株式会社SCOUTERのCOOが人事を尽くして考えた

渋谷で「SCOUTER」を運営する株式会社SCOUTERのCOOがスタートアップ・組織について書いているブログです。

【徹底解説】COOが社長の忙しい5つの理由を説明します

はじめに

会社を立ち上げてから5年目となりました。社長と一緒に仕事をしていく中で、実はわからないことが一つだけありました。それは「なぜ、社長ってこんなに忙しいのだろう」ということです。逆に言えば、「なんで社長はこんなにも仕事を処理できないのだろう?」でした。そして、時にはその状況に対して怒りや憎しみが湧くこともありました。そんな中、社内の状況が変化し、会社のフェーズも変わりつつある中で、気づいたことがありました。

いつの間にか、昔社長がやってたような仕事を自分がやるようになっていたのです。ここ2.3ヶ月くらいは自分が昔の社長っぽい仕事をやるようになって、やっと謎が解けました。「なぜ、社長ってこんなに忙しいのだろう」に対する答えが見つかったのです。社長という人たちは当然自分が忙しい理由を自ら説明することもしないでしょうし、忙しいアピールもしたくないでしょう。なので、社長が何をやっているのか実はメンバーたちはわかっておらず、不信感とかを募らせることも多いかと思います。なので、COOが理解した社長の仕事や忙しい理由をまとめてみました。スタートアップで働いている方々はこれを読んで、不信感とかが多少和らげばいいなと思います。

社長が忙しい5つの理由

そもそも、社長というのはどういう仕事をするべきなのでしょうか。何のために存在すべきなのでしょうか。個人的な考えでは社長は「想定外の仕事を生み出すこと」が仕事だと思ってます。仕事というのは誰かが創り出すものです。メンバーの人達は誰かが生み出した仕事をしているのです。そして、その仕事を生み出すのが社長です(特にスタートアップでは)。新しい事業や新しいサービスを着想し、それを仕事としてメンバーに与えていく最初のきっかけを創ること。そして最も重要なことはそれが"想定外"であることです。既存の延長線上にある想定内の仕事はNo.2以下が作り出すことができます。社長が想定内の仕事ばかり作ってたら、会社の成長は止まります。そうではなく、既存の延長線上にはなかったメンバーからすると「何だそりゃ」と思うような仕事を持ってきたり、生み出したりする。これが社長の仕事です。なので、当然既存のオペレーションを回すこととか、タスクを処理することとかは社長にとってどうでもいいのです(どうでもいいというのは、ちゃんと回っていればどうでもいいって意味です)。それよりも、会社を未知の世界へと導くことが社長にしかできない仕事なのです。

その上で、社長が忙しい5つの理由が以下となります。

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その1:人と会うアポイントがえげつない

まず何と言っても社長はアポイントが多いです。そして量もさることながら、その質もすごいものがあります。これが「えげつない」と書いた理由なんですが、イメージでいうと皆様にも1年に一回くらい、すごい人とのアポイントがあって、とても緊張しながら会いに行くみたいなことがあると思います。そういうアポが社長には毎日入ってると思ってください。同世代のバチバチの起業家や、上場している企業の経営者、将来投資してくれるかもしれない投資家等、気を抜いたら殺されるようなアポイントの連続です。そして何と言っても社長は会社の顔です。社長がダメと思われたら会社全体がダメだと思われるので、常に気を張っていなければなりません。そういう人達とのアポイントをこなしながら、更に後輩起業家の相談に乗ったり、事業会社の人達から提携の話を相談されたりするわけです。そんなアポイントが一日に2つ、3つ入るのが当たり前。夜のアポイントが終わるのは夜の12時を回ることもザラです。僕も先週の一週間、毎日夜にアポイントが入りましたが、恐ろしいほど大変でした。これをずっと繰り返しているのかと思うと社長を心の底から尊敬するようになります。

じゃあ、アポイント減らせばいいじゃないかと思う方もいるかもしれません。しかし、それは違います。新しい仕事は必ず人と人の間に生まれます。いつ、どんな会話がきっかけで新しい仕事が生まれるのか、新しいチャンスが生まれるのかはわからないのです。もしかしたら事業の提携の話が始まるかもしれない、もしかしたら出資の話が始まるかもしれない、後輩起業家の相談だって将来何かに繋がる可能性は十分にあるのです。そのため、今時点でどんな意味があるかはわからなくても、社長だけは会い続けなければいけないのです。社長は未来の、想定外の仕事を生み出すのが仕事なので。

その2:一日中連絡が来る

人と会うことが増えると何が起きるのかというと、一日中誰かから連絡が来るようになります。一度このモードに入ると一定のところまではどんどん連絡が増えていきます。これ想像以上に体力と気力を使います。もちろん社長は会社の顔ですので即レスをします。全ての連絡に即レスをするともちろん会話が途切れません。気づいたら、全ての連絡が終わるのに二時間かかってたなんてこともよくあります。これは僕自身も体験して驚きました。たかがチャットなんですが、相手は社内の人ではないので気も使いますし、目上の人も多い。そういう連絡が延々と続くのです。社長は大概ずっとスマホ見てると思いますが、だいたい誰かに返信をしております。社長というのは、それほど社外の人間と繋がり、日々コミュニケーションを取り、新たなきっかけを模索しているのです。

その3:twitterをめちゃめちゃ見てる

最近のスタートアップの社長はほとんどがtwitterをやってると思います。僕も数ヶ月前からtwitterをちゃんとやり始めましたが、これで時間の使い方がかなり変化しました。なんでtwitterなの?そんなくだらないことするなよって思う方もいるかもしれません。しかし、twitterはスタートアップにとって宝の山です。スタートアップ経営に役立つ情報というのは世の中的にはマイノリティです。なかなか情報収集は難しい中で、twitterであれば適切な人をフォローしていくことで自然と適切な情報収集ができるようになっていきます。社長にとって情報収集というのは人と会うことの次に重要な活動と言っても過言ではありません。手に入れた情報の中でしかアイディアは生み出せないので。また、twitterでの発信は会社の知名度向上にも繋がりますし、採用にも繋がります。なのでスタートアップ社長にとってtwitterを触ってる時間というのは非常に重要な仕事の時間なのです。決して暇つぶしにやってるわけではありません。社長がtwitter見てたら、おっ社長ちゃんと仕事してるじゃんって思ってあげてください。

その4:一発勝負の仕事が多いため実はめちゃめちゃ準備してる

社長の仕事の中にはメディア出演とかイベント登壇、ブログでの情報発信、ピットバトルへの出場等があります。これらの仕事の特徴に「一つの仕事のインパクトがとてつもなく多い」にも関わらず「一発勝負で失敗が許されない」というものがあります。最近のスタートアップはリーンで学習しながらやりましょうが基本スタンスなので、まずやって失敗から学ぶが基本です。しかし、社長の仕事だけは失敗したら痛手が大きすぎたり、チャンスを失う仕事が多いです。ここは仕事のスタンスとしてリーンが流行ったからこそ生まれた解離だと思います。そのため、このような仕事をこなすために社長は実は多大な準備をしています。でも当然これらの準備って社員の前でやることは少ないですし、頭の中で考える準備が多いのでなかなかメンバーに伝わりません。僕自身も最近イベントへの登壇とかの機会をいただくようになりましたが、正直そのイベントが入ってる日は他の仕事なんて手につきませんでした。イベントで何を言うべきか、会社に対してどういう印象を持ってもらうべきか、他の人たちはどんなことを言うのだろうと延々と頭の中で考えて、気づいたら時間になっている。それくらい、インパクトが大きい仕事をしているので、そこへの集中が求められますし、他のことをこなす余裕はないのです。それは今まで「なんでこなせないんだよ」って思ってた自分もこなせなかったんで、どんな人でもその立場になったらこなせなくなるというか、そこまでの仕事をこれまでの自分はしてなかったんだなと思い知らされるだけでした。

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その5:考え始めたら2~3時間経ってることもざら

社長が考える論点は難解なイシューばかりです。会社の成長率をもっと高めるためには、次の事業はどの領域に進むべきか、資金調達はどのタイミングでどれくらいするべきか、どのような人を採用したら会社が成長するか。たった数分で答えが出るものなんてものはほとんどなく(意思決定"するだけ"なら数分でもできますが)、また合理的な思考だけでは答えが出せないイシューも非常に多いです。そのため、これらのイシューについて考え始めたら2~3時間なんてあっという間です。このような論点は社内でも相談できる人は多くないです。なので、外部の人にアドバイスをもらいながら、社内のメンバー様子を見ながら、一人で考えなければ時間が多いのです。それは僕らには「見えない」時間であり、「手を出せない」時間なのです。ただ一つ言えるのは、社長がこういう論点にゆっくりと向き合う時間を取れなくなった時は、会社の将来が非常に危ぶまれているということです。社長が集中してこれらのことについて考え、その時に答えが出なかろうが自分の身体の中に論点を刻み込みあらゆるパターンを自分の頭の中で駆け巡らせ、決めなければならない時が来た時に即断即決で決められるように頭と心を整理することは会社の未来にとって必ず必要な時間なのです。

結論:社長を支えてあげてください

社長が忙しい理由、そして社長が細かい仕事を処理できない理由を5つの視点で見て来ました。社長の一日というのは複数のアポイントと一日中鳴るチャットとtwitterと、一発勝負への準備と未来への思考で終わります。むしろ時間は圧倒的に足りないんです。この一日の中でちょろっと言われたタスクなんて覚えていません。だから忘れます。それは社長の能力とか性格じゃないです。社長の仕事をしてると忘れるくらい他のことに集中しないといけないんです。だから、タスクを期限通りにやらないことを怒らないでください。自分のことを棚に上げてなぜタスクを期限通りにできないんだと怒られても、社長のことを憎まないでください。社長に頼み事をする時は、期限を3日前に設定してください。そして、最初の期限の日にチャットでリマインド、次の日にチャットでリマインド、本当の期限の前日に口頭でリマインドしてあげてください。そしたら、ちゃんと期限通りにやってくれます。

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社長は確かに多くのタスクを抱えているわけではありません。もしかしたら、何をやっているのかわからず、暇そうに見えるかもしれません。でも、会社には社長にしかできない仕事がたくさんあるのです。そして、それは会社の"現在"ではなく"未来"のための活動です。明らかに誰よりも社長という仕事は忙しくなります。365日24時間、社長は会社と向き合い続ける必要があります。だから、皆様が社長を支えてあげてください。社長じゃなくてもできる仕事は巻き取ってあげてください。社長が余計な心配をしないように会社の"現在"を確固たるものにしてください。それができる人は優秀で、信頼される人になります。そして、それは社長の様子をあなたが"どう捉えるか"にかかっているのです。

全ての若者がカスタマーサクセスを経験するべき3つの理由

「CSキャリア論vol.1」を開催しました

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5月29日にSCOUTER社主催で「カスタマーサクセス」×「キャリア」をテーマにイベントを開催いたしました。有料イベントにも関わらず満席の50名の方にお越しいただき大盛況となりました。

今回はイベントの内容を簡単にまとめてお伝えすると共に、より深いカスタマーサクセスのキャリアについて考えていきたいと思います。

カスタマーサクセスとは

そもそも、カスタマーサクセスとはなんでしょうか?英語版wikipeida記載の説明にはこう記されております。

カスタマーサクセスとは売手と顧客の関係性を構築する機能である。カスタマーサクセスのゴールは顧客を可能な限り成功させることであり、それはLTVの向上という形で会社に貢献する。

重要なのは最後の部分です。カスタマーサクセスは「LTV」の向上という形で会社に貢献する。これが今までの一般的なCS(カスタマーサポート)との最も大きな相違点です。これまでのカスタマーサポートは「コストセンター」という表現をされ、売上や利益を生み出すことはなく、いかに顧客の問い合わせを低いコストで対応するかが最大の争点でした。そのため、何分で顧客の問い合わせを対応できるかみたいな話になり、働き手も顧客も「問い合わせ」という事象は最も嫌な活動の一つになっていました。世の中の誰もが求めておらず、しょうがなく生じているものに向き合っていたのがこれまでのCSです。当然、そこに働きがいを感じることは難しいですし、キャリアとしても優れたスキルや経験を身につけることはできません。顧客からしてもわざわざ電話で問い合わせして、説明してとかめんどくさいのでなるべくそういうのが生まれない、分かりやすい使いやすい商品を使います。よって、企業側もCSに力を入れるのではなく問い合わせをなくす商品開発等に力を入れるのが当たり前でした。

しかし、この流れが現在大きく変わりつつあります。カスタマーサクセスは「プロフィットセンター」である。つまり売上や利益を生み出す機能であり、今後企業が大きく力を注がなければ競争力の低下を招きかねない重要な活動へと変化しているのです。この変化の象徴が「ザッポス」という企業です。少し前にアマゾンに買収されて話題になりましたが、彼らはカスタマーサクセスという言葉が生まれる前から、自然とそのような振る舞いをしており、そしてそれがザッポス最大の競争力になったのです。『ザッポスの奇跡』に記されているザッポスのサービスに感動したある女性のエピソードを引用します。

その女性は病床の母親のためにザッポスで何足か靴を買ってあげたが、母親の病状が悪化して亡くなってしまった。悲しみがさめやらぬなか、ザッポスから靴の具合をたずねるEメールがとどく。母親が亡くなってしまったので靴を返品したいこと、返品期限を過ぎてしまったかもしれないが、もう少し待ってもらいたいことをメール返信したところ、すぐに「宅配の集荷サービスを送ります」という反応があった。  ザッポスでは返品時も送料無料サービスを行っているが、通常は購入者が集荷場まで靴を持っていかなければならない。規則を曲げて自宅への集荷を手配してくれたことに女性は驚き、感謝した。  だが、話はそこで終わらない。翌日、女性の玄関先にお悔やみの花束が届けられ、ザッポスからのメッセージカードが添えられていたというのだ。  女性は、自身の体験をブログに書いた。  「感極まって、どっと涙がこぼれました。人の親切にはもとから弱い私ですが、今まで人様からしてもらったことの中で、これ以上に心を打たれたことを思い出せません」ブログの締めくくりは、「もし、ネットで靴を買うのだったら、ザッポスから買うことをお勧めします」だった。  

このようにザッポスは顧客体験を最重要視した結果、圧倒的な顧客ロイヤリティと顧客が顧客を呼ぶ好循環が生まれ、サポートチームがザッポスの競争優位性の源泉となったのです。そして、このような考え方をビジネスロジックに落とし込んだのが、カスタマーサクセスという概念です。

セッション:「経営目線で考えるCSの重要性とCSのキャリアという可能性」

セッションの内容の一部を断片的にですがまとめました。総論としては、経営におけるカスタマーサクセスの重要性が高まっており、将来のキャリアパスの選択肢はかなり多い。スタートアップなら何でも屋が、大手ならスペシャリストが向いているという趣旨でした。

<経営におけるカスタマーサクセスの重要性>
  • カスタマーサクセスは「コストセンター」ではなく売上・利益を生み出す「プロフィットセンター」である
  • 機能や価格、ビジネスモデルというのは模倣可能だが、カスタマーサクセスと顧客の「関係性」は模倣不可能であり競争優位性に繋がる
  • カスタマーサクセスのミッションは顧客を解約させないこと
<経営者から見るキャリアパスの可能性>
  • カスタマーサクセスは最も組織を横断するチームであるため、将来的にはどのポジションにもなれる可能性がある
  • カスタマーサクセスは突き詰めればCEOにまでなることも可能
  • 全てのサービスがサブスクリプション化していくので、どんなサービスにも携わることができるようになる
  • Linkedinの情報だとカスタマーサクセスが三番目くらいに増えている
  • カスタマーサクセスから営業やコンサルティングスペシャリストや、マーケティング領域に行く事例もある
<カスタマーサクセスの採用要件>
  • 「打ち返す」「感情移入する」「代弁する」という三つの動作が好きな人は向いてる
  • 立ち上げ期はなんでもできる人、なんでもボール拾える人が向いている=Webディレクター経験者が向いている
  • チームが立ち上がった後は、スペシャリスト的な能力を持っている人を採用するのが良い
  • コミュニケーション能力/観察力/柔軟性の三つが重要

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イベント当日の様子

変化しつつある"優秀"の定義

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今回のイベントを通して一番感じたことは、ビジネスという世界における"優秀"の定義が変化してきているのではないかということです。これまでの"優秀"な人材というのは、強烈なリーダーシップ、圧倒的な説得力、未来を見通す先見性、威圧的なオーラ、完璧な論理性。こういうものだったと思います。しかし、今回登壇していただいた方々には全く別のものを感じました。みなさん穏やかで、親しみやすく、謙虚で、常に学ぶ姿勢があり、目の前の顧客を大事にする。こういう人たちって、もしかしたらこれまでのビジネスの世界では負けてた人たちなのかもしれません。社内の出世競争に負け、何もさせてもらえない。でも、今の最先端のビジネスには、そういう人たちが重宝され、ビジネスの真ん中にいます。これはキャリアを考える上で、大きな変化点であり、その変化の担い手がカスタマーサクセスなのです。

これまでは"社内を動かせる人"が優秀だった。しかし、これからは"顧客を動かせる人"が優秀とされる。それは、これからの世界が人類史上最高に顧客を動かすのが難しい時代であり、あらゆるものが満たされている中で顧客がさらに何を求めているのかを真に理解し、そのために必死にならないと顧客は動かないからです。全てが透明化の方向に向かい、企業の意図はすぐに顧客に見透かされてしまいます。頭の良い少数の人間が、大多数の人を騙すことはもうできない時代です。だからこそ、全てに対して顧客目線で真摯に向き合える人が求められます。そして、それをビジネスロジックとして正しく評価できるようになったのがカスタマーサクセスという職種が生まれた意味だと思います。

カスタマーサクセスで得られるスキル・経験

今回のイベントでもカスタマーサクセスという職種は何を得られるのかということは大きな論点となりました。確かにカスタマーサクセスにおいて何か固有のスキルが得られるかというと、そこは非常に難しいです。ただ、それはカスタマーサクセスには固有のスキルがないというわけではなく、今のビジネスの世界がまだそのスキルを言語化することができていないと言う方が正しいと思います。5年後、10年後には当たり前のようにカスタマーサクセスに必要なスキル・得られるスキルが言語化され、名詞化され社内に飛び交うようになっているでしょう。そういう状況なので、まだカスタマーサクセスにチャレンジする人が多くないのはしょうがないと思いつつ、できるだけ多くの優秀な方々にカスタマーサクセスの世界に飛び込んでもらいたいという思いもあるので、言語化可能な範囲内で何を得られるのかまとめてみます。

カスターサクセスで得られるのは主に以下の三つです。

  1. LTVと対峙するという経験
  2. 顧客起点でビジネスを考えるマインド
  3. あらゆるスキルを最短で習得するスキル

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LTVと対峙するという経験

これからの全てのビジネスにおいて最も重要な指標は「LTV」になるでしょう。特に日本では、サービスのサブスクリプション化・人口の減少・海外サービスの日本進出等がどんどん進行し、新規顧客よりも既存顧客に目を向けるようになります。LTV中心のビジネス設計が当たり前になる世界がもうすぐそこに来ており、スタートアップでは既に最重要指標になっております。しかし、考えてみてください。みなさんが所属している部署の最重要指標がLTVになっているでしょうか?LTVは様々な要素が絡む指標であり、一部門ではなかなか扱わない指標であり、だからこそ事業責任者や事業企画のみが扱う指標になりがちでした。なので、日々LTVを意識して仕事をしている人は非常に少ないと思います。ビジネスとして最重要指標にも関わらず、その指標について意識する機会は実は非常に少ないのです。ただカスタマーサクセスは違います。カスタマーサクセスの最重要指標は言わずもがなLTVです。カスタマーサクセスのミッションそのものがLTVの向上だからです。これは一人のビジネスマンとしてあまりにも大きな経験です。LTVの観点でビジネスを考えられる人間と考えられない人間の差はこれからかなり大きくなります。カスタマーサクセスで得られる一番大きなことは、このLTVと対峙してLTVの観点でビジネスを考えられるようになるという経験だと思います。

顧客起点でビジネスを考えるマインド

二つはマインドの部分です。マインドは言い換えると思考の癖なんですが、思考の癖って一度身についたらなかなか取れません。無意識の領域にまで侵入してくるので。そう言う意味で、若い頃に良い癖をつけられるとその後に良い影響をもたらしますし、逆に悪い癖を身につけると成長の阻害になってしまいます。その中でカスタマーサクセスで得られるマインドというのは、非常に有意義なものになると思います。それは顧客起点でビジネスを考える癖です。当たり前と思われがちですが、顧客起点で考えられるビジネスマンなんて滅多にいません。基本、自分の思い込みの顧客像の中で物事を考えるのがだいたいです。そして、その思い込みの顧客像は基本間違ってます(若者向けビジネスや女性向けビジネスを営んでいるおじさんたちのことを想像してもらえれば良いかと)。「ユーザーファースト」なんて言葉も流行るわけで、やはり顧客起点で考えるのは難しいわけです。なので、カスタマーサクセスとして顧客と日々向き合い、顧客の成功と向き合うというのは癖をつける点においてすごく優れています。重要なのは、あくまでも顧客起点で考えるということであり、顧客の言うことを鵜呑みにすることではないということ。顧客の成功とビジネスとしての成長を結びつけるという思考プロセスに慣れることが貴重な財産になります。

あらゆるスキルを最短で習得するスキル

カスタマーサクセスは社内のほとんどの部署とコミュニケーションを取る必要があります。営業・マーケティング・開発・人事部等。そして、そのコミュニケーション次第でカスタマーサクセスチーム自体の成果も左右されます。顧客にとっての唯一の接点はカスタマーサクセスの担当者であり、その声を代弁者として他の部署に届け、顧客起点での改善を主導していく必要があるのです。その意味で、カスタマーサクセスは幅広い知識やスキルを短期間に身につけることが必然のように求められます。そして、それは顧客のためなので逃れられません。なので、カスタマーサクセスの担当者になると、相当量の学びが強いられ、気づいたら様々なスキルを最短で習得できるようになっているはずです。特に社会人になると新しいスキルを習得することに躊躇したり、精神的なコストが高くなりがちです。しかし、カスタマーサクセスでは習得しないと先に進めない訳で、社会人としての学習習慣を早期に身につけることができるようになります。また、カスタマーサクセスチームは多様性のあるメンバーが揃うことが多いです。元エンジニアや元マーケッター、元営業等、様々なスキルを持った人が近くにいるので、最短でスキルを習得できる環境があることも大きな恩恵と言えるでしょう。

カスタマーサクセス×固有のスキル=最強

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上記の三つの能力を身につけ、そこにもう一つ固有のスキルを身につけると恐ろしいほど市場価値は上がります。それは"ただの"マーケッターよりも"ただの"エンジニアよりも、"ただの"マネージャーよりも、付加価値が圧倒的に高くなります。カスタマーサクセスのキャリアパスというのは、これらの+αの固有スキルを自分の意思で好きに選べることが最大の特徴だと思います。何故ならば、どの固有スキルもカスタマーサクセスチームにあったら良いものです。そんなこと勉強するなとは絶対に言われません。むしろ歓迎されます。カスタマーサクセスという基本業務を通してビジネスマンとしてのベーススキルを高めると同時に、業務に関係のある形で+αのスキルを身につけることができる。このような仕事は非常に限られています。その意味で、カスタマーサクセスのキャリアパスは会社が提供するものでなく、ご自身で自由に考えられるものなのです。なので、どのようなキャリアパスがありますか?と聞かれても、色んな選択肢がありますとしか言えません。カスタマーサクセスを突き詰めることも良いですし、+αの固有スキルを身につけても良い。どちらにせよ、これからのビジネスにとって必要なものを得られ、市場価値は高まります。

結論:やりたいことが見つからないならカスタマーサクセスを

カスタマーサクセスという仕事はこれからのビジネスにおける強固な「前提」をよく理解できる仕事だと思います。サブスクリプション・シェアリング・評価経済トークンエコノミー等様々な流れが生まれつつありますが、それらの全てにカスタマーサクセスは求められます。そういう意味で、やりたいことが見つからないのであれば、とりあえずカスタマーサクセスに挑戦することをお勧めします。一昔前、新卒の学生は全員営業からスタートさせたのと同様、これからは全ての若者はカスタマーサクセスを通るべきという時代がこれから来るのだと思います。来るべきその時にカスタマーサクセスのスペシャリストになっていることは大きな市場価値に繋がりますし、カスタマーサクセスはどんなキャリアにも繋げることができます。カスタマーサクセスとは特定のスキルを身につける活動ではなく、現代ビジネスに必要な能力の基礎となるメタ的な能力を最も効果的に身につけることができる職種だと思います。キャリアの視点として日本にはまだカスタマーサクセスを正しく評価する言葉はありません。ただ、カスタマーサクセスの現場と経営者は気づいています。この差分こそキャリアとしての市場価値を高める最大の好機です。飛び込んだ者勝ちの数少ない仕事です。未来ある若者の方々には勇気を持って飛び込んでもらえたら嬉しいです。

カスタマーサクセスについてもっと詳しく話を聞きたい、相談したいという場合はこちらへお気軽にお申し込みください。

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COOが伝えたい「マネージャー」になったら最初に改めるべき5つの考え

スタートアップにマネジメントは必要か

SCOUTER社も最近急激に組織らしくなってきており、現在4人のマネージャーが頑張ってくれております。個人的にはマネージャーという言葉が嫌いなので(嫌いな理由は別記事でいつか書きます)、社内では別の呼び方をしているのですが、今回は一般的なマネージャーという言葉を使っていきます。スタートアップの初期はマネージャーなんて概念は当然ありません。マネジメントしなければならないような人材をとった時点で失敗。そんな世界です。しかし、事業が大きくなり組織が大きくなるとマネジメントは当然必要になってきます。マネジメントをする組織にしたくないと抗うのは最近の一つの傾向にはなってきますが、僕的にはそれに抗うコストが効果に見合わないなと思っております。なぜなら、事業が大きくなっていくと"つまらない"仕事も比例して増えていくからです。どんなに生産性を上げても、いずれ仕事は"定型化"していきます。定型化した仕事をこなすことは、マネジメントされたくない優秀な人材からすると、"つまらない"仕事になるのです。なので、組織全員がマネジメントされたくない人で揃えるというのは、逆にめんどくさいことだなと。面白い仕事を常に用意しないといけないので。世の中にはマネジメントされたいという人の方が大半で、ある程度仕事が定型化されており、責任の範囲も限られていることを好むんですよね。あまり考えないで良いのでその方が楽なんです。そういうことを好む人がたくさんいるので、それぞれ好きなことを分業しましょうという考え方の方が僕は好きです。なので、事業がそれなりの大きさになればマネジメントは必然の活動になり、当然マネージャーも必要になります。あくまでも個人的な考えですが、マネジメントする側、される側どちらが偉いとかはあまりないと思います。人間としてどちらの方を好むかですし、それぞれどちらが欠けても上手くはいかないわけで、お互いに補って、リスペクトできてればそれで良いかなと思います。逆にマネジメントする立場になったからって、マネジメント対象者を見下して、バカにする人は嫌いです。上司がそういう人だったら、環境変えた方がいいかもしれませんね。

ある日突然マネージャーに

ということで、スタートアップもいつか、マネージャーが必要な時が来るわけです。しかし、それまでにマネジメントがいなかった世界なので、ロールモデルとなるマネージャーがいるわけでもない。マネージャー補佐みたいな仕事もしたことない中で、突然「じゃあ君マネージャーね」となるわけです。当然本人からすると要求されることも違ければ成果の出し方も違う。何をやって良いのかわからないし、頑張っても上手くいかず苦しむのが大半だと思います。こういう時に基本的なマネジメントを知っている人が社内にいて、ただ既存のマネジメントを押し付けるのではなく、その会社にあったマネジメントを授けられるような人がいるとスムーズなんだろうなと思いつつ、逆にそういうマネジメント経験者って、創業期にはあまり活躍できない可能性も高いのでそういう人がいる可能性はあまり高くないなと(特に創業者が若い場合)。なので、マネージャーには創業期のコアメンバーがそのままなるパターンが多いと思います。そして、まさに今のSCOUTER社もそのフェーズに入りました。そこで、今回は彼らに対して伝えたいことをまとめました。同じような境遇の方には参考になるかと思います。

「ビジネス」で考えるな。「戦」で考えろ。

まず、マネジメントレイヤーまで上がった人たちは「スタートアップ」とか「ビジネス」という枠組みだけで物事を考えるのはやめた方が良いと思います。どうしても"綺麗"になりすぎちゃうので。実態はもっと過酷で残酷なものです。すごい希望を持ってスタートアップに参加しているはわかるのですが、だからこそもっとリアリティを持って考えるべきだなと。そうなった時にどういうイメージが一番参考になるかと言うと、やっぱり「戦」なんですよね。ビジネスの根源は戦争であり、そこから学ぶべきことはあまりにも大きいんです。なので、まずは戦の視点でプレイヤーとマネージャーの違いをまとめたいと思います。

マネージャーは将軍である

マネージャーっていきなり言われて、マネージャーってなんやねんと思うかと思いますが、将軍だと思ってください。国王が戦うぞって言って、軍師が戦略を考える。これは主に本部で行われることであり、会社で言うと取締役会です。そして戦う相手と全体の戦略が決まるとそこで登場するのが将軍です。

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*国王の嬴政に見送られ出陣する王騎将軍

将軍は軍を率いてその戦いを勝利へと導くのがミッション。明らかに一人の兵隊とは背負うものが違いますね。想像してみてください。自分が一人の兵隊から将軍になるなったらどんな感覚に襲われるのか。想像しただけで恐ろしいですよね。責任の大きさ、背負うものの大きさ。これと同じ感覚をマネージャーになった時に持ったでしょうか?将軍というのは以下の三つを司ります。

  1. 戦いの勝ち負け
  2. 部下の生き死に
  3. 自軍の功績

将軍一人次第で、勝つか負けるか、生きるか死ぬか、勝って生還したとしても評価されるかされないかが決まるのです。そして、それは現代のマネージャーも同様です。目標を達成できるかどうか、部下の仕事人生が生きるのか死んだ仕事人生を送るのか、チームが認められるのか、無視されるのか。それはマネージャー次第なのです。確かに重いです。でも、この感覚を持ったマネージャーは圧倒的に強いです。マネージャーって何なんだろうって思ったら戦の場に立っていることを想像してください。それだけで強くなれます。

f:id:hiroki_yamada:20180519154710p:plain *王騎将軍に"将軍"とは何かを教えられる信

しかし、ただ強い責任感を持っただけでは優れたマネージャーにはなれません。むしろ誤った考えで、チームを率いると逆効果になることも多々あります。そこで、マネージャーになったら最初に改めた方が良い考え方5つをまとめました。どれか一つでも該当してるなと思うものがあったら、一つであっても変えるべきだと思います。全てを揃えていないと、部下を死なす可能性が高まってしまうので。

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その1:自分が動くのではなく、チームを正しく動かすことがあなたの仕事

ここからはもう一度、将軍の例を使っていきます。まず、将軍になると兵を率いることになります。当たり前ですが、敵も大軍を率いてこちらを攻め込んでいるわけです。すると、自分一人が頑張っただけで勝てる状況ではありません。確かに、強い将軍は一人で100人ぐらい倒せるかもしれません。ただ、相手が1,000人いたら倒しきれません。だからこそ、強い将軍は原則自分で戦うことをしません。自軍を正しく動かすことに集中します。戦の状況を見極め、どこにどれだけの軍力を投入し、どのような作戦で戦うのか。ここに注力します。マネージャーも一緒です。よくマネージャー自身が一番頑張ってしまう姿をよく見ます。自分でやった方が早いから、自分でやった方が上手くできるから。ただ、あなたが一人でできることには限りがあるのです。そして、一人では成し遂げられないことだからチームを率いているのです。それを本当に理解しているのであれば、自分が一番動くのは"緊急事態"の時のみです。それ以外は、常に戦況を見極めることに注力すべきです。チームが"正しい"努力ができているかを見極めることに集中すべきです。これは優秀なプレーヤーであればあるほど、難しいことです。自分が戦ってないことに不安を覚えてしまうから。自分は仕事をしていないのではないかと思ってしまう。ただ、あなたの仕事は勝たせることであることを忘れないでください。勝てれば、あなたは戦う必要はないのです。一番恐れるべきは将軍であるあなたが間違うことであり、死ぬことです。それはチーム全体の死を意味します。それだけマネージャーというのは重要な役割を担っているのです。

その2:何をさせるか指示するではなく、何が成果かを定める

将軍は全ての人々にリアルタイムで正しい指示を出すことが物理的にできません。それは、いくらITが発達した現代であっても同じです。全ての情報を持てるわけではありません。指示をしてる暇がないこともあります。目の前に敵がいる時に、遠く離れている将軍にいちいちどうすれば良いのか確認することはできないのです。そんなことをしてる間に殺されます。だからこそ、指示を待ってしまう軍にしてはいけません。次にどうすれば良いか、将軍に聞けないと動けない軍にしてはいけません。そして、指示がないと動けない軍になるかは全て将軍に依存しています。将軍が指示を出し続けるのであれば、軍は指示を必要とするようになります。どんなに緊急事態であっても、将軍の指示を求めます。それが当たり前だからです。そうではなく、将軍はそれぞの戦う人たちにどんな成果を期待しているのか、ミッションはなんなのかを明確にするのです。そしてその成果を出せるのであれば、何をしても良いと理解させ、それぞれの判断に自信を持たせるのです。全員がそれぞれの敵と対峙した時に、どんな結果が好ましくて、そのための自分の判断が間違っていないという確信を持てる「指針」を持たせるのです。マネージャーは指示を出すことが仕事ではありません。なんでも好きにやって良いよと放置してもいけません。戦いに勝つために、何が成果で、何が評価され、それはどんな状態なのかを明確に示すのです。そして、それが明確に勝利のために必要であることを理解させ、それぞれがそのためにできることを考えられるように未来を見せ続けるのです。自分がいない戦場で、メンバーが自信を持って、確信を持って戦えるようにしてあげること。そして、それを全うすれば勝利を手にできるようにすることがマネージャーの仕事なのです。

その3:水準は周りに合わせるのではなく、あるべき水準を作る

世の中にはあらゆる水準があります。人間は平均を好み、他の水準に合わせたがる。戦わないのであれば、それで良いのかもしれません。しかし、平均に合わせてたら戦いには勝てません。勝つのはその水準を大きく超えたチームです。他軍が移動できる2倍の距離を移動できれば、機動力で勝ります。他軍の士気の2倍の士気があれば半分の兵力で勝てるかもしれません。そして、その水準を決めるのは将軍です。将軍がこれで良いと言えば、それが限界です。将軍がダメと言えば、もっと上の水準を目指します。水準は自分が作り上げていることを明確に意識した方が良いです。将軍以上の水準が勝手に出来上がることはありません。マネージャーも同様です。あなたが求めるスピード感がチームの水準となります。あなたが求めるクオリティがチームの水準となります。あなたが求める成果がチームの水準となります。他社がこうであるとか、他の人がこうであるとか、前はこうだったとか。そういう水準に合わせていたら、あなたのチームの水準は一向に上がりません。あなたのチームが強い理由が生まれません。歴史上、平均的なチームが偉大な戦果を挙げたことはないのです。

その4:メンバーに合わせるのではなく、自分に合わせる

性格的に優しい人がマネージャーになると、部下を思いやり、部下の意見をよく聞き、部下に合わせてしまう人がいます。でも、部下のためと思ってやっていることが、チームを死に追いやっている可能性があります。戦で「僕は死にたくありません」と言ってる兵隊を戦場に出すことをためらう将軍が勝利を収められるでしょうか?そんなことを全て聞いてたら、誰も戦場に行かなくなります。将軍の仕事は自軍を勝利に導くことであり、そのためにどんな時でもあなたに忠誠を誓い、あなたのために動いてもらう軍を作り上げることです。メンバーに合わせるのはやめた方がいいです。話を聞くなと言いたいわけではありません。自分の仕事を全うするためには、自分に合わせないといけない場面がたくさんあるということです。そして、だからこそついてくるメンバーを絶対に後悔させない。そういう覚悟が必要なのです。

その5:前に進めることは誰でもできるが、チームを立ち止まらせることができるのはあなたのみ

最後に自軍を滅ぼさないために一番大事なことです。それは軍を立ち止まらせることができるのは将軍のみであるということ。マネージャーになりたての場合、自分が引っ張らないとと過度に思い、どんどん前に進めてしまうことがあります。もちろん、それが正しい方向へ進んでいるのであればそれでいいのですが、誤った方向に進んでいることに気づかず、そして誰もがそれを言えずに行き着いた先は地獄であったということはよく起こります。前に進めることは誰にでもできます。兵隊であっても、敵陣に切り込むことはできるのです。そしたら一人が突っ込んだら、その他も動き出すでしょう。ただし、軍の動きを止めることができるのは、将軍のみです(厳密に言うとその場にいるリーダーのみ)。スタートアップは正解がない世界で戦っています。だからこそ、常に誤った方向に向かっている可能性があります。それでも、メンバーは前に進みます。なぜならそれがメンバーの役割だから。一旦動き出したらその流れに乗って進むことがメンバーに求められることです。仮にちょっと違うかもと思っていても、言いません。原則言わないし、言えない、言うという行動原理はそこにないと思った方がいいです(そんな状況でも言い出して勝利に導いた一兵卒はその後大将軍になるでしょう)。だからこそ、危ないと感じた瞬間に全体を立ち止まらせることができるのはマネージャーのみなんです。一度立ち止まることは想像以上に重要です。致命的な死を回避することができます。間違っていなかった場合でも、さらに自信を持って前に進むことができます。重要なのは自分しか立ち止まらせることはできないことを理解し、常にその必要性がないか自問自答することです。立ち止まれないチームはいつか死にます。チームを守るために、チームを立ち止まらせる勇気を持ちましょう。

f:id:hiroki_yamada:20180519154508j:plain *敵地で立ち止まり戦略を考え出す王翦将軍

結論:自分の好きな将軍を目指しましょう

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マネージャーってすごく分かりづらい存在です。マネージャー論は抽象的なものが多くて、イメージしづらかったり、スタートアップとは何か馴染みづらいものであったり。世の中に優れたマネージャーなんてほとんどいないですし。なので、初めてマネージャーになった人は悩みが尽きないと思います。そういう人にとっては、自分が好きな将軍を見つけるのがいいんじゃかなと思います。自分がなりたいと思える将軍が必ずいるはずです。何と言っても、人類とは戦争の歴史であり、数え切れないほどの優れた将軍が過去にいますので。漫画や映画の世界にまで広げたら、無限にいますね。その中で、この人自分に似てるなとか。この人めっちゃかっこいいとかそういう人を見つけたらいいんじゃないでしょうか。すごく参考になると思いますよ。そして日々、自分がその将軍になったつもりで、仕事してみてください。戦において負けは許されません。その感覚で仕事してたら、そのうちすごい成果が出てると思います。好きな将軍を見つけたらぜひ教えてくださいね。ちなみに僕はキングダム登場の「李牧」が好きです。

起業家のみなさま、メルカリのストックオプション発行を安易に参考にしない方が良いですよ

はじめに

メルカリの上場承認が話題になっております。様々な角度からメルカリに対しての分析/評価が行われ、その意見は多種多様でございますが、スタートアップ界隈の中では当然大きな祝福と共に大きな希望となっております。スタートアップとしてのお手本であり、他のスタートアップとは次元が一つも二つも上のように感じさせられますね。また、メルカリの取り組みはスタートアップ企業にとって参考になるものが多く、OKRや採用広報のための自社メディア、リファラル採用への取り組み等、メルカリの事例を参考にする起業家はとても多いと思います。そして、今回目論見書が出たことでメルカリのストックオプションの全貌も公開され、話題になっております。全従業員にストックオプションを配り、SO比率が20%を超えていると。スタートアップの定石を大きく覆した事例です。今回はメルカリのストックオプションの活用事例を見ながら、ストックオプションについてはメルカリを安易に参考するべきではない理由を説明していきます。今回の内容の結論は以下です。

「あなたの会社に合ったストックオプション設計をしましょう。メルカリの事例は気にせず。」

メルカリのストックオプション詳細

まず、メルカリ社のストックオプションの内容を見ていきましょう。

  • 発行回数:39回
  • 発行対象者:2,229人(同一に人物に対しての複数回発行を含む)
  • ストックオプション比率:20.9%
  • SO利益総額(公募価格にて利益確定のケース):580億円

全体の概要を見ると、圧倒的な発行量の多さに驚きますね。よくもここまで配ったなと思うほど、非常に多くの量と対象者に配っています。そしてSO持ってる全ての人が公募価格にて利益確定をさせると約580億円になると。とてつもない規模であることがよく分かります。ただ、この情報だけだとミスリーディングを引き起こす可能性があるので、山田的視点で重要な要素をグラフにしました。それがこれです。

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このグラフを見て気づくことがあります。

  • かなりの割合のSOを創業当初に配っている →発行したSOの半分は創業1年半くらいで配ってしまっています。実態としてSOは創業期のメンバーにかなり寄っているということです
  • SO比率が高まっている時の対象人数はかなり少ない →これが意味することは、重要人物の採用の際にかなりのSOを渡しているということです。SO比率がここまで高まったのは従業員全員に配ったからではなく、重要人物の採用に積極的にSOを活用したからでしょう
  • 逆に対象人数が多い時のSO比率はあまり上がっていない → 従業員全体には全体を通してかなりの少量しか渡していません(それでも十分な資産価値があるものですが)
  • 行使価格がかなり低い段階で大半のSOを配っている →公募価格が2,500~3,000円程度と予測されていますが、大半のSOの行使価格は350円未満のときに配っています。故に資産価値が非常に高いSOを渡していることになります

メルカリのストックオプションについて、最初に話題に上ったのは発行量の多さと従業員全員に配っているという点でした。でも、重要なところはそこではありません。重要なのは経営戦略上ストックオプションをどのように位置付け、いつ、どのように活用したからこのような配布になったのか。そして、その配布は組織人事としてどのような意味/効果を持っているのかです。以降、そこについて検討していきます。

メルカリだからできたストックオプション戦略

ストックオプションの内容を見ていくと、メルカリにとってストックオプションというのは経営戦略上非常に重要な役割を持っていたことがわかります。では、具体的にどのような意図でこれだけのストックオプションを発行していたのか。以降、山田による推測をまとめていきます。あくまでも推測ですのでご理解を。

まず、メルカリのビジネス環境として重要な点が三つあります。ストックオプションについての判断をする上で、前提となるような事柄です。

  • 事業がwiner takes allのCtoCマーケットプレイス領域であること
  • フリマ領域において後発組であること
  • 目指しているものが最初から世界であること

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僕は上記三つがSOに対する判断に大きな影響を及ぼしていると思っています。上記の前提は以下のように読み替えることもできます。

  • とにかくマーケットシェアが最重要。市場での2位以下は死を意味する
    • この場合株主にとっては希薄化よりも市場で勝つ方が優先されます。市場で勝てないと株式が無価値になってしまうので(通常、2位でも十分な企業価値になるのが普通です)。なので、優秀な人材を獲得する方が圧倒的に優先で希薄化しないことよりも、SOを使って採用するという判断に至ります
  • 巨大な市場があることはわかっている
    • CtoCのフリマ領域はもともとオークション領域という中古売買の市場があり、そしてメルカリの前にフリルが出てきており、それなりのトラフィックが出ていた。目の前に確実に大きい市場があることが見えていたわけです。市場で勝てればどれだけの企業価値がつくかも、予測がある程度可能な状態。そうなると、ストックオプションの不確実性が軽減され、現在価値が高まります。ストックオプションの現在価値(もらう側が認識する資産価値です)は将来の見込み時価総額×実現可能性で決まります。そして実現可能性の観点においてメルカリの場合、市場がどれだけあるかというよりは、市場で一位になれるかという自分たちの努力による勝ち負けの方が因果関係が強い。すると優秀な人からすれば、自分達が勝てる確率は高いと判断するので、SOの実現可能性が高まり現在価値は非常に高く感じてもらえる。早い段階からSOの価値を高く感じてもらえるので、有効活用すべきという判断になります
  • IPOは通過点でしかない
    • そして最も重要なことは日本は通過点でしかないと本当に経営者が思っていること。スタートアップは通常、最初のゴールをIPOに設定します。そしてSOはゴールに対するご褒美という位置付けになります。なので、IPOしたら権利行使して人が辞めていくということは通常のスタートアップでは起こることです。ただ、メルカリの場合、最初から目指しているのは世界であり、より長期的な成功であることを経営者が明確にしている。すると、IPOするための努力ではなく、より長期的な価値を生むための経営を行うため、IPO後もさらに株式価値が高まる可能性を従業員側は感じるし、日々の仕事もより将来の高い価値のためにという意識になる。つまり、世界を目指すことで、SOはIPOではなく、より長期的なインセンティブに変化する。より長期的なインセンティブなのであれば、通常のSO比率よりも多く配ることに対して抵抗はないし、IPO後も燃え尽きず、より長期的な目線で従業員に仕事をしてもらえるようになる。

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メルカリは近年のスタートアップ企業の中でも圧倒的に異質な存在です。通常のスタートアップ企業とはあらゆる前提が違うと思った方が良いと思ってます。そのためメルカリのSO事例を安易に参考にすると大変なことになります。「メルカリが20%配ったのだから、自社も20%までならいいのか」・「メルカリが従業員全員に配っているからうちでも全員に配ろう」こういう考えはやめた方がいいです。メルカリには20%配った理由があります。従業員全員に配った理由があります。メルカリの経営者たちが死ぬほど考えて導き出したメルカリにおける最善の答えがこれだったというだけです。メルカリには世界で戦える人材を集めなければならない理由があった。メルカリには従業員にIPOはゴールではないと伝える必要性があった。メルカリには短期的価値よりも長期的価値の方が圧倒的に重要であるとメッセージを伝える必要があった。それは明確に経営者の意思であり、経営者としての戦略です。

もちろんメルカリだからと言って、全てが完璧であるというわけではありません。例えば、メルカリの従業員の平均年収は500万ちょっとです。決して高い金額ではありません。メルカリにいる多くの優秀な人材を含めて500万円なんです。もちろんCSメンバーが多いことによって平均が少し下がっていることはあるでしょう。それでも、僕は報酬をSOの方に寄せたんだなと感じました。あえて、フローではなくストックを渡すことで同じ夢を追いかけてもらう方を選択したのだと。そうしないと、メルカリが目指しているものは実現されないのだなと。

ストックオプションインセンティブの一つの手段でしかない

スタートアップというとどうしてもSOがセットで語られがちです。ただ、SOはあくまでもインセンティブの中の一つの手段でしかありません。報酬はいくつもの手段があり、それぞれメリット・デメリットあります。スタートアップだからSOを配らないといけないわけでもないし、有名企業の事例を真似をしても上手くはいきません。インセンティブ設計は各社の状況によって最適なものは全く異なります。会社として何を目指しているのか、競争環境がどういう状況なのか、成長のためにどういった人材が必要なのか。これらを加味した上で、自社に最適な設計をする必要があり、この設計こそ経営者の腕の見せ所です。最近ストックオプションという言葉が一人歩きをしていますが、あまり気にしない方が良いのではないでしょうか。ストックオプションを発行しないで上場している企業もたくさんあります。重要なのは経営者とメンバーお互いの信頼関係であり納得です。僕はwantedlyがメンバーを搾取していたとは思いません。メルカリがSOを全員に渡したことがすごいとも思いません。ただのインセンティブとしてのオプションを行使しているだけです。そして僕らが見ているのは結果です。結果を見ればなんとでも言えますが、判断が求められるときには将来の結果はわからないのです。結果がわからない中で判断をする必要があって、そこに良いも悪いもありません。重要なのは、そのとき考えられる限界まで考えて、経営者が納得し自信を持ってメンバーに伝えられる意思決定をすることではないでしょうか。

結論:自分の頭で考えよう

スタートアップ経営というのは、先が見えなく、不安で、多くのプレッシャーに耐えなければなりません。だから、どうしても上手くいってる企業の成功事例に目がいってしまいます。でも、僕はそこに答えはないと思います。もちろん、定石はあります。そして成功事例から学ぶべきこともたくさんあります。ただ、それに溺れて思考停止することは経営者にとって最も恐ろしいことです。「あの会社がやっていたから」という理由で意思決定してしまっているものはありませんでしょうか?「スタートアップだから」と色んな好ましくない事象を正当化してしまっていませんでしょうか?経営は経済の上に成り立っています。科学的根拠に支えられています。でも、最後の部分は哲学の世界だと思うんです。そこに唯一の解はないし、合理性だけでは意思決定できない部分もあります。だからこそ経営は面白いし、全ての会社にオリジナリティがあるのです。起業家の皆様。どうかメルカリのSO事例は「そんな会社もあるんだ」程度に捉えておきましょう。「20%まで発行することもあり得るんだ」くらいの学びにしておきましょう。その上で、自分の会社はどのようなインセンティブ設計にするべきか。どのようなSO発行をすべきか。専門家を含めて議論し、自分の頭で考えましょう。そうやって自分で考えて決めた自分なりの答えに納得してくれ、ついてきてくれるメンバーと働く時間はきっと、かけがえのない時間になると思います。

COOとファスティング(断食)

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これは感動の体験記ではありません

GWにファスティング(断食)に行ってきました。元々興味があり、長期の休みが取れたら行きたいと思っており、ちょうど良かったので。今回はファスティングを体験した自分の思考をまとめるとともに、ファスティングというものをCOOの観点から考えてみたいと思います。そのため、"感動の体験記"が記載されているわけではありませんファスティングによる劇的な効果が書いてあるわけでも、明確な身体の変化が書いているわけでも、ファスティングを絶対にやるべき理由が書いてあるわけでもありません。ファスティングがどのように行われるのか詳細が書いてあるわけでもありません。あくまでも個人的なファスティングの体験の概要とファスティングという体験を通したCOO、経営者としての思考の変化を書いているだけであります。

ファスティングの目的

ファスティングという活動は身体的に疲れやすい自分にとっては非常に興味をそそる活動でした。そこで今回の主な目的は以下でした。

  • 蓄積した身体疲労の回復
  • カフェインの遮断による脳の活動トリガーのリセット
  • 外部情報の遮断による思考のリセット
  • 自然との触れ合いによる精神的なエネルギーの充填
  • ファスティングに対する自分の理解を深める
  • 大切な人との深いコミュニケーション(一番の目的でしたが今回は省略します)

大枠としてはあらゆるものを遮断することで、自己の体内をリセットしたいということが主目的で、特に「カフェイン」と「液晶画面」の遮断で身体に変化が起きるかを学びたいという想いが強かったです。

ファスティング概要

今回は初めてのファスティングということもあり、一番ライトに行える2泊3日のプランを選択しました。また、ファスティングというと寺で修行みたいなイメージが強いみたいですが、今回はヘルスリゾートと呼ばれる宿泊施設を活用しました。自然に囲まれた素敵なホテルで、プールやヨガや庭での散歩をしながらのファスティングなので非常に快適に過ごすことができます。

  • 期間:2泊3日
  • 摂取可能食材:指定のドリンクと水/お茶のみ
  • 場所:天馬夢

www.amamu.jp

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こんな緑道があったり

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大きな池があったり

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馬と触れ合えたりできます

いつの間にか終わってたファスティング

今回の体験を一言で表現するとすれば「えっ、もう終わり??」って感じでした。丸二日以上飲み物以外何も摂取しないわけで、体験前はめちゃめちゃ色んなことを想像していたのですが、特に何も起きませんでした(笑) 確かに常に胃は空っぽなんですが、異常な食欲が湧くとか、何か食べたくてしょうがないという感覚は一切なかったんです。おそらく指定のドリンクによって血糖値が安定していたからだと思います。ということで、ファスティング中のことについて書くことは何もありません。

と、思ったら帰り道が一番辛かった

盲点でした。施設を後にし、家まで帰るまでの帰り道。この間が食欲のピークでした。特に上野駅は厄介です。駅の中にあらゆる食材が陳列されています。これを見た瞬間に食欲がうわーっと出てくるんです。その時、理解しました。施設には食材がどこにもないんです。見えないんです。視界に入らない。これも食欲が強くならなかった要因だったのだと。人間とは目の前にあると、どうしてもそれに対する欲が強まるのだと。食材が見えた瞬間に身体が反応するのです。人間とはこれほどまでに「自己」ではなく「環境」に依存するものなのかと改めて考えさせられました。

ファスティング体験まとめ

現状のファスティングに対する理解と身体に起きた変化をまとめると以下のようになります。

  • 身体の変化
    • 体重は0.7kg減
    • カフェインなしでも脳の活動を感じるようになる
    • 目の疲労がなくなり、慢性的な疲労が弱まる
    • 寝起きが少し楽になる
    • 集中して活動できる時間が長くなる
  • 食欲について
    • 血糖値が安定しているとそこまで強い食欲は湧かない
    • 少量の食事でお腹がいっぱいになるようになる
    • ファスティング中よりも帰り道が辛い
  • ファスティングに対する理解
    • 手法によっては全く辛い活動ではない
    • ファスティング中よりもその前後の過ごし方によって効果が変動する
    • ファスティング自体よりもどうやるのか方が重要。自分一人の自力で実行するのは相当完遂難易度が高い
    • 身体は目の前にあるものに反応する
    • 効果は一定あるが劇的なものではない
    • 一回というよりも定期的に実行し、少しの効果を期待するのが良い

COOがファスティングをして考えたこと

今回ファスティングを通して感じたことが一つあります。実は今回のこのファスティングに一人5万円払ったんです。消費者というよりは経営者として衝撃を受けました。2泊で5万円なので1泊で2.5万円。部屋での値段ではなく、一人あたりなので参加人数が増えても単価が下がるわけではありません。食事は出ません。接客が一流なわけでもありません。場所は僻地です。このお金があれば一流ホテルに泊まることも可能なわけです。にも関わらず、消費者としての自分は何も気にせず申込みをしたし、同日は満室でした。「何も提供しないこと」が価値になっているということに対して、経営者は真剣に考えないといけないなと感じるわけです。明らかに時代の空気が変わっている。あえて何もない方を選択する消費者。そして何もない時間を"良い"時間だと感じる消費者。一体我々の中に何が起きているのか。一体我々は何を求めているのか。何のために人はサービスを提供し、わざわざ仕事をしているのか。経営では"付加価値"という言葉をよく使います。価値を加えることが企業の役割であると。そして、これまでサービスや機能を"加える"ことで価値を加えていた。でも、ファスティングという体験はサービスや機能を減らすことで価値を加えることに成功した。いや、もしかしたら価値を"加えた"という表現は間違っているのかもしれない。今回のファスティングに価値を見出したのは紛れもなく自分自身であり、自分が勝手に解釈して価値を感じ取った。そこに付加価値があったわけではなく、消費者である自分が勝手に価値を発見したという表現の方が正しい。ファスティングという体験には余白がたくさんある。ファスティング中に何をするのか自分次第であり、何を考えるのか自分次第であり、ファスティングという活動をどう解釈するのかも自分次第。もしかしたら、そういう余白が消費者を冒険へと導き、自分で価値を見出すきっかけを作っているのかもしれない。決してファスティングの価値を誰かに説かれても、僕はファスティングに価値を見出さなかっただろう。自分で考え、自分で試し、自分なりのファスティングの位置付けを見出したからこそ、ファスティングに価値が生まれ、それをサポートしてくれる施設/サービスにはお金を払う。それが今回の消費の正しい理解であり、このような消費の形こそこれからの時代のスタンダードになってくるかもしれない。新しい消費のあり方、新しい付加価値の付け方について改めて考えさせられる体験でした。

皆さんもぜひ"余白"を楽しむファスティング体験を。

【スタートアップ原則シリーズ】2.「採用は幻想である」

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スタートアップにおいて「採用」というテーマは欠かせないテーマである。どれだけ良い採用ができるかがスタートアップの成功確率に大きな影響を及ぼすからだ。これは間違いのない事実である。同じ事業を始めたとしても、良いチームを集めた方が勝つ。それがスタートアップだ。

しかし、採用が注目されればされるほど、採用すること自体が神聖化され、常に正しい活動であると認識されがちである。果たして、どんな時にも採用は正しい活動となりうるのか。SCOUTER社の数々の失敗を通して学んだこと、人材業界に身を置くCOOとして感じていることをまとめました。

採用という幻想

スタートアップにとって採用が重要であるという情報はどんどん増えている。このような記事が参考になるだろう。

「たった一人の採用で企業は変わる」スタートアップの成長を支える『人』の重要性 | HR NOTE

web.all-in.xyz

logmi.jp

ただ実際にスタートアップとして採用をしてきた身として感じたのは「採用は幻想である」ということだ。あえて今回はこの幻想側の話をしたい。採用は万能の薬ではない。どちらかと言えば、劇薬に近く上手く効く時もあれば副作用もある。採用が会社が抱える問題解決に寄与する確率はそこまで高くはない。確かに採用はしなければならない重要な活動だが、採用が上手くできれば会社が成長できるという認識は今すぐにやめた方が良い。それは大きな間違いである可能性が高い。SCOUTER社でも採用に力を入れ、採用によって問題を解決しようとした時期があった。今はその時期に比べると従業員数は30%以上少なくなったが、パフォーマンスは現在の方が圧倒的に高い。人が少なくなってパフォーマンスが高くなるという現象は、なかなか理解しにくい現象だが事実として起きることなのである。この先、その理由を記載していくが先に総論を記載しておく。

「採用をすることよりも、採用しなくても成長できる仕組みを創るのが本当のスタートアップである」

採用すると何が起きるか

採用という行為が奇妙なのは、「一人の採用」が組織に与える影響が想像以上に大きいということだ。しかも、悪影響に限って。10人いるスタートアップだとして、11人目の採用というのは感覚的に「たった一人」である。全体の10%にも満たないため、影響も10%以内と想像したくなる。しかし、実態としては全く異なる。一人の人員増が組織に非常に大きな変化をもたらすのだ。それが以下の事象である。

  • コミュニケーションパスが指数関数的に増える
  • 「他責同盟」が増殖的に増える
  • 故に非本質的な"人"の問題が爆発的に増える

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コミュニケーションパスが指数関数的に増える

コミュニケーションは常に人と人の"間"に存在する。つまり、人が増えるとそれだけ新しいコミュニケーション、"間"が作られる。コミュニケーションパスとはこの"間"を表現するコミュニケーションを行う人同士の連絡経路の数のことである。組織を考える上では人の数よりも圧倒的にコミュニケーションパスの数の方が重要だと思っている。なぜなら、組織に与える影響は人一人の労働力が生み出す生産よりも、一人が増えることによるコミュニケーションパス増加のコストの方が高い可能性があるからだ。コミュニケーションパスが増加すると具体的には以下のような現象が発生する。

  • 情報が一部のコミュニケーションパスで停滞する
  • トップが知らないやり取りが頻発する
  • コミュニケーション自体が偏る

経営側からすると、どんどん「伝わらない」「状況が掴めない」「思い通りに進まない」ことが増えるのである。そしてそれはスピードの低下に繋がる。スタートアップにとっての生命線であるスピードが指数関数的に下がるのである。

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「他責同盟」が増殖的に増える

スピードが下がった後に起きることは、「他責同盟」の増殖である。「他責同盟」とは自分の責任で物事を考えず、常に周りのせいにする、しかもそれを個人ではなく同盟を組むことで自分たちを自己正当化する存在のことである。ただ先に言っておきたいのは、原則人間というのは他責の動物であるということである。大概のことに関して人間は他責である。人間は当事者意識を強く持ったもののみに自分の責任で考えるようになる。なので、他責という現象は常に誰にでも存在するもので、それが"今この瞬間発動しているかどうか"の違いでしかない。なので、他責同盟というのは会社を経営していれば必ず発生する。それを阻止することは不可能だと思っていた方が良い。重要なのは採用すればするほど、その数はどんどん増えていくという事実である。他責同盟はパレートの法則の原理で常に増え続ける。上位2割以外は他責同盟に引き摺り込まれていく。これまで他責じゃなかった人も、人数が増え8割に所属すれば他責になる。人間というのはそういうものであり、経営者としては辛いが個人的には程度はあれど、所与の条件としてあらかじめ想定しておいた方が良いと思っている。

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故に非本質的な"人"の問題が爆発的に増える

コミュニケーションパスが増加し、他責同盟が増えると、驚くほど"人"の問題が起きる。そしてそれは自分たちの事業には何一つ関係のないことなのである。これこそ、採用を"幻想"たらしめる最大の要因である。「採用したらあれができる、これができる」と夢が広がるが、大概は思い通りにいかない。必ずスピードが落ち、他責が増え、"人"の問題が生じる。経営者は事業の事ではなく、組織について考えることを強いられる。そうでないと、組織が組織でいられなくなる。それほど、人が増えるというのは負の影響も大きい。参考としてSCOUTER社で起きた"人"問題の一例を記載しておく。

  • 悪い情報を隠すことが増え、問題への対応が遅れてしまう
  • 周りの人に対する不満が増え、モチベーションが下がる
  • コミュニケーションに気を使わないと上手くいかない人が増え、精神的にイライラする
  • モチベーションが低いメンバーに吊られ、周りのメンバーもモチベーションが下がる
  • 同盟で社長批判を始める

あくまでも一例だが、これらに対処するために経営メンバーは多くの時間を割くことが求められるようになった。これらの問題に対処するのが経営の役割だと言われたらそうかもしれないが、創業者からしたらこのような問題に手を取られたくないという想いが強いだろう。採用というのは、これらへの対応とのトレードオフになりがちであるということを常に頭の中に入れておいた方が良い(もちろんこれが起きない採用ができたら理想だが)

採用しなければならないことに後悔するべき

スタートアップ的な成長というのは人間の労働力によってもたらせるものではない。その技術的な、ビジネスモデル的イノベーションによって成長はもたらせる。これを真とするならば、採用することよりも、採用しなくても良い仕組みを創ることの方が重要である。採用する側は採用の成功を喜ぶと同時に、「採用しないで済む方法はなかったのか、採用をもっと遅らせることはできなかったのか」と後悔するメンタリティを持つべきだと思う。採用できることよりも、採用しないで済む方がより有意義だからだ。採用は目に見えて人が増えるという成果を実感でき、そして従業員の数は目に見えて成長を実感できる。だからこそ、採用中毒にかかってしまうこともある。ただ、それは幻想に過ぎない。常に求める人材を採用できるように活動していくことは重要であるが、採用が上手くいくことは常に重要であるとは限らない。採用自体が誤った手段であることはスタートアップにはよくあることなのである。

スタートアップが取るべき唯一の人材とは

数々の採用に失敗してきた上で、最近行き着いた採用すべき人材の結論がある。それは「今後の採用のスピードを遅らせることができる人材を採用すべき」ということである。スタートアップには常に新しい問題が生じる。それを事前に認識するのは不可能だ。その中で新しい問題を解決するためにいちいち採用を行なうのは割に合わない。そうではなく、新しい問題が発生した時に今のスキル/知識では解決できないのであれば、自らそのスキルを高め、解決できる人材になろうとする人を採用すべきである。今あるスキルだけでなんとかしようと思ってる人、自分の領域を決めつけてそれ以外やろうとしない人はスタートアップには要らない(少なくともシリーズAまでは)。以下は、SCOUTER社で活躍しているメンバーの一例である。

  • エンジニアであってもデザインを勉強する人
  • マーケッターでも採用・組織づくりを勉強する人
  • 顧客のためなら領域問わず(顧客業務からプログラミングまで)何でも取り組む人

このように目的達成のためなら何でも手段として取り組む、しかもそれが上司の命令でなく、主体的に自らの成長の機会と捉え動ける人こそスタートアップが採用すべき人材だと思うのです。それを面接で見極めるのが恐ろしいほど困難なのですが。

*「私、多分そういう人材です!」と思っている方はぜひランチでもお茶でもいきましょう。DMしてもらえれば必ずお会いいたします!! twitter.com

【たった5STEP!!】COOが社長の信頼を勝ち取る方法を教えます

会社を創業して4年半が経ち、僕にはいつの間にかCOOという肩書きがついていました。最初からCOOをやりたいと思っていたわけではないですし、気づいたらそうなっていたと言った方が正確でしょう。そして、組織は少しずつ大きくなり今は十数名のメンバーがいます。色んなメンバーが入り、そして去ることもありました。その中で会社を去って行った人の多くは社長との信頼関係を築けていなかったなとふと思いました。もちろん、良い会社の去り方をした人もいましたが、やはりネガティブな去り方をする方はまだ多いです。もちろんそれは組織課題として今後解消していかなければならないのですが、今回は個人の方に焦点を当ててみたいと思います。僕は「創業メンバー」だからと特別視されることがあります。でも、それは間違いだと思うんです。「創業メンバー」だから社長と上手くやっていけてるわけではありません。創業メンバーで会社を去ったメンバーもいます。それは上手く行かない人の言い訳に過ぎません。僕はいつ、どんな立場で入ったとしても社長との信頼関係を築けると思いますし、社長との信頼関係を築くことはその会社で生きるその人にとって、非常に重要な要素だと思います。信頼関係を築くことが、物事をスムーズに進め、自分のチャンスを増やし、結果として多くのリターンを得ることができる。スタートアップで仕事する上で一番最初に行うべきことは社長との信頼関係を築き上げる事だと思うわけです。今回は社長を一番近く見てる立場としてどうしたら社長からの信頼を勝ち取ることができ、自分の仕事をやりやすくできるかまとめてみました。あくまでも僕なりのやり方ですが、社長と特別仲が良いわけでもなかった自分が社長と信頼関係を築いていきた方法なので、多くの方々が実践できる内容だとは思います。

STEP1:社長からのタスクは最優先で終わらせろ

大前提、社長というのは会社のことを一番真剣に考えている人です。そして社長は会社の「全て」について考えなければいけません。すると社長は常にマルチタスク状態になるわけです。マルチタスクというのは聞こえは良いですが、地獄です。社長には"深い"思考が求められます。その深い思考をマルチタスク状態で実現することは不可能なのです。なので社長はどうするかというと、「一つのことに対して一気に考え、一気に結論をだす」。これを何回も繰り返すことで会社の「全て」に対して「深く」考えることを実現しています。この状況を理解すると社長とコミュニケーションをする上で重要なポイントが見えてきます。社長がタスクを指示するときというのは、まさにそれについて"今"考えているわけであり、そのタスクが終わらないと社長は次のことを考えることができないということです。つまり、あなたへ指示されたタスクが常に社長の思考のボトルネックになる可能性があるということです。そのタスクを終わらせないと社長が次に行けない。次に行くとしたらマルチタスク状態に陥る。これ社長からするとすごいストレスであり、生産性が低い状態なのです。ちなみに、「事前に予測してタスクを早めに指示出しすれば良いのに」って思う方。それは無理です。社長は最も不確実性と戦っている存在です。事前の計画なんて当てになりません。なので社長は"今日中に"とか"明日までに"という無茶ぶりをよくするのです。確かに無茶ぶりなんですが、逆にいうと社長に無茶ぶりをするなという方が無茶ぶりなんです。そういう仕事なので。ということで、あなたがやるべきことはたった一つです。社長からタスクを振られたら無条件にそれを最優先にするということ。そして最速で終わらせる努力をすること。スピードは信頼の土台です。社長から「早いね!!」って言われたら合格点です。このスピード感を自分の中に染み込ませ、社長のボトルネックにならないことが信頼関係の第一歩なのです。このタスクに意味があるのかなんてことは考えなくて良いです。会社のことを一番真剣に考えている人が、指示するタスクなんで何かしら意味があるんです。意味を考える暇があったら、終わらせることに集中しましょう。

STEP2:「できない」を言うな

社長が嫌いな言葉ランキングを作るとしたら一位は「できない」じゃないでしょうか。「できない」と思ってたらそもそも起業しないですし、できると思ってるから言ってる訳です。当然社長の知識不足で実現不可能なことを言うこともあるでしょう。ですが逆に言うと、社長のその「やりたい」を叶えるためにあなたがいるわけです。その領域の専門家としてより実現可能性の高い方法を探るのがあなたの仕事です。社長にとって「できない」という言葉は言い訳でしかありません。失敗するのが怖くて自己保身をしたい人間の言葉でしかありません。社長は基本そういう人が嫌いです(笑)。もちろん時にはリスクを示したり、社長の意見を否定するときは必要です。ただそれは、あくまでも会社を前に進めるためのものであり、会社の動きを止めるものになってはならないのです。「できない」と思っても、まずはやってみましょう。全力でやって、できなかったことに対して社長は怒りません。「あっ、これはできないんだ」と学びます。社長が怒るのはやってもないのに「できない」と言ってやらないその"考え方"なのです。

STEP3:常に先手を取れ

社長は大抵、極度のビビリであり不安症です。それは優れた社長の資質の一つなのです。なので、「あれどうなってる?」「これはどうなってる?」ってめっちゃ聞いてきます。しかも突然。そして何も準備しないまま、あたふたして「えっと、、こんな感じです」と報告し、更に不安が募りどんどん質問が増えるという悪循環に陥ります。一通り事が終わった時に、「事前に言ってくれれば準備したのに」とか、「こういう言い方した方が誤解与えずに済んだのに」とか思う事がよくあるでしょう。ただ、僕から言わせれば社長に確認させてる時点でアウトです。社長が気になる前に報告すべきものは自ら報告する。常に先手を取るべきなのです。社長とコミュニケーションを取っていくと、どのくらいで社長が聞いてくるか、どういう時に社長が聞いてくるかはわかってくるはずです。なのでその一歩手前であなたから動くのです。あなたから動けば社長は「ちゃんと考えているんだ」と安心します。それが悪い報告でもです。悪い報告であるならばどう解決すべきか、すぐに相談に乗ってくれます。これが社長の確認から始まった場合だと、「どうすんの?」「今まで何やってたの?」という手をつけられないモードになるんですね。このモードは不安の極限状態だと思ってください。重要なことは不安を解消してあげるように先手で情報を渡すことなのです。

STEEP4:社長よりもできることを一個身につけろ

今は専門性の時代です。何事もそつなくこなす人よりも、何か一つでも圧倒的に優れている人の方が価値が高い時代になりました。そして、社長というのは仲間集めが最も得意な人です。社長は自分のスキルを高めるのではなく、自分よりもスキルの高い人を集めることで、最短で目標を達成していくのが仕事です。なので、社長が仕事を任せたい人というのは"自分にはできないこと"をできる人なのです。あなたが重要な仕事を任されたいのなら、自分にこう問うてください。「自分が社長よりもできることとはなんだろう?」と。その答えがあなたが社長から任される仕事であり、社長があなたに仕事を任せる理由なのです。

STEP5:3ヶ月に一度、期待を大幅に超える提案をしろ

上記4つを実践すればかなり社長の信頼を勝ち取る事ができると思います。少なくとも社長があなたに対して「不安」を持つことはないでしょう。ただし、それだけでは絶対的な信頼というのを得ることはできません。もしあなたがボードメンバーだったり、会社の運命を左右する重要な仕事を任されたいのであれば、必ず達成しなければならない事があります。それは社長の期待を「大幅に」超える事です。これができないと、本当に重要なことを任されるようにはなりません。そして社長の期待値水準とはベーシックめちゃめちゃ高いので、「大幅に」超えることってすごい難しいんですよね。ただ、ここにはコツがあると思ってます。重要なのは「頻度」「黙って準備する」という二点です。まず頻度ですが、3ヶ月に一度くらいがちょうど良いと思ってます。そんな頻繁に期待は超えられませんし、期待を超えるためには準備期間が必要です。ただ逆に期間が長すぎても、評価が蓄積されていきません。そうなるとスタートアップだと3ヶ月がちょうど良いのです。会社の方向性に合っており、かつ社長が考えもしないような切り口の提案を3ヶ月間準備して提案するのです。そして次のポイントはこれを「黙って準備する」ということ。先に言ったら期待値が高まってしまいます。期待値低めの中で提案するからこそ、差分が大きくなるのです。なので、日々社内でテーマになっているようなことに関する提案はあまり好ましくありません。日々議論されているので。そうではなく、誰かに考えて欲しいのだが、今は手をつけられないことや、長期的には考えないといけないような課題に対してのアイディアを「勝手に」・「黙って」考えていくのです。3ヶ月間考えると相当自分の中で突き詰めることとなり、自信もみなぎってきます。その状態でプレゼンするんです。すると社長からすると度肝抜かれるわけです(もちろん、社長は強く見せたがりなんで度肝抜かれたみたいな反応は見せませんがw)。そして、こいつは「会社に不可欠な存在」として社長からの強固な信頼を勝ち取る事ができるのです。もちろん、3ヶ月考えて提案したが、社長が考える方向性と違くて拒否されることもあります。その時はすぐに身を引きましょう。ダメな時はダメなんです。次のアイディアを考えた方がいいです。という事で、3ヶ月に一度、期待を大幅に超えられるようになったら社長からの信頼は確固たるものになります。

結論:社長についていけないと思ったらすぐに転職しましょう

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まとめると信頼というのは「スピード」→「マインド」→「情報共有」→「スキル」→「感動」という順番で少しずつ積み上げていくものであるということです。まぁ、この5STEPを見ると「えっ、社長のためにここまでしないといけないの?」みたいに思う人もいるでしょう。もしくは「私は今の社長のためにここまではできない」とか思う人もいるかもしれません。僕からすればそう思うのであれば今すぐに転職した方が良いと思います。上記のことをやっても良いと思える社長がいる会社に行った方が良いです。これはスタートアップに限った話ですが、それくらいスタートアップにとっては社長が全てです。なぜなら創業社長がいなければこの会社はなかったわけで、社長は人生の全てを賭けているので。社長が命をかけて、不可能だと思われていることや、今まで存在しなかったものを新しく産み出そうしているわけです。だから僕はスタートアップ企業というのは社長のものだと思っているし、IPOするまではそういうもんだと思います。その中で"社長"を言い訳にするのであれば、それはあなたのいるべき場所ではありません。今いる会社で、社長についていきたいと思うのであれば、変わるべきはメンバー側だと思ってます。自分自身がそうやって変わってきたし、水準の高い人間の近くで変われてきたから、ここまで成長できたと思っています。スタートアップってそういう場所なのです。