ただ、これおそらくですが、経営者が意識して聞こうと思ってるだけでは、本当にメンバーの本音を知り得ることはできないと思っています。それはコミュニケーションをとる時間が足りないこともそうだし、経営者と従業員という関係上、やはり話しづらいこともあるだろうし。これをいかに吸い上げる仕組みを作るかが経営者の仕事だし、それができてる時と、できていない時では組織の強さが全く違うだろうなと思っております。経営者はいろんな人の意見を聞くべきです。ただ、その時によく外の人間の意見を聞きがちです。成功している人の意見、見識が深い人の意見、専門家の意見。たくさんの人の意見を聞こうと努めますが、意外と社員の意見を真剣に聞こうとする人は少ないのかもしれません。社員の意見には真実がたくさん含まれている。それを思い知った一年であり、来年はそれを仕組みで吸い上げられるようにしていきたいと思っております。

重要なことは経営者が最も大事なことが何かをわかっていること

シリーズAという不確実性が高い期間において、何が一番成否を分けるのかと問われれば、それは経営者自身が「自社がシリーズAの次へ進むために何が最も重要で、何に時間を最も割くべきで、そのためにできることを全て実行できているか」だと思います。目の前に踊らされず、最も重要なことに集中する。それが経営者の仕事だと思います。重要なことは各社それぞれ必ず違います。どこかの教科書に答えが書いてあるわけではありません。その答えのない問いに対して考え続けることが重要で、そこに焦点を合わせ続けられる集中力こそ、シリーズAの時期に求められることだと感じた2017年でした。今年は集中を切らさずに1年間走りきれるよう、メンバーを信頼し、十分な休息も取りながら、会社の未来を考え続けたいと思います。

それでは今年もよろしくお願いいたします。