株式会社SCOUTERのCOOが人事を尽くして考えた

渋谷で「SCOUTER」を運営する株式会社SCOUTERのCOOがスタートアップ・組織について書いているブログです。

「楽しい仕事がしたい」という人はなぜ成果を出せないのか

「楽しい仕事がしたい」で内定がもらえない人々

最近、面接する機会が多いのですが、その中でよく聞く言葉があります。それが「楽しい仕事がしたいんです」と。この言葉が出た場合、多くの人はお見送りになっております。最近は「モチベーション」「好きを仕事に」というような大きな流れがあるのに、なぜ内定を出せないのか。それは「楽しい仕事がしたい」と面接の場で言う人は成果を出せないと判断してるからです。ただ、自分の中でもそれがなぜなのか、正しく言語化できていなかったので、今回言語化を試みます。

そもそも仕事は楽しいものなのか

個人の経験として日々仕事を楽しいと思いながら仕事をしたことは残念ながらありません。毎日「楽しいー」という感情を感じる仕事を想像することすら難しいです。そして、周りの成果を出している人たちからも毎日「楽しい」という言葉はなかなか聞いたことがありません。ただ、じゃあ毎日辛くて死にそうになっているかと言われるとそういう訳ではない。つまり、仕事というのは「楽しい」と「辛い」の二元論で語るにはあまりにも難しい活動であるということなんだと思います。「楽しい」か「辛い」かではなく大変だったけど、充実感を感じられたとか、楽だったけど物足りなかったとかあらゆる感情が生まれ、それは一概にどの状態が良いとは言えないのが正直なところでしょう。ただしここにおける議論において、最も重要なことは「楽しい」ということが「成果」に繋がる訳ではないということです。ここの認識を間違えた人が「楽しい仕事をしたい」という言葉を言ってしまうのだと思います。

仕事とは価値を提供して対価をもらう活動

当たり前のことを言いますが、仕事とは先に価値の提供があります。対価をもらうのは価値を提供することができた「後」です。これが仕事の原理原則です。しかし「楽しい仕事がしたい」という人はこの原理原則を認識していないように思えます。先に対価をもらう。それに見合った価値提供をするが、そのプロセスとしては楽しいものの方が嬉しいな。そんな感覚なのでしょうか。僕は「楽しい仕事がしたい」という発言にそんな潜在意識を感じ取ってしまいます。正直なところそんな発想を持ってる人をスタートアップで雇ったら一瞬で潰れるんじゃないかという恐怖感があります。なので内定を出せないのです。

大手にもスタートアップにも「楽しい」仕事なんてない

当該発言をする方というのはかなりの確率で大手で働いていた方が多いです。楽しくないので、楽しさを求めてスタートアップに行きたいと思っていますと。ただ、はっきり言いますがスタートアップにも「楽しい」仕事なんてありませんよ。スタートアップには「責任が明確に与えられる」仕事があるだけです。そして、その責任が会社自体の業績に大きな影響を与える可能性が高いというだけです。そのような仕事が与えられた時に最初「ワクワクする」人はいるかもしれません。ただ、そういう人も始まった後は強烈なプレッシャーと戦う必要がある訳で、毎日ワクワクが止まりませんって人はあまり見たことがありません。大きな責任を与えられ、仕事として始めたのであればその責任を全うするために必死であり、楽しさを感じる余裕なんてないというのが実態ではないでしょうか?というか、そういう人じゃないと経営者は仕事を任せないかと。もちろん、楽しく振舞うことは素晴らしいことです。ただ、実際問題「楽しい」仕事で埋め尽くすされる訳ではないですし、日々問題が起きる中でその状況を「楽しめる」かどうかの方がよっぽど大事なのです。

成果を出す人は「手段」にこだわらない

与えられた責任を果たし、優秀と評される人たちは一切「手段」にこだわりません。そこに自分の好き・嫌いなんてものは挟まず、あらゆる手段を検討し、試した上で最も効果の高い手段を徹底的に実行する。ただ、それだけです。それが成果を出すための原理原則です。仕事に楽しさを求める人は、ここに大きな制約をつけてしまう可能性があります。楽しくない手段は取らないという選択です。シンプルに成果を出す人と出せない人の差分はここに生まれます。もちろん、優れた戦略を構築したり、優れた仮説を提示することも重要です。ただ、そんなことよりも圧倒的に自分の好き嫌い関係なく、最も効果の高い手段をやりきることができるのか。それが成果の分かれ目です。

まとめ

「楽しい仕事がしたい」という人はなぜ成果を出せないのか。これに対する帰結は以下となります。

  • 仕事とは価値を提供した「後」に対価を得ることが原理原則である
  • 上記を理解していない人は結果ではなくプロセスを優先する(先に対価獲得が決定していると錯覚しているため)
  • 楽しいプロセスを追求する結果、手段を無意識に制限し優れた成果を出せない
  • 「楽しい仕事」という発言は上記の原理原則を理解していない人間の発言である

感情のグラデーションを楽しむのが仕事の醍醐味

さて、ここまで仕事は楽しくないという論調をひたすら書いてしまいました。なので、仕事って辛いものなのか。特にスタートアップって大変なのか。という印象を与えてしまったかもしれません。ただ、今回僕が伝えたかったのは、そもそも「無条件に楽しい」仕事なんてないということと、「楽しさ」を最優先にすると成果が出ないということの二つです。決して仕事そのものが辛いということを言いたかった訳ではありません。先述しましたが仕事というのは「楽しい」と「辛い」の二元論で語るにはあまりにも難しい活動であるというのが本質だと思います。そして、仕事の醍醐味というのは、感情のグラデーション創り出してくれるということだと思うのです。仕事(特にスタートアップでは)というのは変化の連続です。その変化に伴い様々な感情が生まれては消えを繰り返します。良い感情も悪い感情も芽生えては次のものが芽生え。そうやって感情がグラデーションとしてどんどん混ざっていきます。これって人生においてそんな経験できることではないと思うのです。日々単調に生きていたらこれほどまでに複雑な自分の感情に気づくことはないでしょう。その感情の変化こそが生きてるという実感を与えたり、自己の人間性の拡張に繋がったりするんだと思います。感情的に仕事をするのではなく、成果のみに集中して変化に身を委ねていくことで、結果的に感情のグラデーションが濃くなっていく。それにふと気づいた時に大きな感動が生まれるんだと思います。

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