株式会社SCOUTERのCOOが人事を尽くして考えた

渋谷で「SCOUTER」を運営する株式会社SCOUTERのCOOがスタートアップ・組織について書いているブログです。

【社長もびっくり!?】実はこんな人がCOOに向いてる(と思います)

はじめに

最近COOをテーマとして登壇したりする機会が増えてきました。その際にほぼ必ず聞かれる質問がります。「COOに向いてる人ってどんな人ですか?」と。COOってかなり謎めいたポジションなので確かにニーズのある質問だよなと思いつつ、COOは会社に個別最適化する必要性があるのでなかなか汎用性の高い回答が困難な側面もあります。ただ、毎回聞かれますし、山田の個人的な理想のCOO像がなくもないので、現時点での山田の帰結をまとめておこうと思います。COOを探している社長様、COOを目指している人、スタートアップで幹部を目指している人あたりに参考になれれば良いなと思います。

想定するCOOの役割

この質問には前提としてCOOがどんな役割を担うかに非常に依存します。会社ごとにCOOの役割は少しずつ異なるので、「COOはこれ!!」というものは非常に規定しにくいのです。また同一の会社でも役割の流動性は非常に高いポジションになるため、今回は汎用的かつ確率的に最も高いであろう抽象的な役割を想定しておきます。

「COOの役割は会社に必要なことで社長ができないorやらないこと全てをやること」

強固な経営チームが確立されていないスタートアップにおいてはCOOが上記の役割を担う可能性が一番高いかなと思います。また、この際の社長像も典型的なタイプを想像しておきます。強固なリーダーシップ、異常なエネルギー量、明確なビジョン、強い感性と行動力。これらを兼ね備えた社長がいるとして、どのような人であったらCOOとして機能しやすいのか。その特徴を5つにまとめてみました。前提としてCOOはその場で求められる能力やスキルは変化していきます。それはどうにも前提として規定しづらいのでスキル面は無視しております。あくまでも、人間性としてどのような人が向いているかが今回の本論となっております。

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特徴1:自己承認欲求が捻じ曲がってる人

まず第一にCOOって褒められません。褒められるのは社長の仕事だからです。どんなにCOOが中心となってやったことでも、外では社長があたかも自分がやったことのように話します。当然ですよね。自分がコントロールしてると思われないと社長の存在理由がなくなってしまうので。なので、山田もよく聞かれます。「褒められなくて良いんですか?」って。結論としては全然構いません。なぜならば、自己承認欲求が捻じ曲がっているからです。どう捻じ曲がっているかというと、自分自身が褒められることよりも、自分自身が創り上げたより大きな存在を褒められた方が嬉しいんです。決して承認欲求がないわけではありません。ただ、「山田さんってすごいですね」って言われるよりも、「社長さんすごいですね」「SCOUTER社ってすごいですね」って言われる方が、心の中で「でしょー!!ニヤニヤ」的な感じで喜べるのです。捻じ曲がってますね。ただ、これは根本的に重要だと思っていて、COOが「なぜ自分は褒められないのだ!!自分の手柄なのに!!」とか思ったら終わりなんです。そうなったら組織のバランスは崩れます。社長とは対立関係になって、派閥とかそういうめんどくさいやつが生まれ始めます。そういう嫉妬心とかが生まれるような人はCOOになるべきではないですね。ただ、理性で嫉妬するなというのは難しいわけで、なのでそもそもの性質として自己承認欲求が捻じ曲がっている人が適しているという話です。理性で自分に嘘をつき続けても、極限状態が続くスタートアップではいつか辛くなります。そうして爆発することが最も会社にとっては最悪なことなので、理性で沈められるとか思ってる人は危険だと思います。

特徴2:弱者歴が長い人

次に弱者歴が長い人ですね。弱者というのは身体的にや社会的に等なんでも良いのですが、人生において弱者歴が過半数を占めている人の方が向いているかなと思います。これもバランスの問題なのですが、社長って基本的に強者なわけです。先天的に人を惹きつける力があって、リーダーになりやすい人。そもそもあらゆる面で強いんですよね。そうすると、弱者の気持ちがわからなかったり、弱者との向き合い方が下手だったりするわけです。ここにCOOも同様の人が加わるとその組織は強い人しか入れない組織になります。この強い人しか生存できない組織というのは、限界が生まれやすいというのが個人的な理解です。そもそも強い人は人口的にも少ないですし、多様性も生まれづらい。様々な面で歪みが生まれやすい組織になるなと。だからこそCOOは弱者歴が長い人の方が良いと思ってます。山田自身も人生の大半が弱者側でした。特に「学校」という空間では。身体は小さいし、スポーツはできないし、顔もカッコよくない。あの特殊空間で強者になる要素がないんですよね。そういう状況で生きることがどういうことかわかっている人であることは非常に重要だと思います。また、おまけとしてそういう抑圧されてきた時間が長い人ってそれが解放された時に努力を好んでするようになります。なぜなら努力が報われる環境ってその人にとっては貴重だからです。学校ではどんなに努力しても強者にはなれなかった。でも、スタートアップなら努力で強者になれる。これが山田が現状、努力を好む理由です。努力することが面白くなっちゃうんです。抑圧された世界から解放された弱者ほど強い存在はいないなと思っております。

特徴3:人生において目的意識が弱い人

「目的意識弱くて良いの??」って思われますよね。スタートアップの経営者って強い目的に対して人生かけてコミットするみたいなイメージが強いと思うので。ただ、個人的な経験則で言うと、そういう人たちが集まった集団は必ず途中でメンバー同士でぶつかってます。なにせ目的の多少のズレが起きた時点で許せないわけですから。そういう意味ではSCOUTER社は一度もぶつかったことがありません。山田が目的意識が非常に弱いので。常に社長の目的が優先されます。それで一度も困ったことはありません。社長がCOOに求めているのはビジネスとしての成果であり、目的意識ではありません。あくまでもコミットすれば良いわけです。そうであれば、目的意識じゃない部分でコミットできた方が強くないですか?山田は物事のプロセスが大好きな人間です。言うならば、「どの問題を解くか」よりも「難しい問題をどう解くか」の方が興味が強いわけです。なので、「こっちの問題が解きたい」なんてことは思いません。常に難しい問題に取り組めていて、プロセスが楽しければなんでも良いんです。と言うことで、目的意識が弱い人の方がお互いにやりやすいと思います。

特徴4:一人の時間が好きな人

前途したようにCOOは常に自分の守備範囲を変えていかなければいけません。ある時は事業を創り、ある時は事業を伸ばし、ある時は組織のことを考え、ある時はファイナンスが求められる。それらの知識・スキルを事前に全て持ってる人なんていないわけです。そうなると重要なのはいかに早く対象領域について学べるかです。そして、学ぶためには一人で没頭する必要があります。「ゼミ形式や勉強会形式で学ぶとかもありじゃないですか?」と言われそうですが、COOは対象領域の中でも自社に関係のある範囲のみを効率的に学ぶことが求められます。一般的な順序で学ぶことが最適とは限りませんし、周りに合わせてたら間に合いません。一人で必要な部分のみを学ぶことが重要なのです。そのためには一人の時間が「好き」なことが重要だと思います。なにせ、これはCOOである限り永遠に続くわけですから。つまり、学ぶべきと言う「べき論」で自分を駆動させていたら必ず限界がきます。単に一人の時間が好きで、他にやることもないから事前に勉強しておこうくらいの気持ちでいれる人の方が圧倒的に強いんです。山田も基本的に一人の時間が大好きです。一日の半分くらいは一人で過ごしたいと言う欲求が心の底からあります。よって友達も極端に少ないですし、逆に大勢の飲み会とかは大の苦手でございます。こういう人の方が学ぶための前提条件として非常に有利なんですよね。逆に社長は一人の時間が嫌いな人の方が良いと思います。社長は色んな人と話しながら一次情報を取ってくるのが仕事なので。偉い人とも関係性を良好に保っておく必要があります。友達も多い方が仕事が広がる可能性も高いでしょう。COOからすれば社長がそう言うことをやってくれるので、安心して引きこもって学びに時間を充てることができるわけです。

特徴5:自分のことが一番好きな人

いつも山田がCOOとしての考え方を話すと「なんでそんなことまでできるのですか?」「大変じゃないのですか?」みたいなことを言われます。他人から見ると山田は自己犠牲で社長を支えているように見えるらしいです。でも、自己犠牲ってサステイナブルじゃないですよね。個人的にはそう言うの嫌いなんです。山田は自分が楽なように生きていたいから今の仕事をしているわけで、自分にとって最もメリットが強い選択肢だから今の仕事をしているわけです。そこに自己犠牲なんて概念はありません。はっきり言って、自己犠牲でやってるCOOに負ける気なんて一切起きません。こっちは好きでやってるので。逆に山田から見るとよっぽど社長の方が自己犠牲感強いなと思います。というか、社長たちは自己犠牲とかって概念がないんだろうなと思います。彼らは常に他人が先にきます。顧客が、従業員が、取引先が。そりゃみんなが社長のことを人として好きになるわと、素直に思います。それに対して山田はというと、自分のことが一番好きなんです。自分にとって最もCOOが都合良いからやってるわけです。周りから見たらそう見えないとしても、自分の中では明確にそうなんです。COOは仕事柄常に合理性が求められます。ということは、仕事を選ぶときも合理で選択してるんです。というか、合理で選んでないのであれば、COOの仕事はできないんじゃないでしょうか?合理的に自分にとって最も都合の良い仕事がCOOだった。それがCOOの判断基準であり、自分のことを大好きな人の方が帰結としてはワークする確率が高いと思っております。

総論:テンション低い系、"普通"の猫を被った本当はヤバいやつ

ということで、上記5つを無理矢理まとめますと「テンション低い系、"普通"の猫を被った本当はヤバいやつ」がCOOに向いているという帰結に行き着きました。イメージこんな感じだと思います

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結局COOという仕事は一つの生き方に近いものなんだと思います。COOという仕事を仕事として自分を曲げながらやってたら破綻します。そうではなく、COOという一つの生き方を選べる人がCOOに最も向いているのだと思うし、COOが自分にとって自然な状態であることが非常に重要なことだと思います。そういう意味で、テンションは総じて低い方が良く(一般的には理不尽なこととか多いのでテンション高い人がなるとめんどくさいと思います)、一見"普通"に見える人であり誰とでも当たり障りなくやっていけるが(組織の立場上全員とコミュニケーションが求められるので)、精神や思考は常軌を逸している人がCOOの生き方を選択できるのではないかと思います。ということで、現在進行形でCOOを探している社長の方々にはぜひターゲット像を拡大してもらえればと思っております。自分が明確なビジョンを持っているのであれば、同じタイプの人間は不要です。テンション低くて第一印象が悪くても、なんか話してたらすげーなって思える人が良いと思います。あとは極端な言葉を使うことも一つの指標になると思います。精神は言葉に現れます。ヤバいやつは得てして普通の言葉を使いません。極端な言葉を無意識に発するもんです。そんな感じで見極めてもらえればと思います。またスタートアップで働いてる人たちにはCOOには意識高くなくてもなれるんだということを理解してもらえたら嬉しいです。疑いが晴れないようでしたら山田に会ってもらえればと思います。想像以上にゆるゆるな人間でいつも驚かれます。

以上が山田が考えるCOOに向いてる人の話でした。ほぼ山田という一例を抽象化した上で、汎用性のある話にしたものなのですが、汎用性はある程度高いかとは思います。また、これがCOO像の固いイメージ像に変化を与えるきっかけに少しでもなったら嬉しいです。そして、こんな山田が最近COO室というものを立ち上げようとしております。最初からCOOになるのは少しハードルが高いと思った方、まずはCOO室で働いてみませんか?COOに必要な考え方、知識、経験等は相当量身につけられると思います。以下のツイートが詳細になっております。気になった方はお気軽にDMを。