株式会社SCOUTERのCOOが人事を尽くして考えた

渋谷で「SCOUTER」を運営する株式会社SCOUTERのCOOがスタートアップ・組織について書いているブログです。

【社長もびっくり!?】実はこんな人がCOOに向いてる(と思います)

はじめに

最近COOをテーマとして登壇したりする機会が増えてきました。その際にほぼ必ず聞かれる質問がります。「COOに向いてる人ってどんな人ですか?」と。COOってかなり謎めいたポジションなので確かにニーズのある質問だよなと思いつつ、COOは会社に個別最適化する必要性があるのでなかなか汎用性の高い回答が困難な側面もあります。ただ、毎回聞かれますし、山田の個人的な理想のCOO像がなくもないので、現時点での山田の帰結をまとめておこうと思います。COOを探している社長様、COOを目指している人、スタートアップで幹部を目指している人あたりに参考になれれば良いなと思います。

想定するCOOの役割

この質問には前提としてCOOがどんな役割を担うかに非常に依存します。会社ごとにCOOの役割は少しずつ異なるので、「COOはこれ!!」というものは非常に規定しにくいのです。また同一の会社でも役割の流動性は非常に高いポジションになるため、今回は汎用的かつ確率的に最も高いであろう抽象的な役割を想定しておきます。

「COOの役割は会社に必要なことで社長ができないorやらないこと全てをやること」

強固な経営チームが確立されていないスタートアップにおいてはCOOが上記の役割を担う可能性が一番高いかなと思います。また、この際の社長像も典型的なタイプを想像しておきます。強固なリーダーシップ、異常なエネルギー量、明確なビジョン、強い感性と行動力。これらを兼ね備えた社長がいるとして、どのような人であったらCOOとして機能しやすいのか。その特徴を5つにまとめてみました。前提としてCOOはその場で求められる能力やスキルは変化していきます。それはどうにも前提として規定しづらいのでスキル面は無視しております。あくまでも、人間性としてどのような人が向いているかが今回の本論となっております。

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特徴1:自己承認欲求が捻じ曲がってる人

まず第一にCOOって褒められません。褒められるのは社長の仕事だからです。どんなにCOOが中心となってやったことでも、外では社長があたかも自分がやったことのように話します。当然ですよね。自分がコントロールしてると思われないと社長の存在理由がなくなってしまうので。なので、山田もよく聞かれます。「褒められなくて良いんですか?」って。結論としては全然構いません。なぜならば、自己承認欲求が捻じ曲がっているからです。どう捻じ曲がっているかというと、自分自身が褒められることよりも、自分自身が創り上げたより大きな存在を褒められた方が嬉しいんです。決して承認欲求がないわけではありません。ただ、「山田さんってすごいですね」って言われるよりも、「社長さんすごいですね」「SCOUTER社ってすごいですね」って言われる方が、心の中で「でしょー!!ニヤニヤ」的な感じで喜べるのです。捻じ曲がってますね。ただ、これは根本的に重要だと思っていて、COOが「なぜ自分は褒められないのだ!!自分の手柄なのに!!」とか思ったら終わりなんです。そうなったら組織のバランスは崩れます。社長とは対立関係になって、派閥とかそういうめんどくさいやつが生まれ始めます。そういう嫉妬心とかが生まれるような人はCOOになるべきではないですね。ただ、理性で嫉妬するなというのは難しいわけで、なのでそもそもの性質として自己承認欲求が捻じ曲がっている人が適しているという話です。理性で自分に嘘をつき続けても、極限状態が続くスタートアップではいつか辛くなります。そうして爆発することが最も会社にとっては最悪なことなので、理性で沈められるとか思ってる人は危険だと思います。

特徴2:弱者歴が長い人

次に弱者歴が長い人ですね。弱者というのは身体的にや社会的に等なんでも良いのですが、人生において弱者歴が過半数を占めている人の方が向いているかなと思います。これもバランスの問題なのですが、社長って基本的に強者なわけです。先天的に人を惹きつける力があって、リーダーになりやすい人。そもそもあらゆる面で強いんですよね。そうすると、弱者の気持ちがわからなかったり、弱者との向き合い方が下手だったりするわけです。ここにCOOも同様の人が加わるとその組織は強い人しか入れない組織になります。この強い人しか生存できない組織というのは、限界が生まれやすいというのが個人的な理解です。そもそも強い人は人口的にも少ないですし、多様性も生まれづらい。様々な面で歪みが生まれやすい組織になるなと。だからこそCOOは弱者歴が長い人の方が良いと思ってます。山田自身も人生の大半が弱者側でした。特に「学校」という空間では。身体は小さいし、スポーツはできないし、顔もカッコよくない。あの特殊空間で強者になる要素がないんですよね。そういう状況で生きることがどういうことかわかっている人であることは非常に重要だと思います。また、おまけとしてそういう抑圧されてきた時間が長い人ってそれが解放された時に努力を好んでするようになります。なぜなら努力が報われる環境ってその人にとっては貴重だからです。学校ではどんなに努力しても強者にはなれなかった。でも、スタートアップなら努力で強者になれる。これが山田が現状、努力を好む理由です。努力することが面白くなっちゃうんです。抑圧された世界から解放された弱者ほど強い存在はいないなと思っております。

特徴3:人生において目的意識が弱い人

「目的意識弱くて良いの??」って思われますよね。スタートアップの経営者って強い目的に対して人生かけてコミットするみたいなイメージが強いと思うので。ただ、個人的な経験則で言うと、そういう人たちが集まった集団は必ず途中でメンバー同士でぶつかってます。なにせ目的の多少のズレが起きた時点で許せないわけですから。そういう意味ではSCOUTER社は一度もぶつかったことがありません。山田が目的意識が非常に弱いので。常に社長の目的が優先されます。それで一度も困ったことはありません。社長がCOOに求めているのはビジネスとしての成果であり、目的意識ではありません。あくまでもコミットすれば良いわけです。そうであれば、目的意識じゃない部分でコミットできた方が強くないですか?山田は物事のプロセスが大好きな人間です。言うならば、「どの問題を解くか」よりも「難しい問題をどう解くか」の方が興味が強いわけです。なので、「こっちの問題が解きたい」なんてことは思いません。常に難しい問題に取り組めていて、プロセスが楽しければなんでも良いんです。と言うことで、目的意識が弱い人の方がお互いにやりやすいと思います。

特徴4:一人の時間が好きな人

前途したようにCOOは常に自分の守備範囲を変えていかなければいけません。ある時は事業を創り、ある時は事業を伸ばし、ある時は組織のことを考え、ある時はファイナンスが求められる。それらの知識・スキルを事前に全て持ってる人なんていないわけです。そうなると重要なのはいかに早く対象領域について学べるかです。そして、学ぶためには一人で没頭する必要があります。「ゼミ形式や勉強会形式で学ぶとかもありじゃないですか?」と言われそうですが、COOは対象領域の中でも自社に関係のある範囲のみを効率的に学ぶことが求められます。一般的な順序で学ぶことが最適とは限りませんし、周りに合わせてたら間に合いません。一人で必要な部分のみを学ぶことが重要なのです。そのためには一人の時間が「好き」なことが重要だと思います。なにせ、これはCOOである限り永遠に続くわけですから。つまり、学ぶべきと言う「べき論」で自分を駆動させていたら必ず限界がきます。単に一人の時間が好きで、他にやることもないから事前に勉強しておこうくらいの気持ちでいれる人の方が圧倒的に強いんです。山田も基本的に一人の時間が大好きです。一日の半分くらいは一人で過ごしたいと言う欲求が心の底からあります。よって友達も極端に少ないですし、逆に大勢の飲み会とかは大の苦手でございます。こういう人の方が学ぶための前提条件として非常に有利なんですよね。逆に社長は一人の時間が嫌いな人の方が良いと思います。社長は色んな人と話しながら一次情報を取ってくるのが仕事なので。偉い人とも関係性を良好に保っておく必要があります。友達も多い方が仕事が広がる可能性も高いでしょう。COOからすれば社長がそう言うことをやってくれるので、安心して引きこもって学びに時間を充てることができるわけです。

特徴5:自分のことが一番好きな人

いつも山田がCOOとしての考え方を話すと「なんでそんなことまでできるのですか?」「大変じゃないのですか?」みたいなことを言われます。他人から見ると山田は自己犠牲で社長を支えているように見えるらしいです。でも、自己犠牲ってサステイナブルじゃないですよね。個人的にはそう言うの嫌いなんです。山田は自分が楽なように生きていたいから今の仕事をしているわけで、自分にとって最もメリットが強い選択肢だから今の仕事をしているわけです。そこに自己犠牲なんて概念はありません。はっきり言って、自己犠牲でやってるCOOに負ける気なんて一切起きません。こっちは好きでやってるので。逆に山田から見るとよっぽど社長の方が自己犠牲感強いなと思います。というか、社長たちは自己犠牲とかって概念がないんだろうなと思います。彼らは常に他人が先にきます。顧客が、従業員が、取引先が。そりゃみんなが社長のことを人として好きになるわと、素直に思います。それに対して山田はというと、自分のことが一番好きなんです。自分にとって最もCOOが都合良いからやってるわけです。周りから見たらそう見えないとしても、自分の中では明確にそうなんです。COOは仕事柄常に合理性が求められます。ということは、仕事を選ぶときも合理で選択してるんです。というか、合理で選んでないのであれば、COOの仕事はできないんじゃないでしょうか?合理的に自分にとって最も都合の良い仕事がCOOだった。それがCOOの判断基準であり、自分のことを大好きな人の方が帰結としてはワークする確率が高いと思っております。

総論:テンション低い系、"普通"の猫を被った本当はヤバいやつ

ということで、上記5つを無理矢理まとめますと「テンション低い系、"普通"の猫を被った本当はヤバいやつ」がCOOに向いているという帰結に行き着きました。イメージこんな感じだと思います

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結局COOという仕事は一つの生き方に近いものなんだと思います。COOという仕事を仕事として自分を曲げながらやってたら破綻します。そうではなく、COOという一つの生き方を選べる人がCOOに最も向いているのだと思うし、COOが自分にとって自然な状態であることが非常に重要なことだと思います。そういう意味で、テンションは総じて低い方が良く(一般的には理不尽なこととか多いのでテンション高い人がなるとめんどくさいと思います)、一見"普通"に見える人であり誰とでも当たり障りなくやっていけるが(組織の立場上全員とコミュニケーションが求められるので)、精神や思考は常軌を逸している人がCOOの生き方を選択できるのではないかと思います。ということで、現在進行形でCOOを探している社長の方々にはぜひターゲット像を拡大してもらえればと思っております。自分が明確なビジョンを持っているのであれば、同じタイプの人間は不要です。テンション低くて第一印象が悪くても、なんか話してたらすげーなって思える人が良いと思います。あとは極端な言葉を使うことも一つの指標になると思います。精神は言葉に現れます。ヤバいやつは得てして普通の言葉を使いません。極端な言葉を無意識に発するもんです。そんな感じで見極めてもらえればと思います。またスタートアップで働いてる人たちにはCOOには意識高くなくてもなれるんだということを理解してもらえたら嬉しいです。疑いが晴れないようでしたら山田に会ってもらえればと思います。想像以上にゆるゆるな人間でいつも驚かれます。

以上が山田が考えるCOOに向いてる人の話でした。ほぼ山田という一例を抽象化した上で、汎用性のある話にしたものなのですが、汎用性はある程度高いかとは思います。また、これがCOO像の固いイメージ像に変化を与えるきっかけに少しでもなったら嬉しいです。そして、こんな山田が最近COO室というものを立ち上げようとしております。最初からCOOになるのは少しハードルが高いと思った方、まずはCOO室で働いてみませんか?COOに必要な考え方、知識、経験等は相当量身につけられると思います。以下のツイートが詳細になっております。気になった方はお気軽にDMを。

ap bank fesの多様性とこれからの日本社会の課題

人生初の「フェス」という体験

2018年07月16日に「ap bank fes'18」に参加してきました。山田にとっては人生初の「フェス」というものになります。色々な事前情報をもとに挑んだ「フェス」でしたが、想像以上に衝撃的な体験であり、自分の脳内をガンガン揺さぶられました。そして、ap bank fesは僕の「多様性」という概念を大きく変える体験となりました。

ap bank fesの多様性が生む特殊な空間

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今回が人生において初めてのフェスというものであったが、そんな自分でも「ap bank fes」は普通のフェスとは違う部分がたくさんあるということは現地到着10分でよくわかった。フェスという空間は僕の解釈で言えば「音楽に熱狂する若者たちが非日常的な空間で音楽を浴びながら大量の熱量を放出する空間」だと思っておりました。映像で見る限りのフェスというのものは、少なくとも僕の目にはそう映っていました。しかし、「ap bank fes」の地に立った時、そこには全く違った空間が漂っていました。穏やかで、子どもたちの笑い声に包まれた、不思議な空間。そこには老若男女が揃い、誰もが周りを気遣いながら自分の熱量を心の内に燃やしていました。この空間を理解するのに少し時間がかかりました。しかし、そこで時間を過ごすうちにこの異様さの本質に気づきました。ap bank fesは一言で言えば「多様性」に溢れていたのです。僕の理解で言えばこれは一般的なフェスとは相容れない言葉です。フェスというのは一つの音楽的なコンセプトをもとに構成されます。そのためフェスには同質的な人々が集まりやすいはずです。にも関わらず、ap bank fesには多様性がある。周りを見渡すと学生がいて、夫婦がいて、親子がいて、おじいちゃん、おばあちゃんも楽しんでる。ステージ近くで熱狂的に声を上げる人もいれば、後方でゆっくり座ってる人もいれば、寝ながら聞いてる人もいれば、踊ってる人もいる。そして、それらを全ての人間が許容して、誰も違和感を感じていない。主催者であるMr.Children桜井和寿さんはライブ中にこんなことを言ってました。「ap bank fesという空間はすごく特別な空間。こんなフェスっぽくないフェスは他にない。僕はこのフェスが大好きだし、こういう空間を一緒に作り上げてくれた皆様に感謝したい」と。

あの空間には誰をも受け入れる力がありました。そこでは純粋に全員が自分なりの音楽と自然を楽しむことに全力で、決まった様式があるわけでもなければ、決まった楽しみ方があるわけでもない。全員が自分の好きなように楽しみ、それでも成立する空間。今の日本社会では感じにくい圧倒的な包容力がそこには存在していました。

ap bank fesにおける「桜井和寿」という存在

では、なぜap bank fesはそんな空間を生み出すことができたのか。COO的にはその生成原理が気になってしまうのが性でございます。そのヒントはフェスの後半、Mr.Childrenのステージにあった気がします。Mr.Childrenがステージに上がった瞬間、盛り上がりが頂点に達しました。そこにはこれまでにない、一体感が生まれました。それまでの受容性が一瞬にして団結に変わったのです。あまりにも一瞬の出来事で、その変容ぶりには感動すら覚えます。誰もが「桜井和寿」の歌を待ちわびていたのです。

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ここで僕に一つの帰結がもたらされました。ap bank fesに多様性をもたらすことができたのは「桜井和寿」という大きすぎる存在があったからだと。ap bank fesは「桜井和寿」というスーパースターが求めた理想を形にしているプロセスである。「桜井和寿」が多様性のあるこの空間を素晴らしいと断言するからこそ、この空間は生まれる。誰もが「桜井和寿」についていき、その理想を追い求めているうちに、多様性は生まれ、「桜井和寿」がそれを素晴らしいものだと、正しい姿だと断言するからこそ、それはより強固なものへとなっていく。多様性というのは一人のスーパースターを媒介にして生産されている、むしろそうでないと生産が困難なものなのである。これが「ap bank fes」・「桜井和寿」・「多様性」という今回の本題に対する結論です。

みんなが多様性良いよねって口にしたところで、多様性のある空間は生まれません。誰もが頭の中では年齢や性別、音楽の趣向関係なく、音楽そのものを楽しむことは良いことだと理解できる。でも、それだけではその空間が形になることはない。誰もが良いことだとはわかっていても、そのために動くわけではない。そういう空間よりも、自分が好きな音楽だけに包まれているフェスに行ってしまうのが普通です。ap bank fesでは、それを「桜井和寿」というスターを媒介にすることで、言うなれば象徴とすることによって消費行動を惹きつけ、そしてその象徴が多様性のある空間を愛することを伝わるように表現する。すると、その空間を体感した人々は無意識のうちにこの多様性のある空間の居心地の良さに気づいてしまう。ap bank fesというプロセスには、今後の日本社会を考える上で重要な戦略が隠されているのではないか。「桜井和寿」という存在を通して多様性の本質を理解することができるのではないか。ap bank fesをCOO的な視点で捉えるとそんな問いが浮かび上がってきます。

多様性とこれからの日本社会

多様性というのはどうしたら生まれるのか。直感的に考えると、それは「多様性」というコンセプトの理解と共感です。「多様性って良いよね、大事だよね」という共通理解があれば、そこに多様性が生まれる。これが多様性の生成ロジックだと僕も思っていました。しかし、今の日本を見ていると実はそのロジックはすごい難しいことがわかります。日本は単一民族の国であり、そもそも多様性とは距離が遠い国です。そして同一化・同質化の力が非常に強く、故にクラスターを綺麗に分けてぶつかりあいを避ける傾向にあります。その中でいきなり多様性って良いよねと言われても、頭の理解はできたとしてもそれを行動に移すことはできない。故に多様性というコンセプト理解を進めることによって、多様性が広まるというロジックは今の日本では非常に難しいというのが現状です。

世界では多様性を競争力の源泉としている集団が沢山あります。移民を受け入れることや、多国籍人材を受け入れることは今や世界では当たり前となっております。にも関わらず、日本は未だに女性を管理職に上げるべきだというような議論しかできておりません。この多様性の議論のレベルの差が、そのまま競争力の差に繋がってしまっている。それが今の日本社会です。しかし、上記にも記載しようように僕には真っ当に多様性の議論をしたところで、状況が好転するとは思えません。多様性の議論というのは日本の歴史との戦いに発展してしまう可能性もあり、あまりにも戦略として的外れである。それならば、もっと別の戦略を採用すべきであり、ap bank fesというプロセスから学べることが多いにあると思っています。ap bank fesではゲリラ戦的に多様性を浴びさせています。「ap bank fes=多様性のある空間」と認識して参加する人はほとんどいないでしょう。多くの人々は「桜井和寿を中心としたステージに上がるアーティスト」を見たくて参加しています。それでもフェスが終わった後は多様性の良さを無意識に感じ取り、そしてその空間が良い空間だと認識して帰ります。無意識に多様性のある空間の良さを理解し、多様性に対する考え方を変えることに成功しているのです。直感とは真逆にある戦略。つまり、多様性とは一人の象徴的な存在によって恣意的に成立させることこそが、有効な戦略となりうる。本当に多様性を創り出したいのであれば、議論による創出ではなく象徴による信仰的な創出の方が有効であり、日本社会全体にそのような象徴的な人物が現れることこそが、日本に多様性をもたらす最も有効な手法なのかもしれない。これがap bank fesを通して考える多様性の本質です。

スタートアップと多様性

最後にスタートアップとの接続を行います。スタートアップの始まりは多様性とは真逆のところからスタートします。最初は信仰集団とも呼べる同質性を持つことによって、一般的では考えられないスピードを維持しながら経営活動を行なっていく。それがスタートアップの強みです。しかし、組織が大きくなってくるごとにその同質性を多様性へと切り替えていくことが求められます。マーケットの拡大、サービスラインの拡大、組織としての必要な機能の拡大等によって、同質性の集団よりも多様性の集団の方が経営効率やイノベーションの創出確率が高まる。その瞬間に組織に多様性を帯びさせることができるか。これが大きな組織へと変遷する上で最も困難な障害と言っても過言ではないでしょう。そして、僕自身もその多様性をどう組織に帯びさせるべきか糸口が見つけられていませんでした。しかし、ap bank fesを通して多様性は議論によるボトムアップからの生成よりも、スーパースターを媒介とした生成の方が有効である可能性が高いのではないかという示唆を得ることができました。

「多様性は議論ではなく体験によって開かれるものである」

これを原理原則だと捉えれば多様性のある集団へと導いていくこともできるかもしれない。そんな勇気が湧いてきました。 ということで、素晴らしい体験と素晴らしい示唆を与えてくれた「ap bank fes'18」に最大限の賛辞をお送りいたします。

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COOが「30人の壁」を越えるために実施した合宿内容を全て公開します

はじめに

先週末SCOUTER社では幹部合宿を実施してきました。スタートアップでは"合宿"というものをよくやります。日常的な環境では議論できないこと、長時間かけてやるべきこと、メンバー同士のコミュニケーション等、様々な理由で合宿を開催いたします。ただ、合宿というのは多くのメンバーの時間を拘束するので、上手くやれば絶大な効果を発揮しますが、設計を間違えるととんでもない時間の浪費になります。そこで今回はSCOUTER社が実施した合宿の内容とその設計プロセスをまとめてみました。あくまでも合宿内容はその時の会社の経営課題に即して設計されるべきですが、少しでも役に立てば幸いです。

背景

今回の合宿は実はSCOUTER社として非常に久しぶりの開催でした。昨年の4月までは四半期に一度必ず実施していたのですが、メンバー数が増えたことや事業が複数になったことを理由に、開催から1年ほど遠ざかっていました。そんな中、たまたま社長の「幹部合宿やらない?」という一言をきっかけに、開催へと進んでいきました。開催の背景としては以下の三つがあると思います。

  1. メイン事業から経営メンバー二人が離れるという意思決定をした
  2. 幹部メンバーがほぼ新卒から入った創業メンバーが多い
  3. 組織が近いうちに30人を迎える

まさに、これらを総称して「30人の壁」と呼ばれているのだなと感じるのですが、事業の複数ライン化が始まり、マネジメントレイヤーが必要になってくると同時に、プレイヤーの増加ペースが一気に上がり、コミュニケーションコストが急激に増加するという状況を迎えておりました。このような状況下において、幹部メンバーの急激な成長が求められますし、事業部の責任を明確に委ねるということを明示的にやった方が良いだろうと判断し、今回の開催となりました。故に今回の合宿というのは「30人の壁」を乗り越えられる組織になるために幹部メンバーの成長のきっかけにしたいというのが経営側の想いでした。

設計プロセス

上記のような背景が詰まった「幹部合宿やらない?」という一言からCOOの合宿設計の仕事は始まったのですが、プロセスは以下のような順番で進めていきました。

  1. 社長の要望整理
  2. 目的の言語化
  3. ゴールの設定
  4. 扱う情報の整理
  5. 情報流通の設計

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社長の要望整理

まずは社長の意図を整理するためにヒアリングを2分ほど行いました。2分って短いですか?でも、社長って言語化がすごい上手いわけではないので、最初に無意識で言った言葉が最も意図を反映してると思うんですよね。なのでそんな深堀してもしょうがないんじゃないかと思ってる今日このごろです。で、ヒアリングしたところ出て来たのが、「幹部メンバーの事業解像度を上げたい」でした。ということで、この言葉から意図をこちら側で推測しつつ勝手に深堀していきます。僕の中ではこのように解釈しました。

  • 事業を長期的な視点/時系列で考えられるようになり、戦略ストーリーを描けるようになって欲しい
  • 事業をゴールから逆算して、今やるべきことを考えられるようになって欲しい
  • 視座をもっと上げて欲しい。事業のための仕事ではなく、経営活動の一つとして事業創りの感覚を持って欲しい

「勝手に解釈してズレないんですか?」と言われそうですが、メンバーのことは僕も社長も同じように見ているので、メンバーに対する課題感は同じように知っています。その中で今回は「事業解像度」という言葉を使って表現したということは、その中でもどこにフォーカスして欲しいかはしっかりと感じ取れると思います。故に、この方針で問題ないだろうと判断し、次の目的の言語化へと進みました。

目的の言語化

目的の言語化については、頭で考えながら次に進んでいくと途中でブレることがあるので、考えごとをする際には一番最初に言葉にして書いておくようにしています。今回は社長の要望を整理した結果、「幹部メンバーを経営メンバーに引き上げるきっかけを作る」ことが目的であると明文化しました。それはメンバー個人の成長と同時に幹部メンバーのチームが頭に描く事業戦略がブラッシュアップされることも意味します。これら両方を達成することで、事業の成長と幹部メンバーの成長を二軸で実現することが今回の目的となりました。また、それを幹部メンバーに理解してもらいやすい言葉に直したのが合宿のコンセプトです。これは言うなれば"ユーザー視点"での言葉になります。

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ゴールの設定

目的を設定したら、次はゴールの設定です。「目的とゴールって同じじゃないの?」と思う方もいるかもしれませんが、個人的には随分違うなと思っております。この違いはOKRで言うObjectとKeyResultの違いかなと思っていて、ゴールは測定可能なものを必ず設定すべきかと思います。特に合宿というのは時間を大量にかけるのに対して、成果物が明確に定義されていない場合が多く、そうなると合理的な人間が徐々に「合宿って意味あるの?」って反対意見を出していきます。直感的に意味があると理解していても、それらの効果を説明できないと長期的に開催が危ぶまれていくためゴールを明確化し、成果を言語化できるようにしておくとあらゆる面で良いかなと思っております。で、合宿のゴール設定はなかなか難しいのですが、今回は測定可能な指標として「同じ言葉で語れる」ことを設定しました。幹部メンバーが経営においての重要なイシューに対して同じ認識、同じ言葉で物事を語れるということは、そのまま組織としての強さに繋がると思っています。コミュニケーションコストは認識の差分が大きければ大きいほど高くなるので、今の時点から全員が同じ認識・同じレベルで議論ができるようにすることが重要であると判断。以下のイシューについて同じ「言葉」で語れるようになることをゴールと定めました。

  1. 事業戦略
  2. 幹部ポジションの役割
  3. 時価1,000億円企業の実現方法

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扱う情報/活動の整理

ゴールが明確になったので、後は手段を策定するのみです。特に合宿の場合はやりたいことがたくさんあって、スケジュールがパンパンになり、やりきれないということがよく発生しますので扱う情報をどこまで減らせるか、それでもゴールを達成できる情報とは何かを選定することが重要になります。今回は事業戦略に関しては「IPOまで」と制限をつけ、時価1,000円企業についてはwebサービス運営のみで実現している企業のみに絞りました。そして、ゴール達成に関係のないことはどんなにやりたいことでも我慢して排除していきました。

情報流通の設計

最後にそれらの情報をどのような形で流通させるかの検討です。情報流通については常に複数の選択肢があります。

  • 一方的に伝授する(説明)
  • 全員で話し合う(議論)
  • 一部の人間に考えてもらう(ワークショップ)
  • 情報をまとめてテキストで渡す(資料)

これらの中でそれぞれの情報に対してどのような流通方法が最も適切かを考えていきます。今回、事業戦略については幹部メンバーに考えてもらいたいと思っていたのですが、その際の経営メンバーの立ち位置についてはかなり工夫をしました。なぜかと言うと幹部メンバーの成長が目的となっているので、プロセスとして悩み抜くプロセスが必要です。どうしても経営側が入り過ぎてしまうと先に正解に近いものを提示してしまって考えるプロセスを飛ばしてしまったり、逆に全く入らないと無駄なディスカッションで時間を過ごしてしまうこともあります。個人の成長とアウトプットの成果のバランスを考慮した結果、今回は幹部メンバーによる議論(15分)→経営メンバーによるフィードバック(5分)の20分を1セットにしてそれを何回も繰り替えす形を採用しました。これらにより、経営メンバーは入り過ぎず、適切なタイミングで軌道修正を図りながら、経営メンバーがどういう考え方をして結論まで出しているのかをフィードバックを通して体感できるため、それ自体が成長に大きく繋がろうと考えたわけです。

コンテンツ最終版

上記のプロセスを踏んだ結果、完成した合宿のコンテンツが以下となります。最初の1時間は経営メンバーからの話をすることで準備運動とし、その後ワークショップ的なディスカッションをメインコンテンツとして、最後に全員でのディスカッションとしました。

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これらの設計を行いまして、社長へと提案したところ以下のような反応が返ってきたのでこれにて設計は完了となりました。

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コンテンツ1:社長が語る理想の会社

ここからは合宿当日の様子をまとめていきます。まずは社長から30分ほど自分の理想の会社について語っていただきました。「これゴール達成に必要なの?」と思う方もいると思いますが、二つの意味で重要でした。一つ目は合宿のスイッチを入れるということ。この人間のモードを変えるスイッッチを入れらる人というのは非常に少ないです。今回は朝からのスタートでしたし、気持ちの面でも最初に引き締めることはその後のために重要だったため、まずは社長に話してもらいました。そして二つ目は視座の高さを伝えることです。今回のゴールに到達するためには幹部メンバー全員の視座が一段階丸々上がるくらいにならないと到達しません。その意味で、社長の視座の高さを伝えることで、その空気感をまず作りたかったのです。この空間はそんな視座の高さが求められているのだと、そのレベルの壮大感のある言葉を発していいのだということを実感してもらうためにも必要でした。

実際、やはり社長の言葉というのは何か不思議な力がありましたね。言ってることも、「こりゃ僕は言えないな」という言葉が出てきて、地味に僕が一番興奮していたのですが、こういう時に社長のパワーというのは最大限発揮されるなと改めて思い知らされました。

コンテンツ2:1,000億企業の実像

打って変わって、次の30分では僕から時価総額1,000億円の企業(webサービスがメインの会社のみ)とはどんな企業なのかをわかりやすくまとめて伝えました。時価総額1,000億円というとすごく遠いように見えますが、経営者からすると現実的に狙うべきところでございます。これを本気で考えている人がどれだけいるかでその組織の到達可能性は決まると思うので、どうしても身近に考えてもらえるようにしたかったというのが本音です。全てを公開することはできませんが、一部修正及び抜粋したものを添付しておきます。

speakerdeck.com

コンテンツ3:IPOを目指せる事業戦略の構築

上記が終わった後、幹部メンバーによるディスカッションを開始しました。全部で12セットを行い毎回5分ずつ経営メンバーはフィードバックをしていきます。初めての形式だったため、どうなるか心配だったのですが、結果としては非常に良い形式だったと思います。これやると、メンバーの課題感が鮮明にわかります。いつもは議論のプロセスを知らずにアウトプットだけ見て判断することが多いので、どうしてこのようなアウトプットに行き着いてしまったのか、その原因というのは分からずにアウトプットに対するフィードバックをしてしまいがちです。ただ、今回はそのプロセスを見ながら、小刻みにフィードバックができるのでお互いにストレスなく議論を進めていくことができます。そしてメンバーの修正能力もわかります。どれだけフィードバックされた内容を即座に反映できるかはスタートアップにおいては非常に重要なので、今回それらを経営メンバーそして、幹部メンバーが自覚できたことは大きな収穫でした。以下、主な経営メンバーからのフィードバックを抜粋いたしました。マネージャーをやっている方やリーダーをやっている方は参考になるのではないでしょうか。

経営からのフィードバック内容

  • 何がゴールかを先に決めなさい
  • 時間に対する重要性を無視しすぎ
  • 議論を止めることじゃなくて前に進めることに意識を向けよう
  • 議論をたくさん広げることは簡単。そうじゃなく、まず何を決めなければいけないのか一番大事なものを一つ決めろ
  • できるかどうかを議論するんじゃなくて、どうやったらできるかを議論することに時間を作ろう
  • 前提条件のすり合わせを終わらせて、次に行こう
  • レベルが低い方に合わせちゃだめだよ
  • もっと因数分解しよう
  • できるだけシンプルに考えていかないと意思決定はできない。そのために上位概念の方から思考していこう
  • 非合理的な意思決定は一部必ず入る。それを周りに良いねと思わせる語り手がいないと決められないこともある
  • IPOの時の事業の具体的な状況はどう想定してるの?
  • 実現可能性が重視されすぎててつまらない

合宿の成果と改善点

以上のコンテンツにて合宿は終了を迎えました。はい。お気付きの方がいる通り最後やる予定だったコンテンツは実施できませんでした。時間が足りず、中途半端にやるよりもコンテンツ3に対する振り返りをやった方が良いという判断になり、別の機会に譲ることとなりました。どんなに考え抜いても、思い通りにいかないのもまた合宿というものです。以下、合宿に対する成果と改善点です。

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成果

正直今回設定したゴールを全て達成することはできませんでした。ただ、大きな収穫として幹部メンバーの課題が非常に鮮明になりました。そして、それを経営側が正しく認識できたと共に、メンバー自身も自覚できた非常に良い機会だったと思います。これまでプレーヤーとしてやってきたメンバーもいるため、このような大きなきっかけがなければ、ズルズルといっていた可能性もあります。それが、明確になりメンバー全員が危機感を持てたことは今後に繋がったと思います。幹部メンバーの成長なしに「30人の壁」を乗り越えることはできません。今回は幹部メンバーが強い自覚を持ち、会社を支えるチームとして横のつながりが強まり、その中で自分がどのような価値を貢献できるのか、どう成長することでよりチームとして強くなれるのかを考える良いきっかけとなりました。

改善点

当然、上手くいったことばかりではありません。まず、時間配分は非常に反省です。バッファを用意することや、それぞれのコンテンツの形式によってどれくらい予想とのズレが起きやすいかは事前に想定しておくべきでした。また、振り返ると最大の改善点はテーマをもっと計画的に選んだ方が良かったということです。今回はきっかけを起爆剤としては悪くないゴール設定であったと思いますが、合宿のテーマに、合宿終了後もメンバーはかなり引っ張られることもよくわかりました。故にその後の活動にまで影響を及ぼすことを認識した上で、より計画的に合宿のテーマ選定を行う(それこそ、プロダクトのロードマップをひくように)必要があります。幹部にとっては合宿は非常に有用な手段になるため、今後も計画的に有効活用していこうと思います。

終わりに

ということで、以上が合宿の一部始終となります。30人以下のスタートアップが合宿やりたいけど、何やろうって時に参考になると嬉しい限りでございます。そして、何よりも大事だと感じたことはこの合宿を企画した時に全ての幹部メンバーが一つ返事で「良いですね!」「やりましょう!」という反応が返ってきたことです。合宿は金曜日宿泊の土曜日開催となりました。当然休みの日を潰すわけです。スタートアップなら当たり前って思いますか?30人近くになるとそれは当たり前じゃなくなります。というか、当たり前にしてはいけなくなります。当然、様々な人が幹部メンバーになっていきますし。結婚してる人、女性、子どもを育てている人もいるかもしれません。そういう人が増えてきます。そんな中でも、誰も嫌な反応せず、自分の成長を予感して前向きに参加してくれたメンバーには感謝しかありません。そういうメンバーが集まったということ、これがスタートアップにとっては一番大事なことだと思います。ということで、感謝の気持ちとして帰りに焼肉をご馳走しました。とても美味しく、楽しい時間でした。

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COOセッションへのご招待

「COOセッションの開催をここに宣言します」

connpass.com

皆様に対してCOOセッションへのご招待としてお手紙を書きたいと思い筆を取っております。COOブログを定期的に書き始めてからはや半年。なぜこのような活動を始めようと思ったのか、そしてこれから何を仕掛けていくつもりなのか。山田のあくまでも個人的な想いとなりますが、COOとして5年。COOブログを書いて1年。最近は多くの方々とお会いする機会をいただいた中で湧きてできた感情をしたためたものとなります。

なぜこれほどまでにCOOというのは透明な存在なのか

COOというのは一体何者なのでしょうか?僕が出会ってきたCOOは全員がこの問いに悩んでいました。そして、なぜこれほどまでにCOOという存在は話題ならず、コミュニティがなく、お互いを支え合っていないのでしょうか。COOという存在は一般的には経営を執行する最高責任者となります。それは言葉を変えれば"ビジネス"という範囲において最高の責任を持っており、No.2であることも非常に多い役職であります。そして、スタートアップにおいてNo.2という存在は極めて重要な存在であるというのが山田の認識です。CEOは夢を語ります。全員を未来へ連れて行こうとします。全員をやる気にさせ、人間としての限界を越えようとします。しかし、そこには必ず"現実"が立ちはだかります。その現実に向き合い、乗り越え、CEOの夢へと下から押し上げていくのがCOOだと僕は理解しています。組織が壊れるのはCOOの責任、マネタイズできないのはCOOの責任、会社が潰れるのはCOOの責任。これら経営において重要な事柄の多くはCOOが命運を握っていると言っても過言ではありません。にも、関わらず何故これほどまでにCOOに関する情報がないのか。僕は毎回Google検索に絶望します。欲しい情報がない。同じ悩みを抱えていた人はいないのかと。そして、それを解決した人はいないのかと。CEO同士はお互いに支え合う。CTO同士は技術情報を共有し合う。CFO同士は専門知識を共有し合う。なぜCOOはないのか。理由はそれなりに分かっています。でも、それは乗り越えられる理由だと思ってます。COOが余計な言い訳をやめ、ただ必要なことを、CEOのように理想を語り合いながら少しずつ積み上げていけばCOOだってお互いに切磋琢磨できるコミュニティを創れるはずです。

僕は素敵なCOOたちとセッションがしたい

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COOは常に異なる課題を抱えます。会社が変化すればCOOの役割や解決すべき問題は変化していきます。だからこそ、"即興"でいいと思ってます。COOが自由に表現する空間。その存在こそが、体系化しづらいCOOという領域において一つの光を差し込むと思ってます。体系化は後で良い。僕らは後から体系化することができる。それよりも先に"即興"で経営というものを表現しあう。そんな空間があっても良いのではないか。COOが舞台の真ん中に立っている空間があった時、世の中が少し変わる気がしている。これは論理的な解ではありません。ただ、そんな気がするんです。COOとして珍しい欲望です。だから、僕は即興のセッションにこだわりたい。

COOセッションが行き着く先

COOセッションの目的はスタートアップエコシステムの繁栄です。よく思うんです。「みんな起業をしろ」と言う。でも、みんな仲間探しで苦労している。何故か。みんな社長になろうとしているからです。そして、素敵なCOOが見つからない。経験のあるNo.2がいない。そんな問題にスタートアップはぶち当たっています。僕の持論は「スタートアップの成功確率はNo.2で決まる」です。どこまで大きな存在になるかはCEO次第ですが、少なくとも一定の成功に到達するかどうかはNo.2次第だと思っています。だからこそ、No.2やCOOというポジションにつく人材はこれからどんどん求められる存在になります。このままいったら深刻な不足状態に陥るでしょう。だからこそ、このセッションを通してCOOって良いなって思ってもらいたいし、COOにはCOOとしての知見がたくさんあるので、それを共有していける場にしていきます。COOを増やし、COOとしての成功確率を高めることによって、日本の全体のスタートアップ成功確率を上げる。それがこのセッションが行き着く、眩しすぎる未来です。

COOはたくさんの"失敗"を知ってる。だから、それを晒す

COOは会社全体を最も俯瞰して見ており、最も失敗を見る人間です。そして、ほとんどの失敗は自分が関与しています。だからこそ、COOはそこから多くを学び成長していきます。CEOは会社の顔です。そんな簡単に自社の失敗を言いふらす事は出来ません。あまりしたくもないでしょう。でも、どんなに上手くいっているスタートアップでも失敗の山を積み重ねています。そして、その失敗から多くを学び取っています。だからCOOセッションではそれを晒していきます。第一回のテーマは「成長の裏に隠された"大失敗"から学ぶ実践経営論」です。

最後に

かっこつけましたね。なんか色々と書いたのですが、本当の目的をお伝えします。それは山田が個人的にできるだけ多くのCOOの方と出会いたかった事、そしてそこに興味を持ってくれるような方がSCOUTER社に興味を持ってもらいたかったから、今回の企画は立ち上がりました。主催はSCOUTER社です。そのためSCOUTER社にも価値が還元できる形で運用していく事は間違いありません。COOセッションの参加者から未来のSCOUTER役員が生まれる事を心から願っております。ただ、そうは言ってもそれは随分先の話でしょう。なので、とりあえず楽しみたいと思います。皆様と一緒に唯一無二のセッションを創り上げ、一緒に楽しめていければと思います。興味ある方はぜひセッションにお越しください。

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主催者:株式会社SCOUTER COO 山田浩輝より

COOが伝えたい事業責任者に求められる5つの視点〜僕はこうして事業責任者になった〜

はじめに

これまで会社を経営してきて約5年弱。僕が一番成長できた瞬間というのは新規事業である「SARDINE」を立ち上げ、事業責任者として軌道に乗せた期間でした。今、COOとして自分の存在価値を出せているのも、まさしくこの経験があったからでしょう。事業責任者を経ずに今もCOOとして仕事をしていたのであれば、これから先の会社の成長に対して適切な価値を出せるようになっていたか疑わしい。それほど、僕にとって「SARDINE」を立ち上げるという経験は重要な経験となりました。そして、それと同時に事業責任者というものの難しさも感じた期間でした。事業責任者という立場はそれ以外のポジションと比べ非常に差分が大きいポジションになります。経営者と従業員という乖離が最も大きな差分であることは間違い無いですが、その次に大きな差分こそが事業責任者とそれ以外の事業従事者だと思います。事業責任者というポジションは必ず1つの事業に1つです。そのため、なかなか事業責任者というポジション固有の知見というのも世の中に多くないですし、事業責任者はマネージャーともまた違います。故に僕自身が事業責任者になったことによって、考えたことや意識したことをまとめてみました。事業責任者に初めてなった人、これから事業責任者になりたいと思っている方々の事業成功に少しでもお役に立てると嬉しいです。

事業責任者とそれ以外の違い

事業責任者というのはそれ以外のポジションと大きな差分があると書きました。それはなぜなのでしょうか。例えばマーケティング責任者になることや、営業マネージャーになること、PMになることと事業責任者になることとはなぜ、これほどまでに勝手が違い、異なる視点が求められるのか。そこには三つの要因があると思っております。

  1. PL責任
  2. 人事権
  3. 経営側とのコミュニケーション

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上記の三つというのは、事業責任者が一手に持つ可能性が高いです。特に組織が大きくなり、権限構造等がちゃんとしていればしているほど。逆を言えば、事業責任者の配下に配置しているメンバーは上記三つが取り除かれた状態で仕事をしている可能性が高いです。それ自体どうなのと思う人もいるかもしれませんが、一般的な組織だと上記を複数人に持たせることはせず、メンバーレベルは自らが抱える目標を達成することに注力してもらうよう設計していきます。よって、これまで上記三つとの接点がない状態から事業責任者になるということは、相当大きな差分を認識しながら、それを早く埋められるように仕事をしないといけません。逆に言えば、上記三つを乗り越え、事業責任者として責任を全うできた場合、それは市場価値のとても高い人材になるということなので、是非とも多くの方々にチャレンジしてもらいたいとは思っております。

しかし、何の考えもなく事業責任者になると、非常に大きな壁にぶち当たるでしょう。そこで、今回は事業責任者になった人、なりたい人に是非とも持っておいた方が良い視点を5つまとめました。それが以下の5つです。

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これらは事業責任者として欠かせない視点だと思いますし、相当意識的に持とうとしないと得られない視点だとも思います。それくらい、メンバーレベルの仕事と事業責任者としての仕事というは質が異なる(優劣があるとはあまり思いません)ということを理解しておくことが重要だと思います。

その1:「時間軸」の視点

一つ目は「時間軸」です。事業責任者というのは、過去・現在・未来全ての時間軸に対して考えを巡らせ、意思決定をしていかなければなりません。現在のことばかりに囚われ、未来を犠牲にしてもいけないし、過去を振り返らずに突っ走るのもダメ。未来のことばかりを考えて、現在を炎上させすぎても潰れる。このバランスを常に時間軸の視点でとっていかなければなりません。そして事業責任者であれば少なくとも3年先までは考えることが求められるでしょう。メンバーレベルの時には長くても1年程度のスパンで物事を考えることが多いと思います。クオーターの目標達成が一番の重要命題のため、クオータースパンでしか考えないということもあると思います。ただ、事業責任者はそれではダメです。いかに未来から逆算できるか。未来を描くことは事業責任者の責務です。今何をやるべきか、3ヶ月後に何をやるべきか、1年後に何をやるべきか。これら全てに理由がないといけません。そして、それが時間軸において整合性が取れていないといけない。この未来からの逆算による物事の順番付けを間違えると、事業全体が壊れます。過去に一度、その辺りをまとめたので詳しくはこちらを。

reno-coo.hatenablog.jp

故に、事業責任者というのは時間軸の視点を持たなければならない。過去・現在・未来全てを捉えた上で、「今」正しい意思決定を常にしていくことが求められます。

その2:「シェア」の視点

二つ目は「シェア」の視点です。ビジネスというのはシェアという陣取り合戦です。しかし、特にスタートアップにいるとそれを忘れてしまうことがあります(おそらくイノベーティブで競合が少ない環境なのが要因なのかなと)。ただ、最初は競合が少ないとしても、もし市場が有望であれば当然競合は増えますし、最終的には市場のシェアをどれくらい取れたのかで、売上も利益も変わります。経営というのは、簡単に言えば市場を決めて、その市場のシェアをどれくらい取れるのかのゲームをしているとも言える。故に、経営者は常にその視点で物事を考えています。しかし、メンバー時代にはシェアの観点で物事を考える時間というのは、非常に少なかったと思います。意識するのは、よほど競争が熾烈なマーケティング部署くらいでしょうか。そのため、事業責任者になったばかりの時はこのシェアの視点がごっそり抜けます。周りがどうかを無視し、自分たちを全ての基準とする。成長するスピードはこれまでの成長率を基準に。全てのスピードが自分たちが出せる最大のスピードから考えてしまう。でも、それでは適切なシェアを取れるとは限りません。いつまでに、どれだけのシェアを取るか。そのためには、どのスピードで成長する必要があるのか。先に決まるのはこっちのはずです。そのスピードに合わせて、成長をさせることが事業責任者の仕事です。自分たちの市場はどれだけの大きさがあり、どれだけのシェアを取れば、どれだけの売上と利益が出るのか。ここに常に思考を巡らせる視点が事業責任者には求められます。

その3:「投資」の視点

三つ目は「投資」の視点です。経営活動というのは常に投資活動です。何かに資金を投入することにより、それ以上のリターンを生むことが経営の基本です。しかし、メンバーレベルにはこの投資の権限が限りなく制限されています。投資を行うよりも、自分の身体を動かせというのが、メンバーレベルに求められていることなんでしょう(これも決して良いことではないですが)。故に、メンバーレベルで大きな投資判断をする機会というのはそう多くありません。ただし、事業責任者になったらこの投資判断ができなければ成功へと導くことは不可能でしょう。正しい対象に正しいタイミングで投資をすることにより、事業の成長スピードを高めていく。その投資はもしかしたら、当月の成果にならないとしても、将来に繋がるのであればそこに投資をする。この「資金」をどう効果的に活用して、将来に対してコミットしていくかが事業責任者に求められる視点です。「現在」に対して、今所有しているリソースの範囲内で対策を考えることに留まってしまったら、事業の成長スピードは高まっていかないでしょう。

その4:「城主」の視点

これまでの三つは意思決定をしていくプロセスにおいての視点でした。しかし、四つ目は意思決定そのものに関する視点です。それは「城主」の視点です。事業責任者というのは城主なんです。その事業というのは、あなたの城であり、あなたが最高責任者なのです。メンバーが見ているのはあなたであり、社長ではありません。そして、社長よりもあなたは自らの城について詳しいはずです。それならば、自分の城の事に関しては城主である、あなたが最終決定すべきです。僕が「SARDINE」の事業責任者になった時、初めて社長に意思決定を介入させない状態を意図的に作りました。これまでは当然最後は社長がという意識がありましたが、「SARDINE」の事に関してだけは手出しをさせない。全て自分が決めるという強烈な覚悟を持ち、実際に立ち上げから半年間は何一つ口出しをさせませんでした。事業責任者になるということは、それだけの覚悟と強い意志が求められます。時間軸・シェア・投資の視点を持ち、自分が限界まで考え抜けば社長よりも適切な意思決定ができるようになるはずです。そして、そうなれないのであれば、あなたが事業責任者になる必要がありません。全ての視点を持っていようが、この城主であるという自覚がないのであれば、全ては無駄になるでしょう。これは決して経営層の意見を無視しろという意味ではありません。経営層の意見も聞いた上で、それでも最後決めるべきは事業責任者であるべきということです。その覚悟と努力ができないのであれば、できる限り速やかに事業責任者を降りた方がいいでしょう。

その5:「存在理由」の視点

最後の視点は「存在理由」の視点です。事業というのは必ず存在理由があるはずです。そこに理由がないのであれば、メンバーが行う活動では仕事ではなく、ただの作業になるでしょう。そして、存在理由を見出し、伝えることは事業責任者の責務です。メンバーの時には意味を与えられていたかもしれません。しかし、もう意味を与えてくれる人はいません。あなたが自分で顧客と向き合い、この事業の意味を見出し、それを伝えていかないといけないのです。あなたの心から出てくる言葉で、直接メンバーに伝えていく必要があります。事業の存在理由は事業責任者の言葉でなければいけない。これは僕自身が自分で事業責任者として事業を立ち上げ感じた、最も大きな学びです。もし、事業の途中で事業責任者に就任した人がいたら、既存の事業のミッションや、存在理由の言葉をアップデートした方が良いと思います。どんなに元々の言葉が良い言葉だとしても、そこにはあなたの想いがありません。あなたは他人の言葉で人を動かせるのでしょうか?メンバーを希望のある未来へと連れていくことができるのでしょうか?必ず自分の言葉で紡ぎ、自分の嘘偽りのない想いを伝えてください。それは事業成功の大きな一助になります。

結論:社長と戦う覚悟はありますか?

事業責任者に就くということはある意味、社長と戦うということなんだと思ってます。僕自身も初めて、社長を無視した期間でした。社長に何を言われても、自分の考えを曲げず、SARDINEという自分が責任を持っている事業にとって最も最善の意思決定をしようと振る舞い続けた期間でした。社長というのは大きすぎる権力を持っています。あなたの脳裏にはその権力がちらつくでしょう。でも、それでも社長と戦い、事業のためになることをやり続ける。その恐怖と戦い続け、事業を成功へと導く。それが事業責任者です。社長の言いなりになってる事業責任者なら、いない方がましです。それはメンバーを混乱へと導くだけです。何が一番大事かをブラさないでください。事業責任者のミッションは事業を成功に導くことであり、事業に価値を付与することであり、顧客に価値を届けることです。そのためには、社長とも戦い続けてください。どんなに辛い時でも逃げないでください。事業責任者として事業を成功に導けた時、その時に見える光景というのは素晴らしいものが待っていると思います。

*社長の皆様のことを悪いように書いてしまって申し訳ありません。あくまでも抽象的な比喩として書いておりますので、どうかお見過ごしいただけますと幸いです

人材紹介にAIが導入されて誰が幸せになるのか

はじめに

先週SCOUTER社ではAI構文解析技術を持つ英国DaXtra社との業務連携を発表しました。詳細は以下となっております。

prtimes.jp

しかし、この提携が一体何を意味しているのか、誰にどんなメリットが生まれるのか人材紹介を詳しく知らない方からよくわからないというお言葉をもらったため、ブログにて非公式ではありますがなるべくわかりやすく説明することを試みたいと思っております。あくまでも本内容は個人的な理解であり、考えであることを前提に読んでいただければと思います。今後のSCOUTER社の動きを保証するものではないことご了承いただければと思います。

AIは人材紹介の何を変えるのか

さて、「AI」という言葉が出てきてしまいました。この言葉、本当に厄介でございます。厄介な理由はいくつかあるのですが、主には「AI」という単語の意味が広すぎること、また単体ではほとんど何も意味をなさないことが要因かとは思います。「AI」単体のみで大きな意味を持つのはまだ当分先の話で、現代では「AIをどのように活用するのか」がセットとならないと意味のある話になりません。ただ、それって非常に専門的な話になってしまうので、なかなか汎用性のある話にならず、一般的な理解ではAI=すごい技術くらいにしか理解できないものはしょうがないのかなと思います。ただ、今回は上記のような困難があることは承知の上で、人材紹介とAIの関係について説明してみたいと思います。

そもそも、人材紹介というのは何をやっているのかという話から始めます。人材紹介には「エージェント」という存在がいます。よくプロ野球選手とかサッカー選手が移籍するとき仕事をする人たちをイメージしてもらえれば良いかと思います。選手が希望するような条件のチームを探して、条件を交渉する人のことです。なぜ彼らはエージェントを使うかと言えば、彼らはプレーをするプロであって、あくまでも交渉とかチーム事情には詳しくないわけで、選手たちが最適なチームでプレーできるようにお手伝いする人たちが必要なわけです。で、それって転職でも同じだよねっていうのが基本的な「エージェント」の役割かとは思います。働く人は自社の会社以外のことはあまり知らないわけで、詳しいエージェントが代わりに希望条件に合う企業を紹介していきます。また、それと同時にエージェントは企業側から"こんな人が欲しい"という依頼が来ておりますので、その希望とも合っているのかを確認し、マッチする両者を繋ぎ合わせるのが仕事となっております。

つまり、転職者と企業両方の希望がマッチするように繋ぎ合わせるのがエージェントの仕事となります(故にマッチングビジネスと呼ばれております)。この役割を前提として、エージェントの仕事のフローを簡略的に図にしたものが以下となります。

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人材紹介における「AI」の意味を理解するには、エージェントのワークフローとセットで考えなければいけません。あくまでもAIはこれらのフローのいずれかを「代替」あるいは「簡略化」するために存在するのです。では、AIはエージェントのワークフローのどこに影響を与えるかというと、個人的には二つあると思っています。

一つ目は「インプット」という活動です。エージェントは転職者の様々な情報をデータとして登録していきます。その理由はいくつかあるのですが、やはり全てを記憶できないからが最大の理由かとは思います。転職者の経歴や聞いた内容を全て記憶していくのは至難の技です。なぜならエージェントは毎月数十人の転職者と会うので。なので、必ず転職者の情報は何かしらにインプットしてデータとして溜めておく必要があります。そして、それが大量に蓄積されれば、過去の傾向や売上との相関等も分析できるようになり業務改善を行うことが可能になっていきます。ただ、このインプットすごい大変です。要は転職者の仕事に関する情報ほぼ全てをインプットしなければいけないわけで、これまでのエージェントというのはそれらを頑張って手打ちするか、データ化することを諦めて紙にメモ書きするかのどちらかが大半だったわけです。ここでAI(本件はDaxtraというソフトウエア)の登場です。転職者の情報として最も重要なのは経歴やスキル情報となります。そしてそれが記載されているのが履歴書・職務経歴書と呼ばれる情報です。この書類の厄介なところは全員書き方がバラバラなところなのですが、AIはその書き方の違いを学習しながら同じ形式でデータ化していくことができます。人間の記述の癖やパターンを勉強していき、必要な情報を適切に判断し、使いやすい形に再編集してデータ化してくれるんです。これは人材紹介において大変大きな変化となります。これまで諦めていた、もしくは多大なコストがかかっていた転職者の経歴・スキル情報をデータ化することができる。AIはエージェントの「インプット」活動を大きく簡略化していっております。

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二つ目は「求人選定」という活動です。双方の希望をマッチさせる人材紹介における肝となる活動です。この「求人選定」がAIになってしまったらエージェントって要らなくない?って思われる方もいるかもしれません。ただ、個人的にはAIが「求人選定」の全てを正しく行うことは難しいと考えております。エージェントにおける求人選定というのは主に二つの活動で構成されます。「絞り込み」「選択」です。つまり、大量の求人の選択肢の中からある程度条件に合ったものを「絞り込み」、その中から転職者に最も合っているであろう求人を「選択」して紹介します。これ、エージェントの頭の中ではどうなっているかというと、

「この人の経歴と希望なら、あそこらへんの会社群が良いだろうな。えっと会社で言うと、AとBとCとDとEか。うーん。この中だったら、BとDが一番合ってそうだな。」

って、思考回路になってます。エージェントは過去の経験や知識を活用して、筋の良い絞り込みをし、選択肢をある程度絞り込んだ上で最適な求人を選択します。ただ、問題は「筋の良い絞り込み」なんです。これ、誰にでもできるわけじゃないんです。俗に言う経験が必要ってやつです。しかもエージェントが活用する求人は年々増加傾向(求人ニーズの上昇や求人管理コストの低下等理由は複数あります)にあり、そもそもの選択肢も増え続けています。故に絞り込みをするのがどんどん難しくなってきているし、コストも上がっている。かつ、そもそも筋の良い絞り込みを全員ができるとは限らない。これがエージェントの「求人選定」に関する大きな課題でした。しかし、ここにAIに入ることによってAIが筋の良い絞り込みを「代替」できるようになります。AIは転職者の希望条件/過去の経歴やスキル情報と求人側の条件等の情報をマッチング。そこに過去の選考情報等を加えて分析することによって、現実的に内定の可能性がある求人の中で、条件にマッチする求人を絞り込むことができます。その中からエージェントは最も適切な求人は何かを考え、最後の「選択」を行うことで優れたエージェントの仕事を一般化させることを可能にできるかもしれないのです。

こうなると、AIが最後の「選択」まで行えば良いじゃんという意見もあるかと思います。ただ、それは現状危険だなと思っております。それは転職という意思決定には多くの人間が絡むからです。人間というのは常に非合理的な存在です。人間が複数人関与すれば、それらの活動には必ず揺らぎが生まれます。この揺らぎをAIは捉えることは現状できません。なんとなく、こっちの方が良さそう。なんとなく、この会社の人事は気に入ってくれそう。この「なんとなく」が人間が人間たる所以であり、AIには代替しづらい部分であります。エージェントってそんなテキトーなのと思われるかもしれませんが、人間が究極まで突き詰めると結局は説明不可能な「なんとなく」に行き着きます。全ての意思決定に合理的な理由があるわけではありません。そして、それは人生を左右する意思決定であればあるほどです。だからこそ、最後は「なんとなく」でしか決められないのだと個人的には思っております。

ここまでの内容をまとめると、AIは人材紹介において以下の三つに好影響を与えます

  1. 「インプット」活動を大幅に効率化する
  2. 「求人選定」活動における絞り込みを効率化する
  3. 「求人選定」活動における筋の良い絞り込みを汎用化させることができる

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エージェントにとって、AIは自らの仕事を効率化し、エージェントの能力を補完しながら高水準なレベルのサービスを提供できるようにするために非常に重要な存在であることがわかると思います。ただ、ここまでの話ではAIが幸せにしているのはエージェントのみとも言えます。ここにAIと人材紹介の危うい未来が隠れています。

誤ったAI導入は転職者を不幸にする

AIは確かにエージェント業務を大幅に効率化します。エージェントはこれまでの仕事を半分の時間でこなせるようになるかもしれません。ここ5年で上記の効率化は確実に実現していくでしょう。では、エージェントは効率化され余った時間は一体何に使うのでしょうか?この時間の使い方次第では、エージェントだけが幸せになる未来が生まれてしまうかもしれません。そして、その未来は転職者を今よりも不幸にするかもしれません。

どういうことか。エージェントが仮に余った時間でこれまでの二倍の転職者をサポートする場合どうなるか想像してみてください。確かにエージェントの売上はそれで二倍になるかもしれません。しかし、これでサービスのクオリティは上がるのか。転職者にとってより良い転職体験に繋がるのか。それは否です。エージェントがAIを導入することによって、対応する転職者の量を増やす方向に走った場合、それはエージェント同士の転職者確保競争が加速し、転職者を囲い込むための無意味な活動に勤しみ、転職者はこれまで以上に多くのエージェントがうざったい連絡が来るようになり。求人企業はより多くのエージェントと契約を結ばなければいけなくなります。エージェントの"量"を増加させる傾向は、転職者を不幸させる最大の要因であり、AIがその起爆剤になってしまう可能性があるのです。その成れの果てはエージェントが全てをAIに頼り、AIの指示通りに転職者を支援する未来です。なぜなら、それが最も効率的で量をこなせる方法だからです。ただ、その臨界点が来た瞬間にエージェントの存在意義は0になります。エージェントは既得権で守られなければ生きていけない、中間業者でしかなくなります。AIの誤った導入は転職者を不幸にし、ひいてはエージェントという存在を消滅させることにもなりかねないと思っています。

エージェントの存在理由とは

僕らは「SCOUTER」というサービスを運営しています。個人がキャリアアドバイザーになって活動することができるサービスです。この「SCOUTER」の運営を通して、エージェントの存在理由を深く考えさせられますし、我々はそこに向き合い続けて来ました。これだけ、技術が発展した世界において、人間にしかできないこととは何なのだろうかと。エージェントとはなぜ必要なのだろうかと。そしてその中で僕個人が行き着いた答えは「"人を想う"ことが"人を動かす"」のではないかということです。僕らの世界には無数の選択肢が広がっています。正直真っ当に選び続けることなんでできません。この世界には常に「もし〜だったら」というパラレルワールドが存在しています。そして、それが僕らの決断を邪魔します。不安になり、怖くなります。人間は後悔したくない生き物です。だから身動きが取れなくなってきます。そこから抜け出すにはその「選択した、もしくは選択せざるを得なかった自分を肯定する」しかありません。選択とは、意思決定とはそういう活動です。そして、「人の想い」はその活動の背中を押してくれます。エージェントの存在理由は最後そこにあるのだと思っています。転職者のことを「想う」ことで、転職者の背中を押す存在。それは常に正しい選択とは限らないかもしれません。間違うこともあると思います。ただ、その時の転職者の「自分」を肯定できるように「想い続ける」ことがAIにはできないエージェントの仕事なのだと思います。

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SARDINEが描くAI×エージェント

SARDINEはエージェントの業務支援を行うサービスです。そして、SARDINEにAIを導入することを決めました。それは、僕ら自身の意思表示でもあります。SARDINEは人材紹介に誤ったAI導入をしないことを誓うということを。正しいAI導入ができると確信したからこそ、導入したということを。SARDINEがAIを導入することで上記で説明した好影響は全て実現するでしょう。

  1. 「インプット」活動を大幅に効率化する
  2. 「求人選定」活動における絞り込みを効率化する
  3. 「求人選定」活動における筋の良い絞り込みを汎用化させることができる

エージェントには必ず時間の余裕が生まれるようになります。そして、常に「筋の良い」絞り込みを全てのエージェントができるようになります。問題はその後です。SARDINEが描く未来のエージェントはその時間を更に転職者と向き合う時間に使います。一人当たりの対応時間を増やすのです。そうするからこそ、転職者にとって納得のできる転職を実現できる可能性を高めることができます。転職者にとって、筋の良い求人(受かる可能性があり、条件にマッチする求人)が紹介される世界は確実に来ます。それが"どんなエージェントであっても"です。そしてそれに加えて、そもそも転職をするべきなのか、どんな転職にすべきなのか、最終的にどの企業に行くべきか、人生をどう充実させていくのか。これらの論点を時間をかけて納得のいく答えを見つけていくことにエージェントは時間をかけられるようになります。転職者にとって「求人」を提案する存在から、「人生の喜び」を提案する存在へと変化していくことなんだと思います。SARDINEというサービスはその流れを加速化させるためのサービスです。SARDINEはエージェント支援を通して、転職者を「想い」、転職者の「幸せ」の手助けをできればと思っております。

SARDINEについてのお問い合わせはこちら

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スタートアップCOOが旅行休暇を取るべき5つの理由

はじめに

先週、一週間お休みをもらって沖縄に旅行に行っておりました。スタートアップなのにそんなに休むのはどうなのかというご意見もあるかとは思いますが、個人的に経営レベルのメンバーがこのような休暇を取るのは推進派でございます。なので、今回は特にCOOという立場の人間がなぜ旅行休暇を取るべきなのか、その理由をまとめてみました。自分としてはこの理由は会社組織やスタートアップというものの構造的なものからくる理由になっていると思っておりますので、どの企業様にも当てはまるかとは思っております。

COOが旅行休暇を取るべき5つの理由

大前提、スタートアップというのは常にハードワークです。一般的な労働の2~3倍(もしくはそれ以上)の労働や生産性を実現することで、通常よりも短い期間で大きな成果を生み出すのがスタートアップなので。問題は「通常より短い期間」と言ってもそれは、「想像以上に長い時間」であるということです。つまり、確かにハードワークが前提だが正しい休息を取れないと、途中で倒れるほどの距離であることもまた事実であるということです。このバランスを組織全体が正しく理解し、ハードワークと休息を両立させることが走りきるために重要になってくると思います。しかし、ここで一人だけ例外の化け物がいます。それが創業社長です。彼らは生活と仕事が完全に一体化しております。なのでそもそも、「ハードワーク」という言葉が不適切な表現だと感じるでしょう。「俺らの人生はハードライフなのか」というご指摘をもらうことが容易に想像できます。それくらい、"仕事"を一般的な人々が認知している"仕事"と認知していない存在がいるのでこの人だけは、休息を取らずとも走り切れてしまう。社長とそれ以外という「ワーク」に対する認識ギャップは組織全体のワークと休息のバランスを崩す一番の原因になる可能性があります。だから今回伝えたいのは「社長が」休暇を取るべき理由ではなく「COO」が休暇を取るべき理由としたのです。社長の休暇は社長個人の問題であり、組織全体に継続的に良い影響を及ぼすとは限りません。社長は行きたい時に行ってください。重要なのはCOOが意図的に休暇を取るべきということです。それは個人だけでなく、組織に対して継続的に良い影響をもたらしてくれると思います。

以下が、COOが旅行休暇を取るべき5つの理由です。

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その1:組織を客観的に観察できるから

物事を中から見るのと外から見るのでは随分異なるものが見えてきます。特に中から見て、想像するものというのは大概間違っているものです。なのでCOOといえど、組織の中に居続けると自分が所属している組織を間違った想像で捉えることがあります。もしくは、見えていない部分があることに気づかないままの可能性があります。なので、旅行を通して自分を"擬似的"に組織の外に連れ出すことで客観的な観察ができるようになります。旅行に行った際は仕事系のメッセージの通知は全てオフにします。そして見るとしても一日に一回まとめて確認する程度です。すると、日々大量の情報がフローで入ってくる時には気づかなかった部分が見えてくるようになります。コミュニケーションの偏り、情報量の偏り、明らかに議論が不足しているまま結論がでたこと、一週間で自分が想像した進捗との乖離。このような組織の弱い部分が見えるようになるのです。頭の中の意識を変えてもこのように組織を客観的に見ることはできません。そこには必ず身体という物理的な距離と、情報との十分な距離というものが必要です。それは一週間程度の旅行というのがぴったしなのです。

その2:自己不必要性を認識できるから

COOは「組織にとって必要なこと全て」を行うことが仕事です。ただ、それが故に二つの副作用があると思ってます。一つは自分がやらなくても良いことまでやってしまうということ。仕事の処理能力が高いため、大量の仕事を抱えてもこなすことができてしまう。それゆえに下に回すべき仕事や、本来必要のない仕事を自分でやり続けてしまうということがあります。それは部下の成長にも繋がらないですし、組織としての生産性も上がりません。二つ目は自己認知として「俺すげー」と勘違いしてしまうこと。この会社は俺が回しているみたいな認識を持ってしまいがちです。まぁ、それが事実なら良いんですが、勘違いだった場合は害悪にしかなりません。この二つの副作用を旅行休暇は防止してくれると思います。自分も初めて長期で休暇を取った時は不安で仕方がありませんでした。本当に仕事が回るのだろうかと。でも、その不安はものの見事に打ち砕かれるんです。自分がいなくても全然回ってる。自分がいる時と違う点を見つける方が難しい。その事実を見せつけられるんです。この感覚は毎回喜びと同時にちょっとしたショックという二つの感情を同時にもたらしてくれます。これをきっかけとして休暇から戻ったら、自分がいなくても回ってた仕事を完全移譲したり、メンバーの評価を自分の中で更新したりとかできます。そして最も良いことは、「やばい、自分の存在価値がなくなる」という危機感が自然と湧いてくるということです。あの事実を見せつけられると勘違いなんてできません。これまで自分がやってた仕事は、自分がいなくても進んでいく。だからこそ、新しい仕事を生み出したり、より生産性を高める方法にトライしていかなければと自分を大きくアップデートしようと思うきっかけになります。スタートアップの経営者にとってはどれだけ自分が変化できるかこそが勝負だと思います。組織や事業の成長に合わせて自分を変化させていけること。これが重要な中で、COOは自己不必要性を認識できないと、現状に満足してしまい、変化や成長に怠けることがあると思います。自己陶酔状態ですね。そんなものは邪魔なだけなので、休暇を取ることで意図的に組織における自己不必要性を感じ取る。これが自己のアップデートにおいて非常に重要になると思います。

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その3:無意識の認識を確認できるから

旅行中は原則、仕事のことを忘れます。仕事を忘れるくらい素晴らしい旅行にしようと努めますし、自然体(スマホとかPCを極力見ない等)でいれば意外と仕事のことを考えないでいられるものです。ゆえに自分の思考の中に仕事があまり出てこない状態に持っていくことができます。重要なのはこの時に、それでも自分が仕事のことで考えてしまう何かがあるのか、あるとしたらそれは何なのかということです。この状態でも考えてしまうことというのは、自分が無意識的に思考してしまう対象なので、すごく不安に思っていることや強い期待を持っていることの可能性が高いです。COOは通常あらゆる物事を意図的に考えており、感覚で動いているわけではないので、意外と自分の無意識に気付きにくいです。無意識の自分の思考に気づくことで、会社の長期的な視点に対する思考の材料を手に入れたり、隠れている組織の問題点を炙り出せたりできる。きっと社長たちは常時そういう感覚で色んなものを察知しているのでしょうが、COOもこの時だけはそれができるようになります。数ヶ月に一度COOが意図的に感性を使った問題提起ができるようになり、自分の無意識を活用できるようになったら、非常に強い組織になると思います。そういう意味で頭の中を空っぽにできる旅行休暇は優れております。

その4:仕事欲を醸成できるから

スタートアップのハードワークを社長以外の普通の人間が乗り越えられるとしたら、それは「感情を消す」か「仕事を楽しむか」のどちらかでしょう。それくらい、普通の人からしたらありえない働き方をしているんだろうなということは、自分の家族とかとコミュニケーションを取ればわかると思います。「あなた何で土曜日なのに働いてるの?」みたいなことをよく親に言われます。ここにおいて、なかなか「感情を消す」ということは難しいですね。できたとしても、あまり推奨はしないと思います。メンバー全員が感情を消しながら働いて欲しくはないので。なので、組織としてスタートアップのスピードを維持する方法は、メンバーに「仕事を楽しんでもらう」状態を作り出し続けることだと思います。それは、もちろん個々人のモチベーションに依存するという側面もあるのですが、意外と重要だと思うのが「COOが仕事を楽しんでいるか」だと思います。社長はいつでも楽しんでいるのでこれは対象外です。社長は楽しむと同時にめちゃくちゃな要求をする立場なので、メンバーからすると「お前、よくそんな俺たちに無茶振りばっかして笑ってるな」みたいな感じが本音じゃないでしょうか(笑)。なので重要なのは現実を一番見ているCOOが笑っているか、この組織を楽しんでるか、仕事を楽しんでるかなのかなと思ってます。それは"普通"の人々にとって仕事を楽しめる状態なのかどうかの重要な指標だと思うし、COOが楽しめてないのであればその下に楽しめと言うのも無理があるでしょう。

ということで、結構COOが仕事を楽しんでいるかは重要な要素だと思うのですが、COOは社長と違い普通の人間です(例外もあるかとは思いますが、個人的には普通の人間がCOOをやった方が上手くいくと思います)。人生=仕事ではありません。そのため、ずっと仕事をしていたら途中で仕事が辛くなってくることもあります(ただCOOは未来予知能力が高いので、ここで放棄すると後々よりめんどくさい状態になると想像できるので仕事は完遂しますが)。なので、意外と何も考えずにハードワークしてたらCOOの仕事に対する感情というのはマイナスに振れる可能性もあるんです。そんな時、定期的に旅行等にいき、仕事から離れると旅行最終日とかに仕事欲が驚くほど湧いてきます。ここで仕事欲が湧いてくるあたりは仕事人間だなと思いますし、COOっぽいなと思いますが、この仕事欲は非常に重要で定期的に醸成することでCOOが仕事を常に楽しむことができるようになると思います。COOにとって本来仕事というのは楽しいものです。ただし、度を過ぎたハードワークを続けていると、いつしかその楽しさを失いかける。なので、強制的に仕事から離れることで仕事欲を醸成する。このコントロールが、ひいては組織全体に影響を与え、組織の中に仕事を楽しめる人が増えるのではないかと思っております。

その5:大切な人を大切にする文化を作れるから

最後はなぜ"旅行"休暇なのか。自分は長期の休暇を取る際には明確に「どこ」に「誰」と行くのかを社内に伝えて休暇を取ります。それを伝えることで、「大事な旅行だから連絡してくるなよ!」という牽制の意味もあるのですが、それよりも「大切な人とはちゃんと時間を作って素敵な時間を過ごした方が良いよ」というメッセージを伝えたい方が強いです。仕事というのはとても恐ろしい活動です。自分の生活を支えている活動だからこそ、人間の優先順位を狂わします。みんな大切な人と素敵な時間を過ごしたい、それが人生にとって一番重要だということは頭ではわかっています。でも、それを形にして実現している人は周りを見る限りすごい少ないと思ってます。仕事というのは、優先順位としてその下のはずなのに、いつの間にか一番優先されるべきものになってるのです。「仕事だから」と家族や恋人との時間を失っていくことが、しょうがないことだと、正しいことだと、正当化されているように感じます。でも、個人的にはその状態での仕事にサステイナビリティーを感じません。どこかで折れる気がします。そしてこれは、個人の意識の問題ではなく、組織としての文化の問題のように感じます。きっと個人の優先順位がどんなに正しくても、間違った文化を持った組織に入ったらその優先順位は歪められる。仕事を優先できない人は、きっと人間として否定される。だから、個人にどんなに働きかけても無意味で、「大切な人を大切にする文化」を会社に創れるかどうかが全てだと思います。そして、それは上の人間にしかできません。経営メンバーが休んでいないのに、下のメンバーが休むことは精神的にすごい難しい。特に経営と現場の距離が短いスタートアップであればあるほどです。だから"普通"の人間としては最も上に立つCOOが自らを持ってそのメッセージを発信し続けないといけないと思います。旅行休暇というのはそのメッセージとして非常に優れています。休みをそんな使い方して良いんだと、出発するときはみんなから「楽しんできて」と言われ、帰ってきたら「おかえりなさい」と言われる。それがこの組織とって当たり前だし、それを全員が当たり前にして欲しい。大切な人との時間を最優先にしても、仕事に支障はないし、むしろその方が継続的に高いパフォーマンスを出せる。それが"スタートアップ"という状況であっても。そういうことをCOOは自ら証明し、組織の文化にしていくことは義務に近いものだと思っていますし、個人的にそういう組織の一員として働きたいと思っています。

結論:全ての社員の模範となれ

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COOが旅行休暇を取るべき理由を「自己認識」「組織認識」「組織文化」の観点から見てきました。"休む"という活動はハードワークをするからこそ重要であり、"旅行"という活動は組織に入り浸っているからこそ重要です。そして何よりも"普通"の人間として、仕事のための人生ではなく、人生のための仕事とするにはどうすれば良いのかという命題において旅行休暇というのは非常に有意義なように思えます。組織のトップは社長です。でも"普通"の人間としてのトップはCOOなのかもしれない。メンバーから見たらそう見えているのかもしれません。そう考えた時にCOOは全ての社員の模範になるべきだと思っています。経営と現場という分離をしたらそれは対立構造にしかなりません。でも、COOは普通の感覚を持っているし、人としては社長よりもメンバーたちとの距離の方が近いと思ってます。そんな自分がどう振る舞うのか、どう考えるのか。それは組織としての文化や行動様式に直結するし、社員がもし参考にするとしたら、それは社長よりもCOOの振る舞いです。だからこそCOOは「意図的」に旅行休暇を取るべきだと思うし、それでも十分なパフォーマンスが出ることを組織に対して証明する必要があると思います。COOは全ての社員の模範となるべきであり、それを強烈に意識するべきです。それが未来の組織文化を、未来の素敵な組織を、未来の素敵な働く人々を創り出すのだから。