株式会社SCOUTERのCOOが人事を尽くして考えた

渋谷で「SCOUTER」を運営する株式会社SCOUTERのCOOがスタートアップ・組織について書いているブログです。

イーロンマスクの言う週100時間労働が本当に可能か、スタートアップ創業者が試してみた

スタートアップにおける労働

スタートアップというのは常にリソースが不足していて、他の企業よりも何倍も働かないとなかなか追いつけないというのが実態だと思います。イーロン・マスクはスタートアップ創業者に対して週に100時間働くと良いと伝えているのは有名ですね。

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正直、以前の僕はこれに対してあまり賛成していませんでした。理由はただ一つで、長時間労働は生産性を落とすので、あまり効果的ではないと考えていたからです。当然、生産性を維持したまま働けるのであれば、それに越したことはないのですが、なかなかそれは難しいだろうなと思っておりました。人間には「体力」という有限のものがあり、精神に「体力」が追い付かない現象を僕は体感してよくストレスを抱えていたので、週100時間を望むことは不適切だと考えていました。週100時間って単純計算で毎日14時間働くと達成できます。普通に考えるとなかなか意味のわからない状況ですよね。ただ、ふと今の会社の成長可能性に自分の仕事が追いついていないのでは?と思った瞬間があり、一回リミッターを外してみようと思い、どうしたらイーロンマスクが言う週に100時間働くことができるかを真剣に考え、チャレンジしてみようと実験してみました。結論から言うと、この実験は成功し、今は「無理なく」・「生産性を維持しながら」毎週100時間働くことができています。この「無理なく」・「生産性を維持しながら」が僕はとても重要だと思っていて、これなしにただ長時間働くのは本当にやめたほうがいいかと思います。ただただ疲れますし、アウトプットも良いものが出なくなるので。また、これは長時間労働を推奨しているわけではなく、普通に雇用している人は週40時間が労働基準法で定められているので、その範囲で生産性を高める方法を考えたほうが良いと思います。なので、この投稿は長時間労働を推奨しているわけではありません。これはスタートアップ創業者(役員であり従業員ではない人)が精神的にはもっと働きたい意志があるにも関わらず、それが実現できていなかった時に、何をしたら週100時間働けるようになったかの記録です。

長時間働くための基本要素

いかに長時間、「生産性を維持しながら」働くかという観点においてまず重要になるのは「体力・体質・体調」の三つです。

  • 体力→基礎的な体力を上げて疲れない身体にすること

  • 体質→日常の栄養補給を改善し疲れづらい体質にすること

  • 体調→効率的な疲労回復を行い常に身体を良い状態に維持すること

僕は最初、全てがおろそかになっていて、ボロボロでした。今振り返るとよくあんな身体状況でハードワークしていたなと若気の至りに関心しています。

そして、もう一つ僕にとっての大きな課題だったのが、「起きてる時間をどう最大化するか」でした。起きていたらやることは仕事になるのですが、子どものころからとにかく朝が弱く起きれない人間でした。なので、気づいたら7~8時間寝ている。休日は起きるとお昼なんてことが日常茶飯事で、もっと早く起きれれば仕事に時間を使えるのにと思いながらも起きれないという日々が続いていました。

こんな状況の中から一念発起して計画を立て、実行した結果効果があったのが以下の7つでした。どれも今も継続しているものです。

1.パーソナルトレーニング

週に100時間働くために最も足りなかったのが体力でした。どうしても、週の途中で疲労が溜まってしまい、体力の消耗が精神の消耗につながってします。働きたいのに働く気にならない。そんなことが続いていた中、ふと周りのスタートアップ界隈の人がパーソナルトレーニングに通いだしたという話を聞いて、僕も始めてみました。やってみた感想としては、非常に良いです。基礎的な体力の向上や筋力アップによる姿勢の改善などが図れて、疲れにくい身体になってきました。ポイントはやはり、「パーソナル」トレーニングだということだと思います。正直、パーソナルトレーニングだからと言って、成果がすごくでるわけではありません。やってることは普通のトレーニングですから。ただ、週に一回必ず予約を入れるので、自分の意思に関係なく毎週通うことになります。普通のジムだと自分の意思次第になってしまうことが大半で、そうなるとだんだんと今週はいいか。などと甘えが出てきてしまいます。運動がそもそも好きじゃない人にとっては、絶対に行かなければいけない状況が作れるパーソナルトレーニングのほうが遥かに長続きするので、オススメです。

2.野菜をとる

野菜をとったほうがいいということは頭では理解できますが、なかなか実践できないのが悩ましいところ。また、僕にとって食事を選ぶという行為自体が非常に面倒臭い作業でした。そこでお昼は毎回同じものを買うようにしました。ランチに誘われた時以外は、必ずセブンイレブンにいって同じものを買います。今はチョレギサラダ・バナナ・アロエヨーグルトの三点。少なくとも一日に一回は野菜をとるようにして、仕組みとして身体に優しい食事を取れるようにしています。これだと、毎日野菜を取れるので、精神衛生上も良いです。また、お昼は食べ過ぎないこともポイントです。サラダ中心でお腹がいっぱいにならない程度の食事にすることで、昼食後の睡魔を防ぐことができます。人間はやはり飢餓状態が最も集中することができるので、意図的に飢餓状態を作ることもしております。

3.午前休をとる

スタートアップの時にはとにかく、朝から晩まで働くことが正義であると思いがちで、特に午前に休むなんてと思われる方も多いかもしれません。しかし、僕はこの午前休を週に一回とるようになって、常にベストなコンディションで仕事ができるようになりました。午前休は週の半ばの水曜日にとります。いつもは7時〜8時くらいに起きてるのが、水曜日は10時過ぎくらいまで寝ます。週の初めに蓄積した疲れが一気に取れて、水曜日からまたベストコンディションで仕事に挑めます。そもそも、5日連続で働いて、2日休むという現代の働き方は家族がいてレジャーを楽しみたい人向けの制度であり、効率的に働きたい人向けではありません。常にベストコンディションで一週間働き続けるにはどうすればいいのかを考えたら、シンプルに週の半ばで休みをとるべきだと思います。僕は社内にも水曜日は午前休をとることを公言しており、仕事には一切支障がでないので、ぜひお試しください。

4.昼寝をする

最近は昼寝を推奨する企業も少しずつ増えてきたようですが、昼寝は本当に重要だと思います。一日中、高いパフォーマンスを維持することはやはり難しく、眠くなったり、集中力が切れたりしてきます。それでも周りの皆が働いているからと、自分も生産性が低いまま仕事を続けるのは非常にもったいないことです。15分〜30分の昼寝をすることで、眠気はなくなり、脳はスッキリして難しい課題にも取り組めるようになります。僕はだいたい午前中に一つ難しい課題をこなし、昼寝をとってから、もう一つ難しい課題を取り組むようにしています。昼寝なしだと、一日一個の課題に取り組むのが限界なのではないでしょうか。おそらく、皆さんそれ以外は作業をしてるのだと思います。できるだけ仕事をする時間を増やしたいのであれば、昼寝は周りを気にせずするべきです。もし、周りが気になるときは酸素カプセルがオススメです。一人で集中して眠ることができます。また、時間も1時間とかで区切れるので寝すぎることもないですし、酸素をたくさん取り組むことで、より体力が回復する気がします。

5.リラックスタイムにお金を使う

僕は二週間に一回、シロダーラというインドのアーユルヴェーダの一種のマッサージに通っています。少し値段は張りますが、すごくリラックスできて、精神的な疲労の回復につながります。週に100時間働くには体力だけでなく、精神的な回復も非常に重要で短い時間で集中してリラックスできることに積極的に投資していったほうがいいと思います。リラックスは人それぞれの方法があると思いますが、それにお金を惜しむと徐々に精神的につらくなって仕事が継続的にできなくなってくるので、リラックスタイムには積極的に投資しています。

6.集中が切れたら場所を変える

週に100時間働くとなるとだいたい1日に14・5時間働くことになります。そうなると、ずっとオフィスにいると集中力が切れたり、気持ちがつらくなってきます。もちろんメンバーとディスカッションできたり、すぐに確認したいことが確認できたりと、やはりオフィスが基本となりますが、集中できなくなった時はためらわずに、場所を変えて仕事します。今時パソコンさえあれば、どこでも仕事ができる時代なので、場所はどんどん変えていいと思います。

7.朝に予定を入れる

僕が以前週に60時間しか働けなかった大きな理由として朝が起きれないということがありました。これ、どんなに決意をしたところで起きれないものです。人間の意思なんてそんなものです。なので、僕は一人で頑張るのをやめました。とにかく他人を巻き込んで、仕組みとして朝起きれるようにしました。だいたい平日はメンバーとのミーティングか朝会(勉強会)の予定を入れます。土日はパーソナルトレーニングやリラックス用の予定を朝に入れて、強制的に起きるようにします。たったこれだけで、全く起きれなかった僕が毎日8時とかには起きるようになっています。最近は9時に起きると遅くまで寝たなと感じるようになってきました。とにかく、これは仕組みとして機能させることが重要です。自分の弱い意思は頼りにせず、朝起きなければいけない環境を構築したほうが、間違いなく効果がでます。

仕組み化で実践する

このような7つの方法をとることで、無理なく高い生産性を維持しながら週に100時間働くことを実現できました。 どれもそんな難しいことではなく、ポイントはいかに無意識に上記を実践できるよう「仕組み化」するかだと思います。僕は上記に対して意思決定をほとんどしません。一ヶ月の頭にカレンダーのスケジュールを抑えたり、習慣にして何も考えずに食事を決めたり。とにかく、意思決定をしないで同じことを繰り返すほうが、自分の変な欲求とかが出ずに素直に実践することができます。

全ての人にオススメできるやり方では全くありませんが、スタートアップをやっている一部の方の参考になれば。僕自身がもともとアンチ長時間労働だったので、そのような方には一度実践してもらえると嬉しいです。アウトプットが二倍になることに自分で驚きますよ!