株式会社SCOUTERのCOOが人事を尽くして考えた

渋谷で「SCOUTER」を運営する株式会社SCOUTERのCOOがスタートアップ・組織について書いているブログです。

スタートアップが新規事業で失敗する3つのパターンを考えてみた

スタートアップと新規事業

スタートアップが新規事業を立ち上げること自体に関しては賛否両論だと思います。リソースが少ないスタートアップがリソースを分散させることによって、元々のプロダクトの競争力が下がる可能性もあります。逆に新規事業によって一気に成長曲線に乗る企業もあり、単純にどちらがいいかということはなかなか言えないテーマなのかなと思います。しかし、その中で"やってはいけない"パターンは明確に存在すると思います。新規事業は上手くいかないことが多いですが、その中でも特に失敗に陥りやすいパターンが3つあります。

失敗パターン1:とりあえずでやってみる

当たり前ですが、新規事業の立ち上げというのはとても難しいです。特に社内で、既に別のプロダクトがある中で新規事業を作るというのは、最初のプロダクトを作ることよりも難しいかもしれません。それには様々な理由がありますが、予算という概念に制約される、成功のプレッシャーを感じすぎる、逆にプレッシャーを全く感じずに危機感がない、既存プロダクトがあるため経営的な発想が保守的になる、あたりが大きな要素でしょうか。その中で、"とりあえず"新規事業というのは実に危うい思考回路です。特に社長の思いつき、市場が盛り上がっているから、流行りだから、今の事業が伸び悩んでいるからという理由など「解決すべき課題」ではない部分から事業が立ち上がって上手くいくことはありません。特に、専属の責任者が配置されず、既存事業の責任者兼新規事業の立ち上げなど二つのプロダクトを同時に見る人が責任者になってしまった時には、"失敗"しかないでしょう。新規事業の立ち上げには、その事業のみを考える責任者が必要です。当たり前のように聞こえますが、世の中を見ると以外とそうではない状況が多々あるようです。そして、責任者は必ず自ら志願した人でないと勤まらないでしょう。上司の命令で新規事業に携わり、強い覚悟を持てない人間が新規事業を成功に導けることはありません。スタートアップで新規事業を立ち上げたい場合には、事業アイディアは誰が出しても構いませんが、責任者は自ら志願する人がでてくるまでは控えた方が良いでしょう。

失敗パターン2:金儲けに走りすぎる

新規事業を立ち上げる基本的な理由は"もっと儲けるため"であることに変わりはありません。しかし、スタートアップというものは、そもそもビジョンで人を集めている組織です。金儲けに走りすぎてメンバーがついてこれなくなることは想定しておかなければなりません。経営という合理主義と自己実現という人間主義の摩擦。その中で経営者は適切なバランスを取っていかなければいけません。"金"だけで動かなくなった人間。それが今のスタートアップを取り巻く前提です。しかし、だからこそ条件が悪くてもビジョンだけで優秀な人材を採用できる時代になったとも言えます。その中で、新規事業が会社のビジョンにどれだけ貢献するのか。その大義名分が人を動かすには必要です。「ただ儲かるビジネス」であることを強調して始まる新規事業は上手くいかない時期に簡単に折れます。スタートアップはどんな困難にも折れずに立ち向かえるから強い。その原理原則を踏まえれば、金儲けだけの新規事業は、スタートアップ最大の強みを抹殺するウィルスにもなりかねないのです。

失敗パターン3:プロジェクトチームに優秀なメンバーを集めすぎる

チームとはバランスである。これが僕が最近痛感している原理原則です。新規事業には当然力が入ります。絶対成功させたい。その時に、各部署から一番優秀(ここにおける優秀とは最もわかりやすい成果を出している評価されやすい人材を指す)なメンバーを集めようとします。しかし、これは完全なる間違いです。優秀なメンバーだけが集まったチームはバランスを失い、個人の能力は50%も発揮されないでしょう。チームとして機能しないのです。組織には目に見えない貢献をしているメンバーがたくさんいます。そのメンバーがいることによって、優秀だと定義されている人材は成果が残せているのです。攻めと守り・冷静と情熱・論理と感情・マネジメントとプレイング。これらのバランスを失ったチームは統率が取れず、全員がバラバラな動きをし、フラストレーションが溜まり、チームとして崩壊する。それと同時に新規事業は失敗となります。

成功する新規事業の作り方

よって、スタートアップが新規事業を作る際、抑えるポイントは以下の三つになります。

  1. 新規事業に求める期待役割と経営戦略上成功する理由を明確化する

  2. 新規事業が会社のミッション・ビジョンとどう混ざり合うのか全社員が納得するまで伝える

  3. 立ち上げ時のメンバーはデザイナー・エンジニア・営業の3人が基本

特に3つ目の「3人」というのはものすごい重要です。チームのバランスが上手く取れるからです。そしてこの中で責任者に適任なのは「デザイナー」です。デザイナーはプロダクトの見た目だけでなく、ユーザー体験そのものをどう提供するかまで設計する必要があります。そしてそれは、エンジニアと営業の架け橋になるのです。プロダクト的観点とビジネス的観点を両睨みしながら、常に最適な意思決定をできるのが「デザイナー」だと思うのです。そういう意味で、今後の「デザイナー」という職種はより広範囲な領域が求められ、かつプレゼンスがどんどん上がっていくポジションになるかと思います。

以下、ポジションごとのオススメの期待役割とそれを実現できる人物像です

  • デザイナー→事業責任者となり、UXを中心にユーザーに提供する価値・解決する課題・ユーザー体験を設計しながら、それをプロダクトに落とし込んでいく。そして、チーム全体にビジョンを見せていく。サービスの大枠を作っていく人物。チームビルディング・サービス設計・財務的観点など様々な視点を理解しているゼネラリスト

  • エンジニア→デザイナーが設計したユーザー体験を機能としてプロダクトに組み込んでいく。自分で全てをコーディングしながらも、開発のロードマップ作成や優先順位を見極め、進捗管理をしていくマネジメント能力が求められる

  • 営業(マーケッター)→プロダクトの価値を伝えながら事業の仮説検証を現場で行う。売れる営業力を持ちながら、丁寧なユーザーヒアリングを行い、プロダクト開発に必要な情報を徹底的に集め、チームに共有していく。圧倒的な人間力と行動力が求められ、チームの特攻隊長としてユーザーと一番向き合う存在。

この3つの役割を3人で上手く分担できたチームは、立ち上がりがとてもスムーズになり、新規事業の成功確率が非常に上がると思います。

SCOUTER社でもついに新規事業始動

SCOUTER社でも現在、新規事業の立ち上げにトライしています。最近始まったばかりですが、徐々に手応えを感じております。「SCOUTER」と並ぶプロダクトにするため、プロジェクトメンバーは日々チャレンジの日々です。そして、人材がまだまだ足りません!!やれることは腐るほどあります。未来には可能性しかありません。人材業界を変えるプロダクトを一緒に作ってくれるメンバーを大募集中です!特に営業マンは不足気味ですので、「エントリー」・「応援」大募集です!!お待ちしております!!

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